表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザインクラフト  作者: 白黒灰無
第1章 【アヴェスターゲーム】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/30

黒無結晶


閑話2

この地下も長いな だがしっかりした作りはしている

見た目もきれいだし、匂わない


「昔、友人と作った秘密基地を思い出すな」

黒金極夜はそんなことを口にした


「極夜さんもそのようなことを為されたので?」


「もちろんさ 私も子供のころはあった 大事な二人だ」

一人は今、私の妻だ もう一人は ふぅ 今何をしてるのだか こちらが連絡してもなかなか時間を作ろうとしてくれない 困ったやつだ 妻もあきれてるように見えるが、心配してるのだ あのころの思い出が我々をつないでいる これから先も消えることなどない

このように下水道に潜り、探検もして、周りに迷惑をかけたな 地下に現れたテロリストと鉢合わせて大変だった はははと笑う極夜


「大変楽しそうなことをなされたんですね~ わたしもあやかりたかったな」

ディラフトもディラフトでおかしなやつだった 咎めるでもない きっとそれを知ったらいの一番に飛び込んでいくような男だ 青年くらいの年齢に見えるが、心はまだまだ若く、子供のようだった

それからもしばらく談話は盛り上がった それは目的の場所につくまで続いたので飽きることもなかった


「ここか」

「あり、ましたね」


「「美しい」」

二人はあまりの美しい、幻想的な存在に魅入られていた

今にも動き出しそうなそれに我々は、時間すら忘れて、興奮した

これが、異世界の存在なのかと

恐る恐る触ってみるが、その感触は言語にするのは難しい 今まで触ったどんな物質とも違う感触だ だが、気持ち悪いとは思わなかった 心地よいとさえ思う

至福の肌触りだったといえるだろう


「さて、持って帰る方法だが...」

「私のディメンションスクエアで保管します」

「頼む」


手を伸ばし、ドラゴンに触ろうとしたその時 空間に波が走る

ちりちりとノイズが走る 


「なんだ?」

「極夜さん 私の後ろに」

警戒を上げる その時、彼らはありえないものを見た


まるで空間がそっくり入れ替わるように目の前に

黒いドラゴンと戦う漆黒の男 その男の姿に見覚えがあるように感じた

そう、あれは、昔真白と遊んだ時のゲームの...


