片隅の花R2
世界の片隅に珍しい花が咲いた。
その花は、とても美しかった。
そして、珍しい種類だった。
しかし花は笑えない。
笑顔になれない。
幸せになれない
なぜなら、その花を愛でるものも、必要とするものもいなかったからだ。
花の周りには、花が咲いていない。
雑草も、何も生えていない。
そしてそこは日陰で、栄養もあまりなかった。
だからこの先も、何も生えない。
その花だけが、奇跡のように生きて、咲いていた。
花はいつも孤独だった。
そうしている間に、花は咲きほこって、枯れていく。
短い花の生を終えていく。
花に注目するものは誰もいない。
その花が、どんな色でどんな種類で、どんな性格であっても。
ただ片隅に咲いていただけの、目立たない花だったから。