初めての
俺の名はラリーゴ。
そう、ラリーゴ。
ゴリラではない。
優しく綺麗な母さんとゴリラ顔で逞しい父さんが賢者ラリーゴにあやかってつけてくれた名前だ。
間違いなく俺は父さんの子供だよ。間違う訳ないさ。
富士額に太い眉。横に広い大きめの穴が2つある鼻。厚い唇。
・・・・・
ゴリラだね。うん、ゴリラだ。
まあ男は顔じゃないって前世で証明できたから問題ないけど。
出来れば母さんに似たかった~
母さんみたいな美人が父さんと結婚してるって事はこの世界じゃゴリラ顔はイケメンなのかも知れない。
前向きに行こう。
~ラリーゴ1歳~
「あなた、見て!」
「どうした、アーシャ。ラリーゴがどうかしたのか?」
母さんが俺を見て父さんを呼ぶ。
「すごいぞ、ラリーゴ!一人で出来るなんて!」
白鳥をモチーフにした陶器製の物体に跨がり、俺は勢んでいる。
「ふんー、ん、んー!」
「頑張って、ラリーゴ!」
ポチャン。
「はぁー」
「良くやったぞ、ラリーゴ!さすがは俺の子だ。」
そう、初めてのう○ち。一人でう○ち。
前の人生では初めてう○ちした時の記憶はない。
両親とはいえ人前でするのはやっぱり恥ずかしいな。
「はい、お尻フキフキしようね~」
母さん、そこは!
自分じゃまだ出来ないからなぁ。
「お?ラリーゴは恥ずかしがり屋さんだな」
父さん、赤ん坊でもハートは大人なんです。
察してください、って無理だよね。
1歳で一人でって早いのかな?
前世の息子はトイレ覚えたのいつだっけかな。
「だって闘士マシラの息子ですもの。このくらい出来ちゃうのよね。チュッ」
母さんにチューして貰って思わず笑みが。
「そうさ、ラリーゴは必ず大成するぞ!」
う○ち如きで大袈裟な。
ウチの両親は親バカ全開です。
期待に応えたいな。
ゴリラ顔だけどね。