6:囃子のクロスフェード
「や、大和……」
それは数年前のこと。撫子は戸惑いながら名刺を俺に見せてきた。
俺が家の手伝いをして学校を休んだ日の帰り道、彼女はスカウトされたんだと言う。どうせ撫子の顔と身体が目当てのろくでもない事務所だろうと俺は事務所に乗り込んだ。本当は撫子がどこか遠くの世界に連れて行かれるようで嫌だったんだ。だって芸能界なんか酷い所なんだろ?有名になるために何をされるかわかったもんじゃない。
可愛い撫子が、悪い男に騙されたり、仕事のためだとか言って脂ぎったおっさんに好き放題されてしまうかと思うと、俺は殺傷沙汰を起こしかねない勢いだった。撫子は俺が守る。撫子に惚れた男とかが出来て、そいつと結婚するまで俺が撫子を守るんだ。そんな日が来なければいいとは思うけど、そんな日が来てしまったなら俺は身を引くしかない。どんなに好きでも、友達ってのは友達だ。それ以上にはなれない。同じ苗字になれないし、口付け一つ許されない。悔しくても悲しくても、それは何時か来る運命だ。惚れた俺の負けなんだよ。だけど撫子に惚れた男がまだいない以上、俺はその悪の芽を摘むしかない。
「うちの撫子をアイドルにだって!?ふざけるなよロリコンペド野郎っ!確かに撫子は可愛い!だがどこぞの野郎共の性欲処理のおかずになんかされて堪るか!大体そんな恐れを多いこと!」
最悪お前ら消されるぞと睨んでやるも、事務所の連中は解っていないようだ。
「議員に藤原ってのがいるだろ。撫子はそいつの隠し子なんだよ。だから目立つことは出来ない。わかったら撫子に付きまとうのは止めろ。国家機密の一つだぞ」
それを記事にするならすればいい。死ぬだけだ。殺されるだけだ、あの時みたいに。
「君、恰好いいねーこの子の彼氏?」
「ば、ばばば馬鹿なこと言うな!俺は女だ!」
人の忠告もどこまで聞こえていたのか。スカウト男は俺の方をまじまじ見つめて観察する。
「や、大和。もう帰ろ?ね?」
俺の腕を引く撫子。頷いて帰ろうとする俺の腕をスカウト男は引き留める。
「おおお!いい!これはいい!これは売れる逸材だ!」
「はぁ!?」
「実に耽美じゃないか!今時珍しい黒髪清楚な淑やかな正統派美少女と!彼女を想う男装美少女の危ない関係っ!友情以上恋愛未満のギリギリの関係が生み出す浪漫っ!これはいろんな層を刺激するぞ!そうだな君たち、お笑い芸人になる気ない?女装タレントはいても男装タレントというのは珍しい!」
「なるほど、あんた俺達に喧嘩売ってるのか!?」
「いやいやいやいや!だって撫子ちゃんをグラドルにしたら君に僕ら惨殺されるだろ?」
「そうだな」
鉄パイプを片手に真顔で頷く俺に、ひぃいと悲鳴が上がる事務所内。
「なんならうちで奉ってる神さんに頼んで祟ってやってもいいけどな」
「おお!君巫女さんか。どっちかっていうと撫子ちゃんが巫女さんの方が設定的に人気出そうなんだけどなー現実ってのは酷いもんだ」
「人の実家にけちつけんなよ、おい」
「あ、あの……」
「どうした、撫子?」
おずおずと挙手をする撫子。俺が振り返ると彼女は戸惑いがちに言う。
「私、歌手だったら……なりたいな……なんて」
長年友達やって来たが、こんな風な撫子を見るのは初めてだった。何かをやりたいとかなりたいということはなく、いつも進路調査票を白紙のまま……放課後も居残り。そのまま書けなくて一人残され教室で泣いているのが撫子だ。見るに堪えなかったので、俺が第一から第三志望をそれぞれ大和の嫁、大和の妻、大和のスィートハートと書いて提出してやった。ついでに俺は家業を継ぎつつ撫子を娶ると書いて提出。撫子は俺の渾身のボケに吹っ切れたように笑ってくれて、それ以来毎年それをそのまま書くようになり、毎年その時期は俺達二人で生徒指導室に呼ばれるか廊下に立たせられるかして、二人で笑い合ったものだ。だから驚いた。撫子が歌手になりたかったなんて俺は全然知らなかったから。結局事務所の荒れ具合から今日の所話は保留と言うことで、事務所から変えることになり、その帰り道……俺は彼女に聞いてみた。
「撫子……歌手になりたかったなんて俺知らなかったよ」
「ううん、違うよ」
「え?」
「歌は好きだけど私人前に出るなんて恥ずかしいし」
「ならなんで……?」
「あの人は間違ってる。近い将来必ずこの国を……×××に売り渡す」
だけどその時撫子が話してくれたことで、俺は納得をした。
「あいつに……会ったのか?」
「手紙が来たんだ。こっちに来なさいって……もうこの国はお終いだから」
撫子は機械に弱い。パソコンも携帯も満足に弄れない。だが今時手紙なんてノーマークだった。しかし地位在る男が海外逃亡を企てる程のことが、この国を脅かしている。撫子はそれを知ったのだ。
