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異世界に行く前に ディストピア世界冒険記 ザインクラフト  作者: 白黒灰無
第1章 【アヴェスターゲーム】

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13/20

VS憑神アジン・ダーワ



閑話

あれから15年の時が経った

あの日、ディラフトは真白とのゲームを終え、ゲームのエンディングが流れている場面で、一区切りついたと思い、席を外した そして真白のザインクラフトのことを思い出して、自分の研究室にこもった どうしてもあの技術に興味があった

自分の見てきた技術体系とは根本から異なるものだった 数と式とは異なる表現法で挑む科学の技術 そこに新しい扉があるような気がした

私は夢中であの技術を思い出し、自分でも試しに作ってみた

たった一度見ただけで、ディラフトシュラッケンは真白の作るザインクラフトと呼ばれる技術をほぼほぼ再現した 気づいたら陽が上っていた 夢中になりすぎて時間を忘れる 自分の悪い癖だな 真白はもう起きてるだろうか 疲れていたから休ませてやりたいとも思うが、様子だけでも見に行こうと、部屋を訪れて、絶句した 


見るも無残な部屋の形相 空間ごと消滅したかのように見える船の損壊部 この惑星の技術レベルでこの船を傷つけることはできないはず 傷口からどのように削れたのか、調べることすらできなかった 誰が? 真白? なんで?


いや、明らかに個人でやったとは思えない傷あとだ 複数の敵の痕跡が見える

ゲーム画面だけがほのかに光っていたが、突然 世界のアップデートを開始します その言葉と共に ゲーム画面は消えた


それからこの惑星中で、ヴォイドと呼称される存在を喰らう敵が出没するようになった

そいつらとの戦いが始まった おそらく真白はこいつらに襲われて、たぶん 死んだのだ


ヴォイドは都市を襲う 人を襲う 喰らわれるとロストする 存在が消滅し、誰の記憶からも消えてなくなる でも消えたという事実だけは覚えているというちぐはぐな

状況 それに気づいたときに私は思った もしかしたら、真白は、生きてるんじゃないか? 


私はまだ彼の記憶を覚えていたから なのに、彼の顔が思い出せない矛盾 

時間が経ちすぎた 仮に生きていたとしても、五体満足とは思えなかった 

私は、この惑星の住人にザインクラフトの技術を提供した

都市の頭領とコンタクトを取り、自分の身を守るための手段を提供した

最初は疑われた ヴォイドが発生した直後に、それに対処可能なザインクラフトの提供をしたわけだから当然だったろう

時間はかかったが、なんとか協力体制を築けている ただし、別の問題も出てきた

真白に所縁のある、あの都市の存在


そして、ヴォイドは一時的に退けることはできても、完全に倒すことはできないということ ザインクラフトにはブラックボックスが多すぎた まだ未解明の技術が多く、すべての力を引き出せていない 15年かけて、できたのは元のザインクラフトの劣化品 完全再現はできなかった

真白、こんなときこそ、君にいてほしかったな


「ディラフト、準備ができた いいか?」

「ええ、かまいませんよ 黒金社長」

「ああ、今日はオフだ 気安くでかまわないよ」

「なら、極夜さん ほんとうによろしいんですね?」

「ああ、私も直接見てみたいと思っていたのだ ドラゴンの遺骸とやらを」


我々はこれから白銀都市に向かう かつて真白と呼ばれた少年が残した遺産

異世界に繋がる現存する唯一の可能性を求めて

この惑星はもうだめかもしれない だからといって宇宙船を打ち上げるだけの資材を集めきるには時間が足りなすぎる 黒金は唯一、宇宙へ行き、かつて我々が旅立った星へと変える理念を捨てていなかった だがそれも今となっては無理筋というもの

可能性があるもの、それは突拍子もないが、オカルトの存在 異世界への脱出だ

プランは宇宙船の調達と異世界への脱出 二つを同時進行で進めているが、厄介なことに復活した白銀都市の住人達が邪魔だった


白銀都市の住人は真白が消失した以後、突然復活を遂げた 

意味不明だろうが、そのままの意味だ 真白が皆殺しにした都市の住人が急に蘇生した 何事もなかったかのように

それ以来、15年の間、他都市との交流を断っている

平静を装っているが、真白区の廃止に彼らの真白への恐怖が現れているようだ 


かつて白銀都市と怪物真白の戦争 いわゆる真白事変は各都市に多大な衝撃を与えた

たった一人の少年を相手に都市が全勢力を上げて、滅ぼそうとしたこと そして返り討ちにあったこと 

あまりにも突然の出来事であり、突如上がった真白某の名前は寝耳に水だった

当然各都市はその真白某の存在を調べたが、ほとんどの情報が出てこなかったのだ

まるで、白銀都市そのものが隠蔽したかのように 真白性のものを当たったが、戸籍が見つからない 一度戸籍が存在したものはその後、棄民になったとしても戸籍は破棄されない その逆の可能性も考えたが、白銀都市の性質を考えれば棄民を市民に迎え入れるような己の根底意識を覆す可能性のあるものを行うとも思えなかった

