第十二話前番外編 お姉様の服♪
クレセルイとベルセリールは準備を済ませ、屋敷の応接室でルーナリアが来るのを待っていた。
ほどなくして、黒のトランクを抱えたルーナリアが軽やかな足取りで現れた。トランクの中には、地下水路の鍵や許可証が収められているらしい。
「さてと、それじゃあ地下水路へ!」とベルセリールが意気込むと、
「お姉様?そのワンピース、とっても素敵よね?」
「うん、ありがとうルーナちゃん!」
だがルーナリアはいたずらっぽい笑みを浮かべる。
「今回、この鍵と許可証は私が取ってきたのだから……ご褒美があってもいいわよね?」
「まぁ、できる範囲なら……」
「なら……これを!!」
ルーナリアはトランクをぱかっと開け、ピンクの大きなドレス、桃色がかったストッキング、ピンクの光沢ある靴を取り出した。どれも上質で高級そうなコーディネートだった。
「お姉様を初めて見た時から思ってたの……この私のコレクションの中でも特に好きなこの服!でも髪色的に私には似合わない。でも……体型も髪の色もふわふわ感も兼ね備えたお姉様なら……絶対似合うの!!」
ルーナリアは青い瞳をきらきらさせながら熱弁をふるう。
「お姉様!ぜひこの私のコーデを着てくださらない!?」
ルーナリアは完全にベルセリールを着せ替え人形にしたかったようだった。
「えぇー!?私がこれを……?」
「えぇ!お姉様!私にご褒美を!」
ベルセリールはルーナリアの熱意に圧され、観念したように小さく頷いた。
※※※
「きゃああああ!?やっぱり最高!似合ってるわー!さいこぉぉぉ!」
「そ……そうかな?クーちゃんは……どう思う?」
その姿を見たクレセルイも思わず言葉を失った。フリルが幾重にも揺れるドレスに包まれたベルセリールは、まさにおとぎ話の中の姫君のように可憐だった。胸が締め付けられるほどに――
「……可愛い」
それは、思わずこぼれたクレセルイの本音だった。
「やっぱりクーもそう思うのね!お姉様!しばらくその服でお願いね!」
「あ、はぁ……?私、この格好で地下水路にいく……の?」
ベルセリールは苦笑しながらも、しっかりドレス姿のまま。こうして三人は地下水路へ向かうのだった。




