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我輩は猫であるが、英雄の足元にいた ~異世界転生した猫は、英雄譚の裏側を見てしまった~  作者: 我輩
我輩は猫であるが、世界が我輩を忘れてくれない ~英雄譚を壊した存在は、神話になりかけている~

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降車

 朝は、

 どの町でも同じように始まる。


 


 鐘が鳴り、

 扉が開き、

 人は昨日の続きを生きる。


 


 我輩は、

 その町の外れに立っていた。


 


 誰にも、

 見られていない。


 


 それが、

 一番自然だ。


 


 背後では、

 すでに物語が動いている。


 


 英雄の席が用意され、

 説明が配られ、

 不安が整理されていく。


 


 完璧な流れ。


 


 我輩は、

 一歩、前に進む。


 


 誰も、

 呼び止めない。


 


 呼び止める理由が、

 もうないからだ。


 


 猫は、

 象徴として使われ、

 役割として消費された。


 


 それで十分。


 


 振り返らない。


 


 振り返れば、

 また物語になる。


 


 我輩は、

 草の中を進み、

 道なき道へ入る。


 


 そこには、

 英雄も、

 観客も、

 説明もない。


 


 ただ、

 風がある。


 


 しばらく歩いて、

 我輩は立ち止まる。


 


 何も起きない。


 


 それが、

 正しい。


 


 世界は、

 我輩がいなくても、

 回る。


 


 それを、

 確かめる必要もない。


 


 我輩は猫である。


 


 物語から降りることは、

 敗北ではない。


 


 それは、

 物語にしないという選択だ。


 


 背後で、

 誰かが英雄になるかもしれない。


 


 誰かが壊れるかもしれない。


 


 だがそれは、

 我輩の責任ではない。


 


 猫は、

 世界を救わない。


 


 世界も、

 猫を必要としない。


 


 それで、

 均衡は保たれる。


 


 我輩は、

 静かに姿を消した。


 


 名前も、

 影も、

 残さずに。


 


 物語は、

 ここで終わる。

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