現代版リアル『かちかち山』!
リアルシリーズ第8弾です。
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
本来なら家でまったり内職でもして優雅な一時を過ごすはずでしたが、消えた年金問題で老後の資金を受け取れなくなったおじいさんとおばあさんは、定年退職したあとも働き続けていました。
「税金返せ、政治家のクソ野郎」なのです!
さてさて、おじいさんはガーデニング好きなので家の傍に畑を作って農業を営んでいます。おじいさんの作物は無農薬栽培なので農協では大人気です。
しかし問題はおばあさんです。
もうあと数年で100歳だというのに、淫乱なカ・ラ・ダ♡を持て余したおばあさんはAV女優の道に進んでしまいました。
おばあさんのヌード写真等は汚物なので、ネット業界では大不評です。
……でも極一部のネットユーザーに熟女としての需要があるのは秘密です。
そんなおじいさんとおばあさんは、山に住むイタズラ好きのタヌキさんに頭を悩ませていました。
タヌキさんは里に下りてきて畑を荒らす――のではなく、おじいさんの靴に画びょうを忍ばせたり、おばあさんのヘソクリを暴いたり、時にはおじいさんの大切にしていた美人女優のAVをおばあさん出演のAVにすり替えたりと、それはもう大変な悪事を働くのです。
1兆歩譲っても、最後は許せません。
男の聖域を汚すタヌキなどこらしめてやりましょう!
「ぬぅ!」
怒ったおじいさんはタヌキさんをどうにかして捕まえようと、作戦を練りました。
当初はタヌキさんがよく現れる畑周辺に地雷を埋めようかと考えましたが、いざ埋めると取りだしに困難を極めるので良くないと反省です。
仕方ないのでアナログ式に落とし穴で勝負します。
地下10メートルの穴におじいさんの歳の数だけ竹槍を仕込んで完成です。
気分はお誕生日ケーキです。
「これでよし!」
しかしタヌキさんはおじいさんが落とし穴を掘っている様子を見ていました。
そりゃあ小鳥がチュンチュン鳴く平和な山奥で、重機のエンジン音が響いて来れば当然です。
「やーい、ジジイ! 見ちゃったもんねー♪」
「むぅ」
ちくしょうなのです!
工事する前に防音壁を立てておくべきでした。
さて、落とし穴の場所が見つかっては罠として機能しません。
しかしここで引き下がっては男のプライドもなんちゃらです!
「タヌキに倍返しじゃ!」
怒ったおじいさんは名探偵コナーンをちょろまかして腕時計型麻酔銃を借りパクしてきました。
「真実は、いつも二つ!」とか言われましたがどうってことありません。
「死ねェ、タヌキがァ!!!」
麻酔銃では死にません。
おじいさんは実弾ではなく麻酔を放ち、見事タヌキさんをゲッチュしたのでした。
「むふふ」
タヌキさんを捕えたおじいさんは、早速手足を縄で縛り付け、さらには目隠し、猿ぐつわもしてSMプレイをしながらの帰宅です。
ちなみにおじいさんはドMなのでMMプレイにしかなりません。
予期せぬ羞恥プレイをさせられ、森の動物たちの笑いものにされたタヌキさんは心の中でこう言いました。
「ジジイに倍返しや!」
――☆――☆――
翌日、おばあさんがAVの撮影に新宿に出掛けている間に、おじいさんはタヌキ鍋でもしようと準備をしていました。
すると、天井に吊るしあげられたタヌキさんはこう言いました。
「ジジ――いや、おじいさん! もうイタズラせえへんから許してちょんまげ!」
必死に謝りますが、おじいさんは中々許してくれそうにありません。
仕方ないので交渉に出ます。
「スザ○ヌのポロリ画像あげるから!」
「ぬぅ」
「『To L○VEる』の最新刊あげるから!」
「むぅ」
「俺の持っとるケータイの18禁画像あげるから!」
「ぐぅ」
「『超弩級萌え萌えハーレム学園ファンタジー』最新刊あげるから!」
「よかろう!」
基本的に男はこれで釣れます。
かくしておじいさんはタヌキさんを解放してしまったのです。
「さあ、お前の持っておるエロ本をよこせ」
「はい、どうぞ」
タヌキさんから手渡されたエロ本を早速開きます。
きっと男がウホウホできる女体盛りがそこにあるに違いありません!
