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――6月3日 06:10
私はいつも通り、鈍行の電車に乗った。
人は然程多くない、田舎の朝の電車。
この電車に乗るのも、すでに3年目だ。
私の電車の過ごし方は、何となくいつも同じだ。
電車の2人席のところに座り、ミュージックプレイヤーを出して聴き始める。
約8分で3駅後にいる鈴木蘭加と合流して、イヤホンを片方外しながら、他愛もないことばかりを話続ける。
学校の最寄り駅までは50分もかかる。
ただ、蘭加と話していればすぐに時間が過ぎていく。
私は姫路奈那。中学3年生。平凡な一般人。だからと言って、変化を求めてはいなかった。
なのに…
その時が迫っていた。普通の高校生になって、普通の大人になりたかった。
それは贅沢だったのか。
私には、普通がいけないのか。
時が迫っていた。