翻弄される我々は何がなんだかわからずに事態を見守る


「ドラゴンが!」

極夜さんが叫ぶ


ドラゴンは傍らで倒れているマシロによく似た灰銀色の髪の少年の元に向かう 


極夜さんはそれを止めようとしたが、そこから先に行けなかった

見えない壁があるというより、我々だけがその世界に立っていない外側にいるような感覚 見ることはできるが事態に関わることはできない


漆黒の少年が壮絶な戦いの果てにドラゴンの首をはねる

少年がおもむろに振り返る その瞳は虹色の輝きをしていた 

彼が時々放っていた瞳と同じ色彩を


「ディラフト?」

その少年はこちらをみて、確かにそう言った


「...真白、なのか?」


ぶつんと電源が切れたように 空間は元に戻った

ドラゴンは消えてしまった ここまで来たことは徒労だった 

だが

「おいおい、なんだよありゃ すごいな! まるで神話の戦いだ!」

我々はお互いに別の意味で興奮していた 

生きていた 姿は違うが わかる あれは真白だ


ディラフト達は冬の研究室を見つけた 部屋はなぜか空きっぱなしになっていたため、ディラフト達はその中にあるものを全て回収した 何かの役に立つかもしれない

彼のザインクラフトの研究内容もあるかも ふとおいてあった人形も気になってもって帰ることにした

「いきましょう 本来の目的は果たせませんでしたが、得るものがあった」

調べないといけないことができた 





気のせいか? 今そこに、ディラフトがいたような

いや、今そんなことを言っている場合ではない


「冬真 ずいぶんガッツみせたな かっこよかったぜ」

冬は激戦を終えた後にも拘わらず、姿はここに来た時とまったく変わらないように見えた 存在維持の力のおかげだろう なのに、一皮向けたような頼もしさがあった


『へへ だろ? これで女の子にもモテモテだ』

だから、僕も強がった 僕だって、がんばったんだぜって


「見せる相手が俺じゃあね 貴重な一発を無駄に使ったな」

まったくだ


アバターを回収する 壊れてはいるが、修理は可能だ


ドラゴンを見る こいつもほとほとわからんな

とりあえず回収しておこう あまり大きなものは刻紋化させるの、大変なんだけどな


それから 黒い結晶を回収する 

『それ、なんか意味あるの?』


「一応ね」

ナギを背負い、俺たちは外に出る前にとある場所に向かった


「やはり虚無に襲われた傷は普通の手段では修復できないな」

俺たちは春達のところに戻ってきていた


体を真っ二つにされてるグロイ死体が散見される中で冬は黒い結晶を取り出す

『それ、どうするの?』


「こうするのさ」

ハルナと呼ばれた少女の口に黒い結晶を寄せる 口元にくると冬は軽く黒い結晶を握る すると黒い結晶は溶けて少女の口に入っていく

すると彼女の欠けた部分が元に修復されていく


『これって』


黒無結晶ヴォイドメモリー、と俺は呼ぶ あいつらが喰って消失してしまった

メモリーを修復するための媒介みたいなものだ」

第四永久機関と原理は同じ 


『そ、そんなこと、治せるの?これ 死んでるんじゃ...』

無の力で傷を負うのは死ぬよりもひどい状況だ なんせ世界から消えるのだから 通常の死とは異なるから返答にこまるが 死という情報よりも無のほうが優先性が高いのだろうな 世界の認識的には 無の力で傷つけられたものだからどうにかなるともいえる


「できるらしいな」

とはいえ、技術化してほかの奴が使うことはできないけど

あの領域を観測・干渉できないものにはこの黒い結晶は本当に、なんの価値もない、何の情報も含んでいない 形があるように見える、何かだ 調べても情報なんて含まれていない 加工することもできないだろう


「わかるか? あいつら全員ぶちのめせば、他の存在エネルギーをため込んで義手みたいに無理矢理補強しなくても、俺らは元に戻れる 完璧な状態でな」

左腕は回収したが、まだ修復はしていない まだこの黒い腕は必要だし、バランスを欠く可能性があるからだ

全てを回収したのちに、一気に実行する


『お、おおお!!!』

かつてないほどの驚愕と喜びだった

道が、少しずつだけど開けてきたから


「う、ううん...」

ハルナと呼ばれた少女が息を吹き返すが、意識はまだ戻らないらしい

ほかの奴にもいろいろためそうとしたその時に


「おいおい、お前さ 今の状況わかってる?」

春が冬の首に大鎌をかけていた


「珍妙なやつだ お前、本当に何なんだ 気色悪い」

気色悪いのはお前だ 状況がわからないらしい 


「で?お前はこの後どうしたいわけ?」


「私はこの世界を潰したい」


「は?」


「この世界はちゃんと壊れなければならない それが本来あるべき姿だ そのようにデザインされたものが、元の状態に戻るだけだ」


「なぜそのようなことをするのか、理由は話してくれないわけ?」

当然の疑問だろう 僕もそう思った 冬は確かに危険だが、自分の大切な人を助けてくれた人間に刃向けるって頭がおかしい


「私の個人的な心情さ 私は自分の頭の中で描いたものを、他人に奪われるのが気に入らない 自分の頭の中だけはその者だけの領域だ 世界とは断絶していないといけない 世界の薄汚いものから切り離された 私だけの領域 君のそれは、境界を侵食する 思想侵略の類だ 正しいとか正しくないではない、自分のものは、自分だけのものであってほしい 言ってしまえば単純にそれだけだよ 君の存在は本当に不快だった 人の頭の中のアイデアを盗用し、それを私以上に使いこなし、私の世界を、私から奪う 明確な、敵だ」


