夜の海……Ⅰ。
23:00にデジタル 鳴り響く2023 最新邦楽ランキング
ブラックライト浮かぶ真夜中 海峡のヘッドライト ギアチェンして加速する ハイビーム
上がる心拍数 押さえきれずに4000回転 グリップの効かないハンドル
冷えてるはずのエアコン 車内に弾ける重低音 鳴り止まなくて 高鳴る
答えにすらならないから無言 言葉探して うつむく それでも何処か熱さ感じて
「どこ行く──?」
「──いまさら?」
夜の闇に落ちたルームライト
ひきなおした口紅
口唇よりも早く感じて
手を重ねていた
君の体温感じた
嘘みたいな静けさに
「静かだよね、海」
「え? あ、うん……」
勇気が出ないままに
しばらく息止めて 徐々に静かに深く
呼吸整えてからエンジン切った 開いたドアロック
まだ解錠されないまま 鍵を握りしめた気持ち 言えなくて
「手……」
「え?」
「いいじゃん」
チャペルも兼ねたホテルの青色の光 まぶしくて
君から握られた手を まるで 不思議そうに見つめて
静かに漂う砂浜の波間に浮かべて 素直な素顔 少しだけ見えた君の
初めての感じた体温 2度目の今日
ポートタワーの光 赤い色 抑えきれずに 君と
ずっと空と海の境界線が見えないまま
夜
照らして
砂浜までのアスファルトを歩いた
一直線に伸びた道のり どこまでも続いた気がした
誰かの吹くオカリナが聞こえた
握る手が きゅっとなった
初めての海 君との夜
xyz 初めて 駆けめぐる 頭の中の
abc 初めてが 指先に触れた
接続したブルートゥース 手もとのスマホの明かり
イヤホン外して
分かる気がした
何も言わなくても 指先が触れて