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ザインクラフト  作者: 白黒灰無
第1章 

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宣言


「忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます」


まずは定型文であいさつを済ませる。

ダエワから抜き取った情報をもとに、作戦を立て、聖都奪還のための戦力を集める。


「皆様にお集まりいただいた理由は今後の方針について、お話をしたいと思っているからです」



「憑神の一機を打倒することに成功はしましたが食料や水源の確保はいまだ絶望的です」


「皆様には二つ道があります。

一つは海岸沿いに拠点を移す方法。

私には海水を淡水化させる技術があります」


「なので水源に関しては現段階でも解決は可能です。 

ですがその場合、食用の準備ができないうえ、戦線を後退させてしまうデメリットがあります。

私としてはお勧めできません。

もう一つは聖都に攻め込むことです」


この話をすると、民衆から動揺が波及する。



「聖都には【最後の善意】の恩恵があります。食用の農作土壌が残存している可能性があり、水源もギリギリ汚染を免れている状態です。ですがお知りの通り、現在ダエワに囲まれており、危険が伴います。なので選択は皆様に委ねます。私についてくるもの、ここに残るもの、その選択を私は強制いたしません。私は最終的には全ての憑神を破壊し、【最後の善意】を解放するつもりです」


そう宣言すると


「演説は御立派だが、現実が見えていない!

聖都はダエワに包囲されてるんだぞ!?

数も質も、装備も、全部向こうが上だ!

勝算のない突撃は“選択”じゃない、ただの“自殺"だ!」


ノルマの青年が声を上げると、他の者も諸手を上げてそれを揶揄し始める。


「今ここでじっとしていれば、ダエワだって飽きてどこかへ行くかもしれないだろ! 余計な刺激をして、あいつらを怒らせたらどうするんだ!」


「そうだ! 聖都なんて狙わなきゃ、俺たちはまだここで細々と生きていけるんだ。お前が勝手なことを始めて、平和をぶち壊そうとしてるだけじゃないか!」



「連れて行くだけが責任じゃないだろ! 残る俺たちの安全も保証しろよ! 水源を確保できる技術があるなら、それをここに置いていけよ。それがリーダーの務めだろうが!」


「勝てない戦いに俺たちの食料や資材を使わせるつもりか? 失敗した時、誰がその責任を取ってくれるんだ! 命で償うなんて言葉、死んだ後じゃ何の役にも立たないんだよ!」


極限状態ゆえの根拠なき静観。

この期に及んで希望的観測とはな…



「先ほどもいったはずです。これは賭けだと、強制はいたしません。水源確保技術については元よりこちらに置いていくつもりですし、皆様の分の食料を奪うこともしません。残るも共に進むも、あなたがたが決めてください」



「選ばせるだぁ? 自主性を重んじるってか!

責任放棄だろ!そういうのはなぁ、無責任ってんだ! 

一つ勉強になったな!坊や!

確証もねぇ特攻に人を巻き込むんじゃねぇ!」


聴衆からヤジが飛ぶ


「ちょっと無責任ってなんですか?冬さんは自分にできることをやるといってるんです。

もともと冬さんに責任なんてありません。

戦ってくれて、命を懸けてくれて… なのに責任までおっかぶせるんですか? 