「大和……私ね、このままじゃ駄目だと思うんだ。私も、この国も」
彼女が考えているのは責任と、自分の役目。進路一つに悩むような彼女を俺はずっと子供なんだと思っていた。だけど本当は違った。彼女はずっと思い悩んできたんだ。自分が生まれた意味……それを果たすべきか否か。俺と同い年の女の子。彼女が一人で背負うには、この国は重すぎた。俺が書いてやった進路調査票。それが嬉しかったのだと彼女は笑った。
「撫子、今……その言い方は狡い」
「うん、私は狡いよ」
そう言われれば俺が断れないのを知っていて、俺を必要としてくれている。撫子の考えていることは、いつかきっと誰かか自分のどちらか……或いはどちらも血を流す。それを理解した上で、それじゃあなと彼女を見送ることは出来ない。歌手を目指すと言うことは芸能界に……この国のメディアに深く関わること。撫子は諜報活動のためにこのスカウトを受けようとしたのだ。
「撫子、一つ約束してくれ」
「何?」
「俺がお前を守ってやるから、少なくとも俺より先に死ぬんじゃない。良いな?それが出来るなら……俺も一緒に行ってやる」
*
決起は俺達の予想したより大分早まってしまった。本当はもう少しアイドルとして知名度が上がってからの方が良かったのは確か。
しかし×××がいる手前。これ以上俺達は仕事を貰えない。先日のライブを見ればそれは火を見るよりも明らか。なら、このチャンス逃すわけにはいかない。
大和は鏡を見て、頷いた。顔を洗って眠気を払う。
これから先、一瞬だって油断は出来ない。煽動者として代表にされたのは撫子なんだ。命が危ないのは彼女。彼女を守るために、俺は油断は出来ない。
「しっかりしろ、しっかりしろ……俺」
ピシャリと自ら頬を打ち、気合いを入れる。
何も無謀な賭けじゃない。あのライブを見て思った。×××さえ恐れる音楽集団が今この国に来ている。そいつらと手を組めればこの革命、失敗で終わらない。
「撫子、少しは休んだらどうだ?」
「大丈夫、私は大丈夫だから。大和こそ少し横になった方が良いんじゃない?」
大昔の女学生を思わせる袴姿の俺の相方。黒髪に大きなリボンがよく似合う。対になるよう俺は学ランを着せられているわけだが、本当に女の俺の目から見ても撫子は可愛い。惚れ惚れしていると、彼女ははいと自らの膝を示す。
「よ、横になるっておい、まさか」
「うん、膝貸してあげる。何かあったらすぐ起こしてあげるから」
心配して傍からなかなか離れられない俺を気遣ってか彼女は優しく微笑んだ。
「そ、そんなのテレビに映ったらどうするんだよ」
「今は他の特番流してるから大丈夫。もしこっちに切り換えても、いいんじゃないかな」
「いや、よくないから!」
「だって、こういうテロって犯人の怖いところばかり見せても意味がないでしょ?私達が普通の子供で普通の女の子なんだって言うのを知って貰うのもいいと思うの。その上で私達が何のためにこうしているのかを知って貰うためにも素の姿を見て貰うのも悪いことではないでしょう?」
撫子の言葉には妙な説得力がある。確かに視聴者を脅えさせるのは俺達の目的ではない。目的はこの国が乗っ取られかけていて、今にも撫子の親父が無理な法案を押し通そうとしている。それを知らせて外国からの侵略を防ぐのが俺達の目的。本当なら他の勢力の力を借りずにこの革命を成功させたかった。この国の人々の力だけでそれを為し得てこそ。しかしそうも言っては居られない。それくらいこの国は瀬戸際にいる。その危機感を誰も持っていない。だからこそのこの腐敗。
何世紀か前の人間は、音楽が世界を救うなんて馬鹿げたことを言っていたみたいだが、その結果がこれだ。音楽が世界を壊す。この世界を滅ぼすのは音楽だ。無宗教で無神論者ばかりのこの国で、生身の人間を偶像崇拝。量産される神々。音楽は人を狂わせる何かを持っているのか。
(撫子が歌ってる……)
そっと俺の髪を撫でながら、子守歌のように優しい歌。それが疲れた俺を癒してくれる。
本当は彼女は歌が上手いんだ。それでもアイドルとしてはわざと下手に歌ってる。下手に歌えと上から命令が来て居るんだ。歌の上手いアイドルなんてアイドルらしくもない。かといって歌手とは認めない。第一音楽番組には×××がごり押しで出ずっぱり。同じ局内で余計な火種は要らないと。俺達は歌が歌えなくなる。それじゃあ困る。
撫子が歌を歌うのは、ちゃんと目的がある。だけどアイドルじゃ伝えたい歌詞を歌わせて貰えない。売れるための歌を歌わせられる。
それじゃあ意味がない。目的が果たせない。黒子田イルはそのために作ったキャラクターだ。俺達はこれまで彼女の姿を借りて、責め続けていたんだ。藤原首相のやり口を。その良心を刺激して、こんなことをもう止めるよう、訴えかけていたんだ。