彼はまさしく突然この世に現れた謎の存在Fだった


真白という性は白銀都市における下級市民に与えられるナンバーだ 下級市民はすべからく、真白という性を与えられる 都市の悪い癖 市民を管理しやすくするために下級層、中級層、上級層、特級層で区分されていた 特級層とはすなわち白銀性 長く都市の中枢を独占し続けた白銀の責任はやがて特権に変わった

下のものが這い上がる構造が難しくなったのだ 上のものは自分達の既得権益を守るために教育を独占化し始めた だれも自分の子孫に貧しい暮らしをさせたくないと考えるのも無理はなかったがいかんせんやりすぎた


閉じた環境は腐る 白銀都市は結果主義に走りすぎた 結果ばかりを優先するために、過程をおろそかにし、新しいことに挑戦するより、今できること、わかっていることを誰よりもうまくやろうという方向にシフトしてしまった それでは今よりの発展は見込めず、既存の知識だけで先に発展しないという欠点につながり、白銀は悪循環に嵌まってしまった


だがある時期から白銀の経済が回復の見込みを見せだした時期があった

それが真白コーポレーションという子会社ができ始めたころだ 白銀白夜の始めた小遣い稼ぎのビジネス、あるいは子供達の箔つけと最初は言われていた 


なにせ、白銀銀と白銀白という彼の子供達をその子会社の社員として入れ込んでいたからだ

しかし実際はここ数年では見られない画期的な技術の開発が行われ マテリアル加工技術は特に我々黒金都市としてもぜひ技術研究に一枚噛ませていただきたいくらいだった、しかし白銀はこれを断固拒否した それどころか、真白コーポの実研究者の名前が一切表に出てこなかった 出てくるのは銀と白の名前のみ 

彼らが決して無能とは言わないが、とてもマテリアル加工技術を開発できるほどに優秀だったかと言われれば、疑問が残った それほどマテリアル加工技術は既存の技術体系からは離れた理論が必要だったのだ

彼らの都市内部で一体何が起こっていたのかはわからないが、一時期、耳を疑うような話が出回った それが四季、と呼ばれる謎の存在

なんでも四季とやらは、もし実在するのなら、人類史を根底から書き換える可能性がある、とさえ嘯かれた

風の噂程度でしかないが、白銀都市と真白はそれを巡って戦争を始めたと

その後、真白は各都市から危険人物として、テロリスト認定をされ、都市への介入、交渉、接触の一切を禁止するとの旨が通達された それに唯一乗らなかったのは黒金都市のみだった ディラフトはそれゆえに、黒金都市と友好を築いた さすがに真白と険悪な都市にザインクラフトの提供はできなかったのだ


「これから向かうのは白銀都市の地下にある下水道だ ここなら外区からでも侵入はできるが、迷路のようになっている 識別番号も当然ない 道は、大丈夫なのかね?」


「ええ 真白から地図をいただいておりますので」

15年、15年かかった 白銀の警戒網が強すぎて、今まで近寄れなかったというのもあるが、それだけディラフトがこの惑星の住人に尽くしていたという話でもある ヴォイド達との戦争は緩やかだった 敵側があまり攻める気がないように感じるのは気のせいだろうか 彼らのスペックならもっと容易くこの惑星を平らげることができるだろうに なぜそうしない? なぜ? 何かを、待っているのか?