「ぬっ!」
しかしエロ本だと思っていた雑誌の中身は、なんとおばあさんのヌード写真集だったのです!
メイドやレースクイーンのみならず、ナースやウェディングドレスといった殺人級のコスプレです。
「おえええええッ!!!!!!」
激しく嘔吐です。
おじいさんはおばあさんの悩殺ヌード写真集を見てショック死してしまいました。
後日、おばあさんからタヌキさんの悪事を聞かされた山のウサギさんは、こう言いました。
「タヌキに倍返しぞ!」
ウサギさんはファンタジー小説を読みすぎて魔王口調です。末恐ろしいウサギさんです。
さてさて、ウサギさんはどうにかしておじいさんの仇を取るべく、タヌキさんをこらしめようと考えました。
ある日、山を歩いていると、ウサギさんはタヌキさんと出会いました。
「おお、タヌキよ。 今度、山へしば刈りに行くのだが、うぬも来ぬか?」
「マジで? 行く行くー♪」
白昼堂々と「イクイク♡」とは、いかがわしいタヌキさんです。
かくしてしば刈りに誘ったウサギさんは、後日タヌキさんと一緒に山へ出かけました。
そうです!
タヌキさんの刈ったしばに火を点けてKillしようという魂胆です。
これは『ないすあいであ』なのです!
しば刈りの帰り道、タヌキさんの後ろを歩いていたウサギさんは早速彼を焼死体にしようと、ポケットから火打石を取り出そうとしました――
――が、
「むっ!?」
どうやら火打石を玄関に忘れてしまったようです。
前日に「忘れないように」と靴箱の上に置いといたのに忘れてしまう筆者と同じ要領です。
でも火打石が無ければタヌキさんを燃やせません。
タバコ用のライターで応急処置しようと思いましたが、あいにく昨日池ポチャしてしまい女神さまに奪われてしまったのです。
あの時、「あなたが落としたのはこのクソ汚いライターですか? それとも美人ギャル満載のエロ本ですか?」と問われ、「エロ本ぞ!」などと、調子こいて魔王弁なんか使わなければよかったと反省です。
火打石にライターも無いとなれば、もう打つ手はあまりありません。
ウサギさんは米軍のお兄さんに上手く言って火炎放射器をレンタルしてきました。
太平洋戦争中に使用された年代物です。
これなら3分間ならぬ10秒間クッキングでタヌキは丸焼けでしょう!
