3 「愛してる」って、ほんとに言う?
「愛してる」もしくは「愛している」
創作ではよく囁かれるこの台詞だが、実際、現実で使ったことのある人はどれ程いるのか。すごく気になる。
というのも、私は今まで生きてきたウン十年の中で、この言葉を誰かに真剣に言ったことは一度もない。
(酔っ払ったり、ふざけてなら……多分ある)
「好き」とか「大好き」なら言えるけど、「愛してる」ってなんかこそばゆくて。
あえて口に出すことじゃないっていうか……『愛』は感じとるものなんじゃないかとか。
みんなどうなんだろう。家族とか、恋人とかに普通に言えるのかな。
職場のあの人も、近所のあの人も、今このエッセイを読んでくださっている方も。
…………いまいち想像が出来ない。
自分が想像出来ないものを、上手く描くことなんて出来ない。
だから私は、「愛してる」の代わりの表現を常に探している。わざわざ言葉に出さずとも、ヒーローやヒロインが、どれだけ相手を愛しているのかを読者様にお伝えする表現を。
(ヒロインへの行いがあまりにも酷かった為、あえて愛を叫ばせてしまったヒーローもいる。へへっ、罰ゲームじゃ)
あ、でも、誰かの前でなら愛を宣言させやすい。皇帝とか父親とか、目上の人の前で。
「私は◯◯を愛しています」
「私も◯◯をお慕いしています」
といった風に。決意表明みたいな?
でも直接相手に言わせるのはすっごく苦手。
自分が今までに描いた異世界恋愛十五作品の中で、直接「愛してる」の言葉を受け取れた幸運なキャラは、ほんの一握りだ。
でも読者様はやっぱり、「愛してる」の言葉が欲しいのかなあ。
自分が読む時は、別になくても全然構わないんだけど。愛するようになるその過程で、キュンキュンさせてくれればそれで大満足!
そういえば……「愛してる」を言わないだけじゃなく、言われたこともない。
あ…………うん。
☆おすすめ漫画③
『甘く濡れる嘘~結婚という名の復讐~』
作画:上原ひびき先生 原作:白石さよ先生
社内恋愛していた寧史から、別の女性を妊娠させた、彼女と結婚するから別れて欲しいと告げられた里英。傷ついた里英の元に舞い込んだ見合いの相手は、同じ会社で寧史の最大のライバル黒木で?
『恋人にフラれちゃったけど、スパダリが現れて溺愛されちゃった。ほら、私がいないと仕事もなんにも出来ないでしょ? フラなきゃよかったね』
……というような、定番のお話とはひと味もふた味も違います!
里英→黒木→寧史……と視点が変わっていく構成になっており、それぞれの背景がきちんと見えるのです。
寧史の生い立ちや、愛していた里英を裏切ってしまった理由。また、妊娠したその女性も冷たい家庭で育っていて……
単純に誰が悪いとかではない、深みのあるストーリーに感動しました。
普通ならざまあされる立ち位置の寧史が、私は一番のお気に入りです!