(だけどここまでのことになるなんて……別の意味でこの国は恐ろしいよ)
謎に包まれた黒子田イルの正体が判明し、ネット上は祭り状態。これまで撫子を叩いていたような連中も、掌を返したように擦り寄ってくる。唯の絵にそこまでのめり込むとは。
今まで撫子を支援していたのはいわゆるアイドルオタクという奴だったが、それに黒子田イルのファンも流れて、その勢力はある種の一大宗教と化している。俺達の目的から外れた過激派が出ないことを祈るばかりだ。それでもメディアを押さえた今は、誤った情報が流れることはないだろう。その辺りは信頼できる連中に任せている。
それでも眠るのが怖い。起きた時に何か取り返しの付かないことになっていやしないかと。そんな俺の不安を軽減させるよう、撫子が優しく歌う。その旋律は子守歌のような不思議な響き。自然とうとうと眠くなる。
「大丈夫だよ、大和」
最後に撫子の声が聞こえ……音が途切れた。
*
「テレビ局を占拠したのは、首相の娘を名乗るアイドル。ついでに謎の電脳歌姫の中の人……か」
近場の別の物件へと拠点を移し、僕らはテレビとネットで情報収集。
それにしても驚いた。以前出会した脳味噌お花畑女がよりもよってその首謀者だとは。
「シュリー、本国は何だって?」
「上手く立ち回れ、だって。ボスは?」
「ボスも同意見。しばらくは様子見。それで私達に取って有利な展開になりそうな方に加勢して、恩を売るってのがベストね」
「そうだね……そうは言うけど」
テレビを見つけるシュリーは沈んだ表情だ。
「恩を売るという意味では劣勢である側に応援した方が多大な恩を売れる。だけどそれで僕らの勢力が痛手を受けてもいけない。今は彼らのクーデターに恩を売る価値があるのかどうかを見極めないと」
「そりゃそうだけどシュリー。これが壊滅させられたら、それこそこの国の覇権は×××に取られるようなもんでしょ?私らはそれ以外の勢力と一時休戦、手を組んで……あのクーデターを成功させるのが一番じゃない?」
「……姉さん」
フォルテでもリュールでもなく、暗く強張った声色でシュリーが言う。
「僕を襲ったのはフォルクローレの一員だ」
「何ですって!?」
「ウェルさん、このナイフの型を調べて貰って良いですか?これが写真です。ライアー、このナイフを調べて下さい。あ、袋からは出さないで下さいね。毒か何か塗ってある可能性があります。その毒の成分を調べるように回して下さい」
「シュリーぃいいいっ!」
テキパキと指示をこなす片割れに、フォルテは肩をぶるぶる振るわせる。
「なんだってそんな危ないことしたの!」
「拠点に入る前に始末しておきたかったから。あ、これクレープ。コンビニのだけど」
「わーい!……じゃないっての!それならそうと言ってくれれば私がその役買ったのに!」
「お手洗いに行くついでだったし、まぁいいかなって」
シュリーの見え透いた嘘にフォルテが激昂するも、シュリーはそれをさらりと流す。
「良くないからっ!あんたは危ないことしないの!接近戦は私のが得意なんだから!」
「だからだよ。そんな僕とフォルテが二手に分かれたなら僕を追うのは自然なことだ。リードの援護もあったし何とかなるかなぁって」
「はぁ……心配させないでよ、馬鹿」
フォルテは悲しそうに目を伏せて、クレープの封を切る。ふて腐れたような顔でそれをもごもごほおばる姿は少し愛嬌がある。だけど寂しげだ。シュリーに頼って貰えなかったのが悔しいのだろう。
「それでも収穫はありました」
「収穫?」
「あのジャックの様子から察するに、×××と深い関わりのあるテレビ局は今日一日、他の三強である僕ら、それからトロイカの仕事の邪魔をした。そしてフラフラ観光を始めた僕ら、多分トロイカもそうだったんじゃないかな?その後を追いかけ始末を図ったのがフォルクローレ。となれば×××とフォルクローレは共闘関係にあると見るのが正解だ」
「……確かに私らの仕事場全部邪魔するってなるとかなりの労力要るわよね?それを見て今日しかないと思ったのかしら?」
テレビの中から訴えかけてくる歌姫。情報操作や娯楽を奪うというのが目的ではないという意味で、今は一つのチャンネルを残し、後は何時も通りの放送番組を流している。そして早速他のチャンネルで×××勢力が情報操作を始めると、そこをささっとテロップ字幕で注釈が入るという面白構成がウケ、ユーモアとしても評判だ。あまりにも酷い情報操作には下に小型の画面が出て暴露番組が流れるという恐ろしい情報力で報復している。
「彼女たちはテレビ局だけじゃなくて、人口衛星まで乗っ取ったって事か」