真白の姿がちらつく だめだな 自分は どうにも彼のことが忘れられない

彼は否定するだろうが、私は何度でも言おう 私の一番の親友だ

いろんな星を渡った いろんな人に出会った だが自分の言っていることをこんなに理解してくれる人は今までいなかった 私の理論を聞いてもらう 彼の理論を聞く

その考えに痺れ、その生き方に憧れた

でも、もう彼はいない 私が、私の力でどうにかしなければならないのだ

異世界へ行くこと それは私にとって悲願だったけど、それがこんな形で陽の目を見ることになるとは 人生、わからないものだな


「ドラゴンの遺骸を、手に入れましょう」

私と黒金極夜は白銀都市の地下に潜るのだった


現実と空想の邂逅は、近い





『一時期はどうなることかと思ったよ ハラハラさせないでくれ ぼくはホラーが苦手なんだ!』


「悪いね 俺はホラーが好きなんだ ちょっとした演出さ 敵にはこいつやべぇやつだなって思わせとかないと なめられていいことなんてないからね」

核心犯だった


『敵、なのかな?』

こういうとまた甘いといわれるかもしれないけど


「敵だよ 春は」

あいつは殺す いきなり後ろから襲ってきやがって あいつ頭おかしいんじゃないか? 絶対に許さない 結局あいつは自分の目的を言わなかった 信用できない

冬の悪いところがフルスロットルしていた


『殺すの?』


「情報を取り出してからな 聖寵を使ってた 何らかの裏技があるんだろう」

それが可能なら、ナツ達に力を取り戻させられる そうなればいよいよ盤石になるだろう


『と、取り出すってなんだよ... 聞き出すじゃないのかよ』

表現がおかしんだよ 冬は ほんと頭おかしいと思う


「ザインクラフトは形のないものに形を与えて触れることができる、あいつの記憶情報も、俺の視覚情報を拡張すれば、映像化して抜き出せるさ」

冬の右手に瞳の紋様が浮かび上がる 真実の観手という遺物を取り込んでいる

その遺物は対象に触れると嘘を言ってるか本当のことを言ってるかわかるというもの

こいつとの組み合わせで人の心の中を可視化する技術ができた

真実の瞳単体でも裁判で使われれば一発で犯行がバレる そのため、上級民に嫌疑が出たときは使用されない


『そ、それで人の記憶をのぞけるってこと? こわっ!!』

冬が脱出する際に春を殺さなかったのは複数人相手を避けたのか、とも思ったけど、たぶん生け捕りにして情報を引き出すという条件を達成するのが難しいと判断したからだろう


『現実の世界の人間だっていうなら、手を取りあえると思ったんだけどなぁ』


「現実の人間のほうが信用できませんよ 俺は」

人嫌いに拍車がかかってるなぁ


『じゃあ、僕のことは信用してくれてるの?』

ちょっとした期待を込めてそう言ったが


「しんよ~うぉ?」

すごく嫌そうに言われた 傷ついた


『なんでそんな嫌そうなんだよ』


「アバター操作の時、おもむろに自分の下半身を確認して、次いで俺のも確認して、どうしてこんなひどいことができるんだ? とか血涙流すような奴、どう信用しろってのよ」

やばすぎでしょ 人として


『あれは冬が悪いじゃないか なんで僕のだけ... なんで、なんでぇ~』

泣くなよ 気色悪い


「俺は悪くないだろ 普段自分のをどう認識してるのか、自分の元の体の情報に引っ張られただけだろ」


『だったら大きくしてよ! できるんでしょ?』


「おい、変な表現すんな 張っ倒すぞ! 俺はお前に遊ばせるために、アバター貸したんじゃねぇよ!」

それ使って何するつもり? この世界で何して遊ぼうっての? 犯罪行為に手を出したらただでは済まさんぞ


『だってぇ だってぇ』

未練がましく 男のシンボルはいつだってかっこよくありたいじゃないかとぐちぐちぐちぐちこぼしているのを無視した


いい加減ここを脱出しようとしたその時に 大きな破壊音が聞こえてくる

「なんだ?」

視界情報を拡張して壁を透過し、遠くを見る なんだあれ?

そこには3m以上ある三つ首竜の姿があった 頭は三つ 体は人型のモンスターだ

アエーシュマ? それとも憑神? わからない 見覚えのない形状だった

最初それを見たとき、ドラゴンを想起させたが、色合いも見た目も違う こちらの竜は黄金色だ 


「いやあぁああああああああああああああああああああ!!!」

コナタ嬢の絶叫が響いた

傍らにはカナタの胴体が落ちていた まだ死んではいないのだろうが 虫の息だろう

春が必死に応戦してるが、まるで攻撃が通っていない

というか、あれは

「は? おいおい、マジかよ 観測防御を使ってやがる! 存在兵装だぞ!」

このゲーム世界の技術じゃない 俺が考案した技術体系だ なんで使える?


『観測、防御?なにそれ?』

また新しい単語を使いやがって 

しかし冬はそれを無視して続ける

ぼくが知らないことは冬が説明する! それがルールだろ? おい?


