学校へ行こう
朝。
んー、いい朝だ。
ああ、お腹空いたな、朝ご飯は何かな?
ドンドン!ラリーゴくん!
ドンドンドンドン、ラリーゴくん!!
なんだ騒がしいな。朝っぱらから。
俺は寝室からダイニングへ向かうとそこには涙で目を真っ赤に腫らしたネーナ先生がいた。
「おはようございます、ネーナ先生。」
「おはようじゃありません!どういうつもりなんですか!」
おふっ。お怒りでらっしゃる。
俺、なんかやらかしたっけ?
「まあまあ先生。一体どうなさったの?まずは落ちついて、ね?」
母さんナイス。
「もう学校へ来ないかと…」
泣きながら先生。
ぐっ!殺気!!
「ラリーゴてめぇ…」
と、父さん。リアルに怖えぇ。
「ラリーゴ。休学届けは?ちゃんと出したのよね?ね?」
母さん笑顔だけど目が笑ってない。
「出したよ!ちゃんと出し…」
思い出した。
ネーグさんに会いに行った帰りに固有スキル試しに森に行って…
…
「ごめんなさい。」
『ラリーゴ!!!!』
俺はひと月近く学校をサボったわけだ。
ネーナ先生は理由があるのだろうと沈黙を決めていたという。
しかしカノンさんからミュウ経由で俺の話しを聞き、家庭訪問を強行し今に至る。
「では学校が嫌になった訳ではないのですね?私が嫌いになったのではないのですね?」
そうだけど最後の方は問題発言では?
それにネーナ先生を嫌う奴なんてこの世にいるものか!
いたけど死んだ!!
「先生息子がお世話かけまして。」
父さん、スマイルキモイです。
「んんっ。マシラ、後でお話しがあります。」
肉体言語でトーク。怖えぇ。
「ごめんなさい先生。今日から学校に行くよ。」
「ラリーゴくん、今日は光曜日。お休みです。」
こっちの世界にも暦や曜日はある。
一年は485日。
前世では七曜だったけどこちらでは八曜。
日曜日の後に光曜日がくる。
「…明日から必ず行きます。」
「先生、せっかくですから朝食をご一緒しませんか?」
母さんは本当気が利くな。
「よろしいのですか?ではお言葉に甘えて…」
4人でテーブルにつき朝食をとった。
食後、ネーナ先生は俺を散歩に誘った。
「いい天気ですねぇ。」
「はあ。」
住宅街を離れ気づけば教会の近くまで来ていた。
「ラリーゴくん、少しお話ししませんか?」
ネーナ先生が優しく微笑む。
うーん。美人だ。
多分ネーナ先生は母さんより年上だ。
母さんは今年30歳になる。
それでも見た目二十歳くらいには見える。
その母さんよりも若く見えるなんて。
胸も大きいし。
俺たちは教会入り口にあるベンチに腰を下ろした。
「ラリーゴくん、私は君に謝らなくてはなりません。」
先生は胸の前で手を組み、祈りの姿勢をとる。
「先生、止めて下さい。俺は先生に謝られる覚えがありませんよ。」
「いえ。命の恩人である君に対して私はその恩を未だ返せずにいます。それ以前に私は君に対して…」
「恐怖を抱いていました。」
ネーナ先生は続けた。
自分たちを助ける為に目の前でメタモルフォーゼした俺が怖かったと。
理性を失い力に溺れた俺が怖かったと。
何もできずに教え子の命が奪われる事が怖かったと。
己が命を省みず理不尽に対して抗った勇気ある幼子に恐怖する自分自身の心の弱さに失望したと。
「私は…」
「先生。先生は今も俺が怖いですか?」
「いえ。怖くありません。」
「本当に?」
「本当です!」
「ならいいじゃないですか。」
ふぇ?とちょっと抜けた声を出して先生は俺の顔を見上げる。
「あの時は本当に無我夢中でした。結果的に人の命を奪う事になったと理解してます。」
「……」
「俺は後悔してません。大切な物を守れましたから!」
「ラリーゴくん!」
いきなり頭を抱きしめられた!
うおー!おっぱいが、俺の、顔にぃー?!
「ごめんなさいラリーゴくん、私、私…」
ぷはっ!
色んな意味で昇天するところだった。
「大丈夫です。それに俺、ただ学校サボってたわけじゃないんです。」
俺は立ち上がり先生から距離をとる。
バリッ!
雷光と共に白銀の猿人が現れる。
「先生、俺は正しく力を振るいます。大好きな人たちを守る為に。」
「…綺麗。」
はい?
「私…どうしてラリーゴくんを怖いとおもったのでしょう。こんなに綺麗で猛々しい君を…」
なんだ?心なしか先生の顔が赤く染まってるぞ?
いやいや、ないから!
勘違いすんな、俺!
「と、とにかく俺は大丈夫です。」
そう言って俺はメタモルフォーゼを解く。
「あっ」
先生は残念そうに俺を見る。
いや、マジで、えー?
俺が小さい頃から知るネーナ先生の女の部分を垣間見ていたその時、
「よう、ラリーゴ。」
今思えばこの出会いが全ての発端だったと、後に死ぬほど後悔するとは…今は知る由もない。
やっと物語が動きだす…かも(笑)
明日は三話更新予定です。




