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ベランダか観覧車か

作者: 狭間閉間

スマホのカレンダーを開く。

今日の日付にはラベルが付いている。予定が入っているということ。

そう、今日は学校の卒業式だ。


にもかかわらず私は遊園地に来ていた。

メリーゴーランドやコーヒーカップ、ジェットコースターに乗り満喫した。

そして今は観覧車の列に並んでいる。

平日なのもあってか、それほど並んではいない。

すぐ順番が回ってきて、係員の誘導に従ってゴンドラに乗る。


意外と静かだ。

これほど大きな機械が動いているのに。

技術者の腕が凄いのかもしれない。


少しずつ、だが着実にゴンドラが上がっていく。

先ほど乗ったアトラクションが見える。

どんどん小さくなっていく。


その向こうにはスケートリンクがある。

カップル、親子、プロ顔負けの走りをする人。

色々な人が滑っている。

夏場はプールになるのだろう。


まだまだゴンドラは上がっていく。

真下を見ると人が指で摘めるサイズだ。


子供が何人かはしゃぎまわっている。

紙飛行機を飛ばしているようだ。

遊園地に来てまで紙飛行機を飛ばすなんて。

いや、自由に過ごせば良いのだ。

遊園地に来て紙飛行機を飛ばすのだって自由。卒業式に出ずに遊園地に行くのも自由。


皆真面目に卒業式には出てるだろうか。いや、真面目でなくても卒業式には出るか。

私は真面目に生きてきたつもりだが、卒業式には出ないという不真面目極まりないことを最後にやらかした。


とりとめもないことを考えていたが、とうとうてっぺんまで来た。

さて、そろそろ飛び降りるか。

ベランダか観覧車か迷ったが、最期を飾るのに特別感があった方が良いからな。


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