「あんたから見て、どうなの?」
「僕は無理。多分個人じゃ無理だろうけど、右派の人脈があるんじゃないのか?多分国内にハッカー仲間が点々と居ると見て間違いない?それか今の首相がよっぽどの間抜けだったかのどちらかだ」
隠し子が国の機密に触れられるような環境であったというのなら、その男は大馬鹿だろう。まぁ、その両方だったという可能性も勿論ある。
「どちらにせよ今日まで藤原撫子……黒子田イルの正体が誰にも掴めなかったのは、彼女側には情報に強い守護者が居るってことは間違いない」
「仲間に出来たなら、これは大きい。他の勢力もそう思っているでしょう。しかし敵に奪われるくらいなら殲滅させておきたい。これも事実」
「それじゃあ彼女たちは……」
そう。衛星さえも乗っ取れるという能力をアピールしたのは、他の勢力の支援を期待して。彼女たちの目的は、あくまで現状維持。今ある国土の保全と人民の平和だ。侵略から見逃してくれるなら、その力を協力のため差し出しても構わないとすら受け取れる。それが駄目でも革命の火種くらいにはなれる。
「生きて成功すればそれでよし。失敗したとしても偶像崇拝には持ってこいの殉教者。担ぎ上げられるのは目に見えている」
「幾ら支援欲しさにって言っても他の思惑の政治団体に利用されなければいいんだけど……」
そうなる前に支援してやりたいとフォルテは言うが、シュリーは動かない。
黒子田イル。彼女の正体にネットはスレッド乱立の大騒ぎ。謎が持ち味だった黒子田イルのとんでもないハプニング。夢が壊されたとアイドルのブログを荒らしている連中もいるにはいたが、そんなものは一部だ。元々大和と撫子のファン、そこから黒子田イルのファンとして流れる者、そして新たに今回の事件でファンになる者。そう言った者が大騒ぎをしているのだ。
そう、これが中途半端な美人だったら荒れの大荒れだっただろう。しかしこの藤原撫子という少女、確かに顔は可愛いのだ。けちのつけようのない美少女だ。そんな清楚な感じのお嬢様が、過激にもクーデター。おまけに父親である首相の悪事の大暴露。敵が黒ければ黒いほど、彼女は白く輝いて見えるものらしい。クーデターの首謀者が、髭面のおっさんとかは絵的に映えない。しかし現役アイドルの捨て身のクーデターともなれば、多くの人の関心も生む。
《あなた方の愛している音楽!誰もがどんな歌を好きでもそれはいい。私はそう思います。ですが音楽戦争は、やがて歌姫の名を借りて政治だけを歌うようになる!領土問題、人種差別!そうやって私達のモラルを常識を蝕んでいきます》
あの人の歌が好きだから。あの人も好きになる。あの人の言葉が全てだと思うようになる。
あの人がそういうのならと、それを全面的に肯定し出す。そういう洗脳が侵略がもう深いところまで来ているのだと少女は涙ながらに訴える。
《私のファンになって下さいとは言いません。私の歌がお嫌いでしたらそれで構いません。あなた方には私を嫌う自由があります。私への否定の言葉ならば幾らでも聞きましょう!しかし!祖国を否定する言葉を、私はこれ以上聞きたくはないのです!》
《さぁ、まだまだこんなもんじゃないぞ!これが極秘裏に入手した、お偉いさん達の文書だ》
画面に映し出されるのは、三強の一つ×××の勢力下に入るべく、他の議員達を説得するための根回し金回し。そこに費やされた政治資金の合計金額が記されている。
《皆さん、これらすべては私達の税金によって賄われています。侵略のお手伝いを、私達は義務づけられているのです!こんな男が一国の長だとは、信じたくありませんがこれが事実。お父様。私は貴方が恥ずかしい!貴方の娘であることが恥ずかしいっ!お父様にも恥を知っていただきたい!》
「正直舐めてたわ」
テレビの声にフォルテがぼそっと呟いた。
「こんな小さな国、すぐにどこかの勢力に付く。すぐに音楽戦争が始まるとばかり思っていた。だけど……こんな土壇場で、ふん張る奴がいたのね」
見直すようなその声で、フォルテの視線が僕へと移る。
「何?」
「ウェル、あんたはどう思う?」
「どうって」
「あんたこの国の国民でしょ?ああいう女見て何も思わないわけ?」
「いや、馬鹿だなぁって」
「あんたって男は……っ」
何故フォルテは怒るのだろう?彼女も侵略する側の人間であるはずなのに、敵であるはずのあの少女達の肩を持つのは。