「しかも、あいつ 存在規格Ⅳ(スケールフォー)! 勝てるわけがない! 逃げるぞ!」


『え?え?え? 助け、ないの?』

「無理だ! 無駄に死体が増えるだけだ!」

即時撤退を促す冬に冬真も困惑した そんなにやばいの?

あんなのがなんでこんなところに、この世界であんな兵器、創れるわけがない!

絶対に外の連中がかかわっている! 都市がザインクラフトを開発したのか?

いや、昨日の今日で存在規格Ⅳなんて、創れるわけが... 

どうなってんだよこの世界は!

もうすでに自分の想定を超えている事態が動いている感触がある

いつもそうだ 自分の手から生まれたものが自分の想定を超えた事態に繋がっていく

この気持ち悪い感触

冬の瞳がかすかに 虹色の輝きを放ち始める


ハルナが吹っ飛ばされる 壁にぶつかり、大量の血を引き出して気を失っている 即死した可能性もある

春がそれを見て激高している あれのあんな顔は初めて見た

だが、どれだけ猛ろうと、存在規格Ⅳの観測防御など対応策を持たないやつではどうあがいても勝てない

ヒジリさんも健闘してる ヒジリさんは聖寵が使えないのか?

すばやく相手の死角に回ろうと緩急つけて攻めてるが、相手は頭が三つもある 死角を見つけるのは無理だ

やっこさんの視覚範囲を光情報に置換して視覚化する

正直引く 三つの首についてる瞳から伸びるライトのようなものが、やっこさんの視界範囲を表現してるのだが、隙なんてない 戦いながらだとわかりづらいが常に死角をカバーするように三つの首を駆使しながら死角をカバーしてる


ヒジリさんも素の身体能力でよくやっているが、どうあってもアレには勝てない 文字通り、立っているステージが違う 見えてるものが違いすぎるのだ

存在学において観測というのは大きな意味を持つ


「いくぞ」


『...うん』

冬が無理だという以上、僕がどうこう言えないのはわかっている

後ろ髪を引かれる想いだったが、その場を後にしようとしたその時、あるはずのないものが、視界に入った


『ナギ?』

冬が振り向くと、階下に確かにナギがいる ふらふらと夢遊病患者のように歩いている

その先には 

「止めるぞ!」

冬真が同意するよりも早く冬は駆けていた



「探せ!」

地上ではナツがナギを探していた

先ほどまで確かに宿で休眠を取っていたのを確認したばかりだった

目を離しはしたが、宿から出てないのだけは確かだった 入口には誰も来なかった

ナギの休んでいた部屋の様子を確認するが、人のぬくもりが感じられる 先ほどまで人が寝ていたのは間違いない これなら遠くまではいっていないはず

だが、どうやって出た? 扉の前にいたものも誰も出て行ったりはしていないという

まるで幽霊のように消えてしまった

だが、捜索もむなしくナギが見つかることはなかった




冬はナギの元に走った

階下を滑るように素早く降り、足音も立てずに今できる最高速度でナギの元まで

ナギをつかんだはいいが、どこか虚ろな瞳をしている 

今は悠長に様子を見ている場合ではない 安全地帯に...

「みぃ~つけた」

後ろから声音が聞こえる 子供のような無邪気な悪意を忍ばせて

ナギを思いっきり階上に投げる

「冬真!受け取れ!」

上に置いてきていたアバターを起動させ、冬真のほうにナギを投げる

その直後に強い衝撃が全身を走る


壁に思いっきりぶつけられた衝撃で中身が飛び出すかと思った

今までの雑魚の比じゃない 今のレベルで戦っていい奴じゃない

即座に逃げるべきだが、冬真がモタモタしている 仕方ない 

アバターの操作なんてまともに練習する時間はなかった あいつは充分やってくれた

俺が、時間を稼がないと

気持ちを切り替える カチリとスイッチを入れるように

刻紋起動 無頼二式 バージョンチェンジ ガンモード

接近戦は絶対にできない 俺は紙装甲なんだ

先の攻撃も存在維持+フォースフィールドの衝撃無散を組み合わせた相乗効果を使って相手の攻撃を最大限逃がしたから死ななかっただけ それでも相当な存在エネルギーを削られた まともに受けたら一撃で死あるのみ うまく受け流せたとしても1,2回といったところだろう

俺の人生、こんなんばっかだ くそったれ

明確な格上との戦いが幕を開ける


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