しかし織田信長の活躍するご時世から近代兵器を使用するのは大変よくないと猛反省です。
仕方ないので昨日マッチ売りの少女から買い付けたマッチで我慢です。
根気強く一本一本マッチを擦って燃やします。
するとタヌキさんも背中で変な音がするのに気づきました。
「なあウサギさん、俺の背中でシュボシュボ変な音するんやけど」
「恐らくシュボシュボ鳥が鳴いておるのだろう」
「なるへそ」
おバカなタヌキさんはウサギさんを信じて疑いませんでした。
一方のウサギさん。
なんとかタヌキさんを誤魔化しましたが、昨日降った雨のせいで薪に水がしみこみ、タヌキさんの薪に中々火が点きません。
このままでは倍返しできないと思ったウサギさんは、急いでふもとのガソリンスタンドに行き、バイトのお兄さんをちょろまかしてガソリンを横流ししてもらいました。
当初はレギュラーにしようかと思いましたが、タヌキ如きに1リットルあたり155円払うのは癪です。
灯油にします。
山に戻ってさっそくタヌキさんの背中にぶっかけていると、ニオイに気付いたタヌキさんが問いかけてきました。
「なあウサギさん。 俺の背中から石油のニオイがするんだが」
「ここはオイル山と申してな、オイルのニオイがして当然ぞ」
「なるへそ」
基本的に灯油は良いニオイなので気にしません。
ドラム缶1つ分のオイルをかけ終えると、ウサギさんは早速マッチで火を点けました。
「ぬおおおおおおおおおっ!!!!」
マッチ火でタヌキさんは燃え上がりました。
これでタヌキさんも死んでめでたしめでたし――
――と、思いきや、偶然近くに川があってタヌキさんは飛び込んで事なきを得ました。
しかも焼けたのは背中だけです。
ゴ○○リもビックリの生命力です。
「あーやべ、マジ助かった~」
「ぬぅ」
作戦失敗のようです。
ケチって灯油にせず、重油にしておけばよかったとちょっと反省です。
そこでウサギさんは作戦Bに移りました。
「タヌキよ。うぬは背中をヤケドしておるようだし、余がよく効く薬を塗ってやろうぞ」
「ああ、助かる」
ウサギさんはポケットに手を突っ込み、トウガラシを取り出し――
――と思いきや、またまた玄関に忘れてしまったようです。
小学校のころランドセルを家に忘れて登校した筆者と同じくらい恥ずかしい失態です。
代わりにハバネロで我慢します。
「えいっ」
ピタッ
「のふぉぉおおおおおおおお!!!!!!」
ハバネロを傷口に当てられ、タヌキさんはロケット顔負けのスピードで飛び上がりました。
これでタヌキさんは悶え死んで、めでたしめでたし――
――でもなく、
「ああん、もっと!! もっと俺を痛みつけてくれ!!」
やはり生きていました。
しかも目覚めてはいけない方向に目覚めてしまったようです。
タヌキさんがおじいさんと同じくドMだということを忘れていました。
「むぅ」
またまた作戦失敗です。
こうなったら次で決めるしかありません。
「タヌキよ。 今度、余は海で釣りをするのだが、うぬも来ぬか?」
「オッケー! 行く行くー!」
しめしめ、なのです。
釣りに行くと言っておきながらタヌキさんをドロ舟に乗せ、沖に出て沈ませようという魂胆です。
今度こそ大丈夫でしょう!
後日、ウサギさんは海に出掛けました。
ちゃんとタヌキさんの乗るドロ舟も用意しました。
あとは彼を待つだけです。
――が、
「遅れてごめんウサギさん!」
「むっ!」
なんとタヌキさんはあらかじめ自分の船を用意して現れたのです。
しかも漁船ではなく駆逐艦でした。
なんか船体に『しまかぜ』とか描いてあります。
動物のくせに一丁前に『艦隊コレ○ション』キャラで攻めて来るとは、許しがたいタヌキなのです!
あんなニワカ駆逐艦なんか海の底に沈めてやりましょう!
「どうだい、カッコいいだろ!」
「ぬぅ!」
そっちがその気なら、こちらも艦コレで攻めるまでなのです!
怒ったウサギさんは自衛隊のお兄さんをちょろまかして超弩級戦艦『金剛』をレンタルしてきました。
ちなみに砲塔式35.6センチ連装砲4基、15.2センチ単装砲16門、53センチ魚雷発射管8門の重装備です。(byネット)
ここまでくると楽しいフィッシングどころの話ではありません。
魚ではなく、海上自衛隊の護衛艦『あ○ご』や『う○が』といった“リアルな艦隊”が集まって来そうです。
これぞ『真:艦隊コレク○ョン』です!