だってそもそも、こんなのどうせ失敗する。今のこの国はもう取り返しの付かないくらい腐りきっている。如何に正論を聞かされたって、今あるものを失うのが嫌なんだ。今日と同じ明日を享受することだけを求めている。そうした先にそれがなくなるのだと知っても、無くなるその日までずっと彼らは僕らはそれを享受する。無くなったら多分、みんな昨日の僕のように飛び下りるだけ。革命なんて聞こえは良いけど、今日と同じ明日の中では英雄ではなく犯罪者。法の下に何をされるやら。その法が歪んでいるのだとしても、見栄だの体裁のために、僕らは数々の悪を見逃すのだ。そういうものなんだよ、この国は。国民性なんて無い。みんな自分の枠でしか世界を測れない。自分が良ければそれで良いんだ。そうなってしまったんだ、何時からか。
僕らは国に住んでいる。僕らという名の国に。それは誰もが一人ぼっちの王国だ。それを守るためなら戦うけれど、本当の故郷のためにきっと僕らは戦わない。そうしてテレビに映っているあの子を見て、僕と同じように僕らは彼女を笑うのだ。ああ、馬鹿な女だってね。そんな僕の侮蔑の視線。それが自身にも向けられているように思ったのだろうか?フォルテの肩がわなわな震える。
「いやだって普通に考えてこんなクーデター上手く行くはずないだろう?それを解ってやってる以上やっぱり馬鹿だなって感想しか出て来ない」
「あんたは本当に自分の生まれた国に対する愛ってものが全然ないのね!」
フォルテは僕を睨んだ後、シュリーの方へと向き直る。
「シュリー……あんたは」
「失敗するのが解っててこんなことをするってことは……やっぱり別勢力との共闘を望んでのこと、なのでしょうね」
「三強の一つと完全に敵対するって意思を示す以上、私達とトロイカは味方に付いてくれるんじゃないかってことなのかしら?」
「だからこそ、迂闊に動けない。もし僕らが彼らに協力したところで、トロイカが×××と組んだらどうなります?向こうにはフォルクローレも居る」
「仮にこいつら助けるんなら、私達も他の勢力への協力要請をする必要があるってことか……」
「ええ。僕らは最悪この国を取れなくとも、この国を取った相手に恩を売れればそれでも良い。他の三強とそれに組する派閥に覇権を奪われなければ問題はない。第二段階時に僕らの敵にならず同盟を結べるのならそれに越したこともありませんから」
「ボス達はだから好きにやれって言ってるわけね」
心情的にはクーデター側の応援をしたいが、下手に動くと問題だ。フォルテ達にとって一番なのはトロイカがこのクーデターに応援したところでそれに加わること。それならば安全して恩を売ることが出来る。
「しかしフリューゲル様。トロイカ側も本日仕事の邪魔をされたのですよね?でしたら彼らも×××勢力は良くは思っていないはず」
「そりゃそうだけど、上が何て言うかでお人形なんかどう動くか変わってくるわよ。私らだって本国とボスから何か言われたら、不本意ながら×××の味方にならなきゃいけないことだってある」
うーんと唸りフォルテは片足をトントンと床を叩く。考え込む時の癖なのだろうか?彼女は暫くそれを続けた後、おもむろに顔を上げて……
「それなら、他勢力と話し合いの席を設けるってのが一番よね」
「……いえ」
「え?違うの?」
「あのアイドル、大和と撫子は全てのメディアを掌握した×××派閥のテレビ局に出入りして、従う振りをして仕事を貰い名声を上げてきた。だけど本当はそこから内部の情報を得て、今日の決起を行うために甘んじて来たのでしょう」
「それは解るけど」
「彼女たちは世論に是非を訴える。判断を下し答えを出すのは政府です。僕らは政府に最善の選択を迫るべきです」
脅してでもそうさせる。政府が判断を出す前にクーデターに荷担すれば、これはちょっとした問題だ。行き過ぎた内政干渉は後々厄介なことになる。政府の判断に民衆が決起するなら話は別だが。それを理解した上で、シュリーはそんな言葉を吐いた。
「……だけど首相に何てどうやってアポ取るのよ?圧力かけるにも経済的にあんまり繋がり無いから交渉難しいわよ?それ考えるならやっぱり人質取ってってのが一番……」
「あの手のタイプは駄目ですよ人質なんか。家族や娘を人質にしたところで無意味です。それを犠牲に冷静な判断を下しましたと言って数値アップのパフォーマンスにするのが目に見えている」
「なら、本人を人質にするのが一番?」
「でもそうなると蜥蜴の尻尾切り。議員全員人質にする位ではないとどうにもなりません」
「流石に国会に襲撃かけたら私らがテロリスト認定されるじゃない」
「ですよね……」
溜息を吐き合う双子。それと同時にテレビの中の演説は一時的に休憩。合間合間に大昔のこの国の映画や歌特番が流れる。元々はこの国の物であったというそれが。
「藤原……ね」