そっちのほうがずっと無責任だと思います!!」


「なんだと!このクソガキが もとはといえばお前らアニマが負けたから こんなことになってんだろうが!」


男がヒートアップしてヒマワリに殴りかかろうとしたので冬が台上から降りて男を殴り飛ばす。


「な、なにしやがる!」


「勘違いをまず正そう。アニマが負けたのはノルマが裏切ったからだ」


「うっ!」


「最後の戦いの前に味方の情報を敵に売り渡した奴がいる。

味方の配置も戦力の分布も、兵糧の位置も いつどこに仕掛けるのかも そのせいで負けたのだ。

誰のせいといえばそいつのせいだし、種族全体の話をするなら、ノルマのせいってことになる」


その裏切り者の名前はマシロって名前のクソ野郎なんですがね…


「そ、それは、横暴だろうが」


「先に種族をやり玉に挙げたのはお前だ、唐変木」


「唐変木!?」



「なら、あんさんに聞く! 勝てるんか? 勝算はあるんかいな?」


ツンツン頭の青年が威勢よくそう聞いてくる。

馬鹿にするためではなく、何かを試すような節がある目で。


「答えることは簡単だけど、ここでそれを口にする気は起きないな」


「なんやて?」

予想外の言葉に眉根を上げる青年。


「あんたらは俺を試してるつもりかもしれないが、それはおこがましい勘違いだ。俺はあんたらの覚悟を問うている」


「俺についていくのか、選択はあんたらにある。だがな、この程度の選択も自分で選べないような軟弱者など、最初から眼中にない。俺が、選んでるんだよ。お前らが、使えるのか、どうかをな」


反感の空気が蔓延しだす。今にも暴れだしそうだが、それをさせない異常な雰囲気を、冬は醸し出していた。


「ほぉ、言うやんけ、おにいちゃん」


ツンツン頭は気持ちよさそうに笑う。


「俺は一人でも行く。それは決定事項だ。

邪魔するやつは叩き潰す」



「確定された未来しか選べない様な軟弱者など必要ない。

自分の未来は自分で切り開く。そういう奴だけいればいい。」



「自分では何もしない奴は口も開くな。

ただ事態がどう転ぶのかを道の隅でおとなしく待っていればいい。

自分に何か選べる選択があるのなら、ただ自分の選択を黙って突き進めばいい。 

代替案があるのなら、それを進言すればいい。

そのどちらもしたくないならその場に立ち尽くして何もするな。

人の足を引くこと、それさえしなければ俺も暴力には及ばない。

無価値な人間は無価値であり続けろ。風景と同じようにな」


とかくこの手の連中が昔から好きになれない。

弱いことを責めるつもりはない。仕方のないことだ。

だが、弱さに正義を持たせる輩は嫌いだ。



怖いので俺は行けない、ならまだわかる。だが、怖いのでお前も行動するなは完全に理解不能だ。ましてや責任の所在まで他者に背負ってもらおうなど、つけ上がるのも大概にしてほしい。



愚痴だけを零し、誰かが道を作るのを待ち、責任だけ他人に押し付ける人間を、俺は評価しない。

強い弱いの話ではない。行動する気もなければ、選択する気もない、あまつさえ責任さえ被りたくない。

それはもはや幼児のそれだ。現状の事実から目を逸らす行為は生きることを放棄することに等しい。



「なっなっな! て、めぇ、言わせておけば!じゃあてめぇには何ができんだよ!」


「第一、その情報、本当に信用できるのか?

拷問で吐かせた情報なんて、いくらでも嘘を混ぜられる!それを前提に作戦立てるなんて、正気とは思えねぇ!」


「お前らはつくづく頭が足りないな」


「なにぃ?」



「情報の精度は取得した情報の数から担保するしかない。あんたらが思うよりも、精度は高めだよ」 


ペイル1人から情報を抜いたわけじゃない。

あれ以外にもダエワは腐るほどいるのだ。


「それに情報が今は正しくても、直前で相手が対応を変えてくる可能性は充分ある。リスクは0じゃない」


100%勝てる見込みはない。

だが、今のままなら、確実に詰むことだけは確かだ。


「何ができるかは結果が語ることだ。ダエワを倒す証拠も、この世界を救う証拠も、結果論でしかない。 

そんなものを証明するなど神でもなければできるわけがない。無意味な問いだ。 

人はできようができなかろうが、現状に満足していないのなら、何かをやるしかないのだ」 


「確実な保証がなければ何もやらなくていいとでも思っているのか?何もしない奴に権利はない。

結果を出してはじめて権利が生まれるのだ。 

俺もあんたも、まだ何も為してはいない。 

だからその何かを今問うている。 

お前は、何をするのだと、俺はやることを決めている。それに同意するものはついてこい、そう言っているだけだ」


「それで失敗したらどうすんだよ!死ぬんだぞ」


「いまここでなにもせずとも死ぬだろ。水は枯れ、食料もじき尽きる」


「!? それは、その、でも、前例がない!!」



はぁ? 