どうせなら米軍のイージス艦を拝借したいところでしたが、鉄砲でさえ伝来したばかりだというのに、レーダー射撃&対艦ミサイル攻撃というチートは大変よくないと猛反省です。
アナログ式に魚雷で我慢しましょう。
沖に出ると、すでにタヌキさんは駆逐艦の艦上でフィッシングを楽しんでいました。
タヌキさんは予想外の重装備でやってきたウサギさんを見て驚く様子もなく、甲板から手を振ってきます。
「やあ、ウサギさん」
「死ねぇタヌキ野郎がァ!!!!!!」
会話する気はありません。
にこやかに挨拶してくる健気なタヌキさんに向かい、魚雷発射スイッチを問答無用で「ぽちっとな」します。
「ぷぎゃぁぁぁああああ!!!!!」
再開して5秒で『しまかぜ』轟沈なのです!
さすがにこれでタヌキさんもお陀仏でしょう!
――と、思いきや、
「ぷはぁ! ――って、なにすんねんウサギ!!!」
「ぬっ、まだ息があったか!」
タヌキさんの生命力はしぶと過ぎます。
魚雷を数十発喰らっても生命には特に問題ありません。
「むぅ!」
かくなる上はタヌキ自体も魚雷で沈めるまでです!
ウサギさんは急いで洋上のタヌキさんに向かい、魚雷発射スイッチを「ぽちっとな」しました。
――が、なにせ昭和のレトロ戦艦です。
スイッチが故障してしまい、魚雷を撃てなくなってしまいました。
「くぅ!」
ちくしょうなのです!
もうこうなったら最後の手段です!
織田信長が活躍する時代から重火器をぶっ放すのは大変よろしくありませんが、背に腹は代えられません。
「ええい! 35.6センチ主砲、洋上のタヌキに向かい砲撃用意!!」
これぞ現代版リアル童話シリーズの真骨頂!
対空ミサイルに引き続きまたまた現代兵装が活躍することになりそうです!
一方で巨大な砲身が自分に向いているのを知り、焦ったタヌキさんは死に物狂いで陸に向かって泳ぎだしました。
どう考えても、35.6センチもの巨大砲弾を喰らったら擦り傷では済みそうにありません。
蒼い海が血で赤く染まる前に絶賛エスケイプです!
「逃げても無駄だタヌキ。 うぬは海の藻屑となるがいい」
「くそう!! あいさつ代わりに魚雷の奇襲攻撃なんて斬新すぎんぞ!! 戦うなら正々堂々と勝負しやがれ魔王ウサギ!!」
「ふははは、弱い犬ほどよく吠える」
タヌキです。
「降りてこいよド三流ウサギ! 格の違いってのを見せてやらあ!」
ハガ○ンの主人公が第1巻で放った名言で挑発です!
甲板の上で涼しい顔をする卑怯なウサギに一泡吹かせてやりましょう!
「その必要はない」
「なにっ!?」
「なぜなら、キサマはここで死ぬ運命なのだからなァ!」
とても正義役のセリフとは思えません。
「死ねェ!! これで『ザ・エンド』だ!」
『ジ・エンド』です。
ジャパニーズで英語に疎いウサギさんは、手元の砲撃スイッチを「ぽちっとな」しました。
織田信長が本能寺でえらいこっちゃになっている間に、海上ではどえらい水柱です。
「うぼぁああああーッ!!!!」
かくして丸腰のタヌキさんも『しまかぜ』と共に轟沈し、見事おじいさんの仇を討つことに成功したウサギさんは2週間のレンタル期間を経た後、ちゃんとオイルチャージしてTUT○YAの返却ポストに超弩級戦艦を返却したのでした。
製作時裏話
・ウサギさんはマッチでタヌキさんを燃やしたが、実は続きがあり、最後に核爆弾で燃やすつもりだった。
しかしメルヘンな世界で核兵器はよろしくないので削除。
・当初、ウサギさんの乗り物は戦艦『金剛』ではなく、『大和』だった。
しかし大和には魚雷発射機能が無いことを知り、泣く泣く変更。
・ウサギさんは魚雷で『しまかぜ』を轟沈させたが、筆者は当初、イージス艦によるミサイル攻撃で沈めるつもりだった。