何処かで聞いたことがある。ザッと調べたところでは今の首相に娘はいない。息子はいるが娘はいないことになっている。今朝の新聞では娘などいないというインタビューが載せられている。撫子という少女が本当に首相の娘なのかそうではないのかということも今回の騒動の注目のポイントの一つになっている。しかし多くの人々はこの騒動すら娯楽の一つ、面白いテレビ番組か何か程度にしか思っていない。
「どのくらいの武器をあの場に隠し持っているかはわかりませんが……武力を持ち出されたら、おそらくあんな籠城戦幾らも凌げません。幾ら人質が居るのだとしても、最終的に作戦は決行されるでしょうね」
「じゃああの子達の目的って……」
「放送することです。例え目の前で自分たちが惨殺されようと、それをこうして人々の目に見せつけて、それが真実であると危機感を持たせるために」
「…………」
そこまで考えて、あの花畑女はこれをやったっていうのか?それは話してみないことには解らない。
「ウェルさん、何か気になること……ありました?」
僕が考え込む様子なのに気が付いて、シュリーが隣にやって来る。
「ちょっと、これ見て欲しいんだ」
椅子を譲ってPCの画面を見せる。それは十数年前の新聞記事だ。
「ちょっと前なんだけど、この国に藤原って名前の歌手がいたんだ。一度そのスキャンダルが上がった事があったんだけど、それが雑誌の発売前に権力でもみ消された。それでその雑誌は廃刊に追い込まれた。相手の名前はわからないまま。その数年後に歌手は変死。今となっては真実も不明」
マウスでカーソルを動かし、頁を更に僕は捲る。
「その数年後にその記事を書いた記者が他の出版社で真相を書こうとしたって噂がある。正確にはその記者が不自然な自殺を遂げた。警察はさっさとそれを自殺で処理したんだけど、面白いことに記者の家からはその家の鍵が失われていた」
「事件の発覚を遅らせるため誰かが外から鍵を掛けたってことですよね?」
「或いは自分を狙う相手が居ることに気付いた記者が、死を覚悟しそうしたかだよ」
「え?どういうことよ?」
話の流れに興味を持ったのか、フォルテもPC前に現れる。
「記者はもう逃げ切れないと知ってまずアパートの鍵を処分した。おそらくは管理人が敵の手に落ちマスターキーを譲り、肝心の記事の家捜しをしたんだろう。そうして記者は自宅内に隠れていた何者かに殺害される。そして犯人はマスターキーで鍵を閉めて出て行ってしまった」
「開け放しにしていれば早々に他の住民に気付かれる。せめて腐ってから見つかった方がいかにも自殺らしい。すぐに見つかってはならない。だから鍵を掛ける。それを見越して鍵を処分していた……記者は部屋に犯人が潜んでいることを知って、帰ったってことですか?」
「ああ。事件の不自然さを残し、何かを訴えるために恐らく彼はそうしたんだ」
「これ、記者の苗字……橘って、まさかあっちの男装アイドルの血縁者ってこと?」
「それなら彼女があそこに居る理由も見えてくる。そう思ってのこじつけさ」
それでも鍵を掛ける理由の説得性は出る。身内である幼い子供が度々遊びに来るのだとしたら?鍵が開いていたならその子がすぐに見つけてしまうのだとしたら?例え鍵が見つからなくても犯人は鍵を掛けなければならなくなる。記者が自殺をする前に、鍵をかけ忘れ、鍵を紛失し、尚かつ部屋へと戻り鍵を内側から閉め自殺したという、かなり無理な暴論を自殺と断定させたのは……犯人の持つ権力か。
「こじつけには過ぎないけど、燃料投下はしておこう」
僕がパソコンに向き直ってしばらく、背後のテレビから大歓声。何事かと振り返れば、そこには見覚えのある顔が一つ増えていた。
*
「何なのですあの×××という団体は!私達に喧嘩を売って来ているのですね!ここは本国の力で支援をお願いしましょうイーリャ!」
「お、落ち着いてください、姉さん。それはちょっと早計過ぎます」
「売られた喧嘩は買わないと、舐められます」
「カチューシャまで……はぁ」
二人の姉が闘志剥き出しでぐるると吠える様に、弟の我が身をイリヤは呪う。こういうとき、女の人に言葉という物は届かない。
「確かに×××のしたことは僕も許せません。でも僕らが勝手に動くわけにはいかない。本国からの指示があるまでは動けません」
「秘密裏にクーデター側に供給物資の支援はどうです?」
「それくらいならなんとかなりそうですけど……万が一バレても人質への支援だと言えば良いだけですし。では水と食料、それから毛布の手配を」
「イーリャ、ここは手榴弾とライフルでよろしいのでは?」
「ロケットランチャーが良いと思います」
そんなもん送り付けたら言い訳のしようがないんですけど。そう思ってみても姉二人はその言い訳でそれを通してしまいそうだから怖い。
「すみませーんっ!水と食料と毛布お願いしまーすっ!あと簡易トイレの手配を!」