「ここは最前線だぞ?前例は、作る側なんだよ」 


「ふ、ふざけるな!それは無謀だ!蛮勇だ!決して理性あるリーダーのセリフじゃない!お前は俺達を死地に送り込んで道連れにしようとしている!」


「俺がやらなくてもお前は死ぬよ」


「な!なにぃ〜!?」


「ことここに至ってまだ誰かに完璧な施策を保証してもらおうなんて、頭が正常に回っていない証拠だ。蛮勇は現状最低保証値で、お前の命はそこらに転がっている酒瓶並みに低い」


「!この!がっきゃ…言わせておけば!」


「お前だけではない。俺もほかの連中も、勝たなければ待っているのは悲惨な死だ。酒瓶同様明日にはそこらに転がっててもおかしくない」


「うっウゥゥ〜ッ!」


あまりにも横暴な暴論に、けれど男は否定できなかった。続く言葉を紡げなかった。


「誰かが道を切り開くのを待ってる余裕などない。自分で動いて自分で切り開くのだ。口を開けてれば誰かが餌を運んできてくれるとでも思ってるのか?」


どんなことにだって初めてそれを行うものはいる。 


誰かの用意した道しか歩けないような奴が口を挟むなと言っている。 


こいつらが言っているのは意見や提案ではなく、愚痴でしかない。

益のないことだ。



「あんたは強いからそんなことが言えるんだ! 俺たちみたいな、戦う力もない、明日生きるのが精一杯な人間に『覚悟を決めろ』なんて、強者の傲慢だ!」


「子供や老人がそれに耐えられると思ってるのか!? 見捨てる気なんだろう! 結局、自分だけ助かるための口実に俺たちを利用してるだけだ!

皆を“賭け”に乗せる権利が、あんたにあるのか!?」


「権利の主張なんて最初からしていない。言ったはずだ。ついてくる気概のあるやつだけついてこい。俺が救ってやると言ってるんじゃない。一緒に命を掛ける覚悟があるか、それだけの話だ」


冬は揺らがない。押し付けもしない。自分のやることを、ただ告げているだけだった。


「う、く、こ、の、!!」


うまい言葉が見つからず、男は顔を赤くした後、下を向いてその場を後にした。


「私は! 冬さんについていきます! 私は冬さんに命を助けられました 一度は死んでいたかもしれない命です だから最後にかけるのなら、冬さんにかけたい!!」


ヒマワリはこちらにつくと小さな手を誰よりも強く上げて、宣誓した


「ワイはついてくで!あんさんに、いや、ワイの未来を、ワイ自身で掴み取るためにな!」


「私もついていくわ」


「俺も、力になるよ。どうせ死ぬにしても、最後まで抗いたい」


そう言って賛同するものが出始める


「……けっ! いい気になってろよ!どうせうまくいきっこないんだ!」


「口だけ野郎が!囀るだけなら誰でもできるんだ…!」


ノルマ達はそう言って去っていくが、冬は眼中にくれなかった。


最初から付いてきてくれることは期待していない。


自分一人でも行くといった言葉に嘘はない。


「最後にもう一度だけいう。命を掛ける覚悟のあるやつだけついてこい」


自分の命が今日、明日にでも失われるかもしれない。そんな状況でさえ、命懸けられない奴が戦場にいても足手まといだ。


「最後まで戦う意思があるなら、最後まで見捨てない。俺が一緒に戦って、死んでやるよ」


今の俺では確実に勝てる可能性を提示できない。


この宣言は彼らへのせめてもの誠意のつもりでやったことだ。


最終的に聖都行きに集まったのはほとんどがアニマだったが、ノルマの中にもついてくるものはチラホラでた。


アニマ達も武器を用意し、戦線に参加してくれる。


雑魚のダエワだけなら通常の武装でも倒すことは可能だ。 


憑神を使える奴は俺が相手をする。


目標はサジャとウジャの撃破。



だが、こちらの意気とは別に事態は全く予想していなかったほうにことは進んでいった。



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― 新着の感想 ―
民衆からすれば特に主人公についていかなくてもいいのだから、本当に自由ですよね。別に主人公側からしても彼らを守る義理もないので、お互いに本当に自由な関係性ですので、残りたい人はこれまでどおりにしていれば…
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