結審
バンッ!
勢いよく扉が開かれる。
「待たせたわね、ラリーゴ!」
門番らしき男の首根っこを押さえて高々と叫ぶ。
ミュウだ!
「司教さま、この男は嘘をついています。ほら、あなたの口から言いなさい!」
怒気をはらんだミュウの声。静かだが響く。
「は、はい。あの晩、私が見たのは2人てす。ラリーゴとそこにいるギュネイです。」
ざわざわざわ…
「何故そんな嘘を?」
今度は優しく問いただすミュウ。
「ギュネイに頼まれたのです。」
「その見返りは?」
「ね、燃料屋の権利を譲ってくれると…」
「嘘だー!僕を嵌めようとしている!陰謀だ!」
…バカだな。
救いようがない。
「黙れ。」
今度は明らかな殺気を込めた声。
ミュウの瞳は冷たく光りギュネイを捉える。
ギュネイは引きつけを起こしたようにビクッとして動かない。
「ーこっちにもいるぜ。」
父さん!来てくれたんだ!
「司祭さま、こいつらが実行犯だ。ゲスタの奥方を殺ったのはこいつらだ。」
「……」
「おっと、すまねぇ。ちょっと聞き分けが悪かったんでな、撫でてやったら眠っちまった。」
いや、撫でてないよね。それ。生きてる?
ざわざわざわざわざわざわ…
カンカンカンカン
「静粛に!」
「判決を言い渡す!被告ラリーゴ、無罪!!」
「ギュネイおよび関係者全て捕らえよ!」
終わった。
とても長い1日だった。
帰れる。あの優しい日常に。
……
連行されて行くギュネイ。
な。
俺を見るギュネイの目。
怒り嫉妬恨み呪い……
そんな負の感情全てを込めた目で俺を見ている。
なんだ、コイツは!
人の目に戦慄を覚えたのは初めてだ。
背中が粟立つ。
嫌だ、もうここには居たくない。
俺は父さんとミュウに支えられ審判の間を後にした。
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「取引か。」
「悪い話しではないでしょう?」
「いや、止めておこう。」
「な、なぜ?!」
「私も闘士ギルドや聖権騎士団を敵に回してまで富みを得ようとはおもわぬよ。」
「!」
「連れて行け。」
「糞ーっ。僕は、ぼくは、あは、あははは、ひゃーはははは。」
その夜、ギュネイと一味は処刑された。
筈だった。