物騒なことを言い出した姉二人を無視し、イリヤは手配を頼む。本国と通信をし、その旨を伝えることも忘れない。
「本国側からは、上手く立ち回れだそうです。唯……」
「唯?」
「バロックの動き次第では通達が出ることもあるから連絡を怠るな、だそうです」
他の三強達との全面戦争はやがて来る。それでも2対1の1側になるのは避けたい。2に留まってまず1を潰す。その後お互い殺し合う。これが一番効率的な方法だ。
そう、出来ることならここで弱い側を潰すのではなく、なるべく脅威である者を蛸殴りして壊滅させておきたい。×××というのは情報戦争分野では驚異的な相手であり、敵に回すと厄介な者だが、味方にするとそこまででもない。軍事力から見るに敵に回して怖いのは西からの刺客Barock。教会圏の連中は既に団結した連合のようなものだ。各国の文化と風土を守るため、教会信仰という物で人を一致団結させた恐るべき集団。一国一国相手ならそこまでの脅威ではないが、固まられると非常に厄介。×××の比ではない。
「きゃああああああああああああ!」
「な、何事ですか姉さん!?」
突然黄色い悲鳴を発した姉さん。見ればテレビに軽薄そうな茶髪の男。昨日……いや、一昨日のペットボトルの男だ。
「黒烏様!テレビでもお素敵ですわ!これは全国ツアーのCMですのね!」
何があったのか、姉さんはその男を見てうっとり惚れ惚れしている。
「イーリャ、びでおてーぷなるものを持ってきてください!でーぶいでーとかぶるーでえーなるものでもいいです!私録画などわかりませんの。早く録画してくださいな」
「ね、姉さん何考えてるんですか!?あの男は僕ら本国と敵対する国が本拠地のろくでもない野郎ですよ!?」
それでも長年の習性か。姉の命令に脊髄反射的に身体が動き、録画をスタートしたところで我に返った。何してるんだろう僕。イリヤは少し落ち込んだ。二人に何があったのかわからないが、よりにもよってあんな国の代表音楽家に現を抜かすことはないだろうに。
今のあの国を内側からどうにかするってクーデターなら協力はするかも知れないが、すっかりあの国の中でのし上がったあの男が僕らの味方であるはずがない。ヒーロー気取りの嫌な奴。世の中そんなに上手く行く者か。音楽一つで国を変え、国を救った例なんて後にも先にも彼らだけだ。
「まるでロミオとジュリエットみたいでドキドキですわ」
「姉さんん!この大変なときに何言ってるんですか!?」
本国の耳に入ったら、姉さん始末されかねない問題発言。姉さんは今、ちょっと悪そうな男に惹かれる年齢なのかも知れないが、だからって何も敵をそんなにじっと熱い視線で見ることはないだろう。軍事力は大したことはないが、単純に支配地域の大きさだけなら969メイカーも油断ならない。彼らはこういうクーデターを起こす側だったり支援する側。今回も間違いなく支援に回るだろう。そうしてそれをこれまで幾度も成功させてきた。
これは脅威かも知れない。僕は姉さんに気付かれぬよう、テレビに夢中の姉さんに隠れて本国へメールを送る。このもう一つの脅威に対する報告を兼ねて。
「イーリャ兄様」
「な、なぁにカチューシャ?」
さっと振り返りパソコンに背中をくっつけ画面を隠せば、何か言いたそうな顔のエカテリーナと目があった。
「お腹減りました」
「あ、そっか。じゃあ買い出しにでも行こうか?カチューシャも行く?」
「はい」
「イーリャ、昨日広告で見た新触感ぷでぃんぐなる物を買ってきてくださいね。お釣りはお駄賃として取って置きなさい、姉は寛容です」
「姉さん、ちゃんとこっちの国の貨幣に替えて下さいよ。これじゃ使えません」
「ならば本国に戻ってから使えばよろしいではないですか」
どちらにしても立て替えておけってことらしい。イリヤは深々と息を吐き、エカテリーナと共に部屋を後にする。ホテルの部屋の前には護衛が居るし、この階は貸し切っている。本拠地としては安全な部類にはいるだろう。
「イリヤ様、エカテリーナ様、お出かけですか?」
「はい。ホテルの中に売店とコンビニがありましたよね?そこまで。あ、お供は大丈夫です。姉さんが不審な動きがないよう監視をお願いします」
「しかし」
「大丈夫ですよ、万が一僕らに変な物が付いてきたとしても、この階に入ってくれば蜂の巣じゃないですか」
僕がそう微笑めば、護衛は行ってらっしゃいませと一礼し僕らを見送ってくれる。ホテルのロビーには大きなテレビ。その中にはクーデターを起こした少女の会見の様子が映される。
「うーん……部屋で食べられるものだとあんまり良いのないな。姉さんにお土産を買うとして、後はルームサービスにするか……あれ?あ、ここってレストランも入ってたのか」
