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ザインクラフト  作者: 白黒灰無
第四章

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黒金都市の行方


いつものオフィスから都市を見下ろす


これからのことを見据え、頭を悩ませた


白銀都市はもう、止まらない

ロハネの遺跡攻略を実行に移す旨を、連絡してきた


結局白銀都市は意向を変えなかった


我々は選択を迫られている


白銀都市と、全面戦争をしてでも止めるか、それとも好きにやらせて放置するか


白銀都市がロハネの遺跡に手を出して失敗する分には問題がない


だが、もし成功してしまったら?


ロハネの遺物は厄災と同じだ 


使えば必ず大きなしっぺ返しを喰らう


だが


そうでなかったら?


その恩恵は想像を超える


ものによっては白銀がこの星の覇権を一気に握る可能性があるからだ


人類史上、ロハネの遺物を使いこなしたものはいない

表面上、うまく使えているように見えても、必ず何かしらの負債を負っている


だが、もし制御可能なものであったのなら…


そんな妄想をしてしまうものは多い


懸念だけで、諍いが起こる

それだけの技術力があるということでもある


もう、ぶつかることは避けられない


■ 君は、本当に消えてしまったのか?


消えた誰かのことを想う 名前も顔も思い出せないのに、確かにその人物は存在していた


■を追う■■■■■もその存在を消した

おそらく、負けたのだろう 馬鹿なことを…

他の都市すら巻き込んで


赤錆都市や青鉛都市もいまは荒れている

青鉛都市に至っては都市の住民が一人残らず消えてしまった


たった一人の人間を巡り、この惑星の人類全体が右往左往し、その維持がガタつく異例の事態


とんでもない男がいたものだ


さぁ、私も準備しなければ…


「間に合ったか?」


「誰だ!」


視線を前に向ける


ここは私専用の執務室だ 


許可なく誰も入れない 


にも関わらず何のセキュリティに引っかからず入るのは不可能! 


何者!?


「やはり、覚えていないのですね」


目の前には見知らぬ子供 


褐色の肌に漆黒の長い髪 


女の子にさえ見える綺麗な顔立ちの10歳くらいの子供だが……


チリチリと頭が苛つく


君は…


誰だ? そう言おうとしたその直後、その少年は私の目の前にいつの間にか立っていた


何!?


距離を刀に手を伸ばすよりも先に少年はこちらの頭に手を伸ばす


何を!


「少しばかり、治療を、させてもらいます」


「ふざけッ!」


バチンと頭がスパークするような衝撃が起き


次の瞬間、記憶が蘇る 


欠けたはずの記憶が戻ってくる


そんな感じだ 身体が再生していくように 


記憶が回復する 


そんな感覚を、初めて味わった


「うぐっ! ん!? 冬……なのか?」


見知った時よりも身長が縮んでいるが、面影がある


「ええ、そうです」


「…色々聞きたいことがあるが、とりあえず、無事だったことを、喜んでも?」


「お好きなように」


ふっ 彼らしい返答だったことに妙な安心を覚えた


「…ディラフトは?」


「殺しました」


「!!!」


わかっていたことだが、やはり、そうなってしまったか


「…そうか」

そうとしか言えなかった

本当に、残念だ


15年の間、彼の多大な尽力があった

彼に感謝している者も多い 冬が悪いわけではないが、恨むものもでることになる いや、誰も、覚えてはいないのか…


「俺も、残念、ですよ こんな結末になって」


「…そうか」


冬とディラフトは決して相性のいいタイプではない様に感じていた 


なのに、お互いにどこかでリスペクトをしている、そんな不思議な雰囲気のある2人だった


「話を変えよう ここに現れた君の意図を 私を、殺しに来たのかね?」


「まさか それならあなたに気づかれる前に殺してますよ」


「…そうか」


あまり安心のできる話ではなかったが


「ではなぜ?」


「まずは感謝を ディラフトの横暴に乗らないでくれてありがとうございます」


「どういたしまして」


といっても、感謝されるのもどうかと思う内容だがね


「それと、情報収集も兼ねて もちろん、存在劣化症の治療も行いますよ」


「…いいのかね? 私は参加はしなかったが、とめることもできなかった」


「構いません 仮に止めようとしてもあれは止められないでしょう?」


「それは…」


「それにそうでないなら、こんな提案はしません あの馬鹿のせいで良識ある人間が割を食うのは、ね」


「助かるよ そう言ってもらえると」


やはり彼は義理堅い 筋は通そうとする


「それと」


「白銀のことか」


「…ええ」


「それなら事態が動いた 白銀はロハネの遺跡に向かうようだ 期日は明日だ」


「……ギリギリ、間に合った、でいいんですかね?」


「地獄の片道切符だがな」


「君のその姿… 大丈夫なのかね?」


「大丈夫、ではないですね 大幅に弱体化ですよ

少なくとも白銀と真正面から正面衝突は厳しい」


「なら、どうするね?」


「黒金都市の統主として交渉させてもらいたいです

白銀都市に一度、立ち寄ってもらえますか? とある人物達を連れ出したい そのかわり、それが成功すれば、黒金都市と正式に貿易を開きます 存在劣化症の治療枠を増やすこともそうですが、今後、対虚無用の武装作成を進めていきたいと考えています」


「…ふむ 願ったり叶ったりだが、いいのかね?」


「…今、俺はあちらに関わるべきではないので 少しばかりこちらで活動してるほうがいいですから…」


「…君も、いろいろ問題を抱えすぎだな とりあえず明日ははやい こちらで部屋を用意しよう 明日は白銀都市に一度赴くが、いわゆる最終勧告に向かうだけだ

そんなに時間は取れない 用事があるなら、手短に済ませてくれ」


「ありがとうございます」


俺はその日眠れなかった 


時計の針がやけに大きく聞こえて でも、心は別のことで頭がいっぱいだった


彼女達に何と声をかけるのか 


そればかりを考えていた


もう、彼女達には面倒事に巻き込まれて欲しくない


ただ、健やかに過ごしてほしい


だが事態は俺の想定するものとは異なる形相をしていた


「…これは、一体」


極夜は白銀都市に着く少し前から怪訝な表情していた

白銀都市と連絡がつかないのだ


都市の警戒区域に入っても何らの接触や警告すらない


そして、都市内部に入り込んだその時


「誰も、いないのか?」


都市には誰一人としていなかった 兵だけではない 都民が一人も見当たらないのだ


冬は駆ける 彼女達の家へ


扉を開け、中に入る

そこには


「なん、だ…これ?」


大きな白い繭のようなものが部屋の中にできていた


俺はそれを力強く引き裂いていく


その中には…


「凛…!」


彼女に触れようとして、少しだけ躊躇う


触れても大丈夫、なのか?


だが、そんなこと言ってる場合ではないと気を取り直し


彼女を揺する


軽い


軽すぎる…!


呼吸はある


脈もある


なのに――


目を開けない


まるで死んだように眠っていた


まるで

“中身だけ抜かれたみたいに”


生きてはいる


だが、目を覚ますことはなかった


他の住民は見当たらない 


ロハネの遺跡へすでに向かったかと思い、遺跡周辺をくまなく探すも船影一つなかった


一体何がどうなっているんだ…?


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