二次創作など許さない 仮にしても、こんな盛大な二次創作は許されない 誰であろうと、この私が 誰にも理解されない彼の屈折した心情が流れ込んできた


「そうか」

たった一言 冬はこぼした それだけで春は動けなくなった

冬は春の心情を否定しなかった というより、どうでもよかったのかもしれない

あたりがひりつく


『ふ、冬...』

ま、まずい これは、まずい 


「じゃあ俺も 俺のやりたいようにやるよ まずはお前の大好きなハルナを、ころす」

空気が一瞬に凍った 凍てつくほどに張り詰めて、次のアクションを皆が待つ

一挙手一投足、間違えれば、死人が出る


春の表情は笑顔を崩さない いや崩せないのだ 春は悲しいとか苦しいとか そう言った負の感情を抱けない 抱けなくなった人間だ 医者は言った ある種君はこの世の誰よりも幸福なのだろう 幸福以外のものを自分の中から排斥したのだから、と

それは、単なる皮肉にしか、聞こえなかったろう


そんな人間だが、それでも現状の認識ができないわけではない

感情を理解できなくとも、分析はできる 

危機が目の前にあることがわからないわけではなかった 


「どうした? 俺はお前の大切な者を殺すといった 何もしないのか? その刃を引けば俺を殺せるんじゃないか? やったらどうだ?」


だが春は動けなかった 物理的に冬がそうしてるわけじゃない

動いたら死ぬ 首に刃を当てているこの状況でさえ、自分が有利ではないと理解しているのだ 冬から放たれる尋常じゃない殺気はそれだけで人が殺せるんじゃないかと錯覚するほどだった


冬はゆっくり立ち上がる 今の状況に似つかわしくないのにまるでそれが当然のように


冬が振り返り、春を見る ひくひくと春の顔が歪む 膨大な汗を地面に浸みらせながら

「う、ごく、な」

春はそれだけ口にする それが無意味だとわかってても

それが彼の精一杯の抵抗だった


「じゃ、止めてみろ」

できるものなら

冬の拳が春の顔面を捉えた そのあとは一方的だった 冬が馬乗りになって春を半殺しにした 綺麗な顔は膨れ上がり、手足は痙攣していた あれ、生きてるの?


『考えるな 感じるな 僕は木 僕は木』

僕は心を押し殺して、そう唱えた すると少しだけ木になる気持ちが理解できた

あ、なんて幸せなんだろう この世のおぞましさなんて 気にしなくていいんだ

骨の砕ける音や弾ける血しぶき、人体が出していい音じゃないって、あれ

冬のガン決まった狂気の瞳 あいつ無表情で人殴るからマジ怖いんだよ

暴力を楽しんでいるわけじゃない どういう気持ちなんだろう 怖くて聞けない 聞きたくもなかった



冬は春を半殺しにした後拘束し、連れ帰って牢屋にぶち込んだ 

ほかの者達はハルナを含めて全員治療したが、春だけはそのまま連れ帰った


ただ、冬が最後にちょっと変なことを言っていたのが気になったけど 

自分の研究室の中に入ったときに とてもびっくりして

なんでこれが! 俺は作ってないぞって慌ててた

その何かを懐に思いっきりしまいこんで

なんだろう?エロ本でもあったのかな?って冗談はおいておいて

聞いてみたけど、答えなかった 絶対に何も聞くな、とだけ だから聞かなかった

一抹の不安はあるものの、こうして、下水道での事件は幕を閉じた 少なくとも 僕らの、知りうる限りの中では 


世界をアップデートします




うっうっう

呻くようにそれは地べたをはいずった 死にたくない 死にたくない 死にたくない

その想いだけで

黒い空間の片隅で 冬に見つからないように 縮こまりながら わずかな命を長らえていた だがそれも長くはないだろう そんな時に 都合のよいものが転がっていた

かつて、真白がこの世界に来るまでは、本来あるべきだったもの 本来は真白ではない彼がその位置にあるべきだったものが


「君も、生きたいだろう、まだ、終わりたくないだろう?」

だから...



1章終わりです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