覗いてみればまだ朝早いのに、もう開店しているらしい。メニューに出ている朝食メニューもなかなか美味しそう。
「カチューシャ、向こうで食べてみる?姉さんあんな調子だし、傍にいても話にならないから」
正直、あんな調子の姉さんの傍にいるのは疲れる。今は少し距離を置きたい。そう思っての提案だったが、エカテリーナは嬉しそう。朝食の味自体も悪くはないし、姉さん改め妹の機嫌も良く見えるのでいい息抜きになった。そう思ったのだけれども……入ったレストランの中でも姉さんの見ていたのと同じ番組がやっていた。
その特番に出ているのはあの969メイカーのヴォーカル男。後ろではギター振り回して大乱闘を繰り広げてる、男の相方まで見える。
ここまで来るまで機動隊にでも邪魔をされてきたのかもみくちゃにされて軽度の怪我を負っているが、それを音楽の力でこじ開けてここまでやって来たのだろう。でも……音楽 (物理)とか歌 (ファンたる一般市民の支援)というのを音楽に分類して良いものか。
《国とか政治とかそんなもんはよくわかんねぇが、俺達969メイカーは分の悪い賭けが好きでね!こっちのお嬢さん達に味方させて貰うことにするぜ!》
《これで俺とあの子のフラグ立つんじゃね?》
《いや、それは無理だろロック》
軟派な男は姉さんだけに飽きたらず、クーデターの少女達まで手を出すつもりなのか。何て男だ。
「イーリャ?」
「え、ああどうかしたカチューシャ?」
奥歯を噛み締める僕に気付いたのか、エカテリーナが僕を見上げる。
《まぁ、俺らがテレビ局中まで入ったらあっちの主張がどんなものであれ俺達と同じ破落戸だと思われるからな。俺らは外で警備の盾として働かせてもらおうかなって話。こらロック、俺のギターまで武器に使うな!それ高い方のギターじゃねぇか!それ使うなっ!今度やったらお前が最初の二,三年はエアギターだったのばらすぞ!》
《もうばらしてんじゃね?》
《てめーはもう殴ってんじゃね?ってだからその言い回し止めろ!俺まで移るっ!》
二人の男とそのファン達は、あくまで突撃の防止のためにそこにいる。確かにこんな暴れ屋達が中に入れば、クーデターの質も品位低下する。それが解っているからこそ、彼らはそこにいるのか。
(僕らが×××側につけば……あの男をここで抹殺できる)
音楽戦争でいずれ戦う相手だ。本国だってなるべく第二段階前に敵を始末出来ればそれに越したことはないと考えている。
(仕事だと言えば姉さんだって、流石に割り切れない女じゃないはずだ)
今の内に上に報告してそういう風に話をまとめて貰おうか。僕がそう思った時だ。僕の服をぐいぐいと引っ張るエカテリーナの姿が見える。
「兄様」
「何?」
振り返れば微妙な顔で妹が言う。
「姉様が今、外に出て行きました」
「えええ!?警備の人達何やってたの!?」
しまった。僕らの帰りが遅いから迎えに行くとそういう建前で、出て行ってしまったんだ。何しに?あの男に会いに?あのクーデターに荷担するという結論を出してもう上に報告してしまったのか!?姉さんなんてことを!!
(まだバロックがどう動くかもわからないのに……)
苦々しい気持ちになりながら、それでも僕は追うしかない。上の階の護衛達に連絡し、至急車を手配するように頼み、カチューシャを残す。
「僕は姉さんを追いかける!僕の発信器を追って迎えをお願い!何かあったら連絡する!」
「兄様!」
姉さんの発信器はまだこのホテルを指している。きっと忘れていったんだ。故意か意図せずかはわからないが、早く追いかけなければ見失う。僕は小さくなった彼女の背を死に物狂いで追いかけた。
(くそっ!タクシーを拾われた!姉さんしっかりこの国のお金も持っていたんじゃないか!)
同じく車を拾って追おうにも、今からでは追いつけないか。それでも目的地は解る。イリヤはすぐさま手を挙げタクシーを拾い、大声で運転手へと告げた。
「××テレビ局まで!」
久々に更新。
政治とか音楽事情にイラッとすると執筆が進むという謎な作品です。
とりあえず歌歌いが炎上→ファンからの意味不明な擁護……という流れを見ると音楽って怖いなぁとつくづく。
音楽や歌が好きでも歌ってる人に対する興味が限りなくゼロな自分は、なんとも理解しがたい事柄で、何でそこまで夢中になれるんだろうなと驚くことも屡々。
音楽って偶像崇拝に繋がるところがあるんだろうか。顔が見えない相手を美化しすぎて虚像崇拝って感じに仕上がってしまうのか。
唯音楽だけ聴ければ良い派の私は、ライブのノリについて行けずCDで満足してしまうタイプの人間です。歌は気に入っても、相手は人間だろうと思っているので神格化するほどのめり込むことって無いんだよな……




