#22 生徒会崩壊
次の日、学校に行くと昨日の生徒会室での事件のことは誰も知らない様で、教室ではいつもの様に平和だった。
お昼の休憩時間にハナちゃんと職員室へ行き、生徒会顧問の先生へ退会を申し出た。
僕とハナちゃんが頭を下げると、深いため息を吐き、相当疲れている様だった。
「そうか・・・お前たち頑張ってくれてたのに、こんなことになって残念だ」
「はい」
「それで、今後生徒会はどうなるんですか?」
「このままだともう一度選挙で会長を選出することになるだろうな」
「やっぱりそうなりますよね」
「こんな時で悪いんだが、今日の放課後、一度集まってくれないか? 来栖も呼んでおくから」
「判りました」
放課後、ハナちゃんと一緒に再び職員室に行くと来栖先輩も既に来ていて、顧問の先生と会議室でミーティングをすることになった。 ミーティングには、教頭先生も参加していた。
学校側からの話の内容は
・セツナさんと安井君は、即日退学処分になったこと。
校内にて不適切な行いがあった為と処分の理由を公表する。
・生徒会の解散と再選挙の実施。
来栖先輩に続投の意思確認があったが、来栖先輩も引退と回答した。
・生徒会室の今後の使用禁止。
・この件の箝口令。
・この場にいる3人に関しては、生徒会活動を年間従事した扱いとすること。
内申書とかの関係。
・生徒会役員後任が決定したら、引継ぎをして欲しいこと。
余談で、各部活動の部室などの一斉調査もするそうだ。
外部から中が見えない個室での事件だった為、同様の個室で如何わしいことが行われていないかの調査らしい。
また、二人の処分理由をどこまで公表するかで問題になったそうで、結局再発を防止する為に今回の公表内容となったと説明があった。
30分程ほどで打合せが終わり、来栖先輩に誘われて、駅近くの喫茶店に行った。
「セツナちゃん、ムギくんのことあんなに好きだって言ってたのに、よりにもよってなんで安井君なんかと・・・・」
「ユキさん、何か気付いてました?」
「うーん、安井君とのことは全く気が付かなかったけど、最近放課後生徒会休みにするの多いな?とは思ってた。 でもてっきりムギくんとデートでもしてるのかと思ってたよ」
「いやー・・・逆に生徒会休みの日は、僕とも会ってませんでしたね。 昨日そのこと聞いてみたけど、返事してくれなかったんで、多分その日に毎回安井君と会ってたんだと思います」
「そっか・・・」
「多分、ムギと池内さんの件が終わった頃からじゃないかと思います」
「え? ハナちゃん気が付いてたの?」
「いえ、昨日ムギと夜話してて、あの頃セツナさんが様子おかしかったことあったり、安井の様子にもあの頃引っ掛かってたの思い出して」
「あくまで、昨日色々思い出してそう思っただけで、当時は何も気が付かなかったし全く疑いもしてませんでしたよ」
「そうだよね・・・ホントよりにもよって浮気とか、しかも生徒会室でとかバカにしすぎよ・・・ムギくんのこと何だと思ってるのよ」
「まぁ、そういう宿命なんですかね・・・浮気される宿命」
「・・・」
「・・・」
僕の自虐の言葉に、二人とも黙ってしまった。
「ハナちゃん、そういえば以前ハナちゃんが僕に言ってたけど、セツナさんと付き合うこと、よく考えてからの方がいいって、アレってその頃既になにか気が付いてたの?」
「ああ、あれは何ていうか、女の感? ムギとセツナさんが付き合っても、上手くいくように思えなくて」
「なるほど・・・でもあの時、アドバイスをちゃんと聞いてれば、こんなことにならなかったよね・・・ごめん」
「もう!ムギのせいじゃないでしょ! 私たち100%犠牲者だよ!ムギなんて300%くらいの犠牲者だよ!」
「うん、そうだね。私たちが卑屈になったらダメだよ。 生徒会が解散するから色々と言われるだろうけど、私たちは何も悪いことしてないんだから、胸張ってがんばろ」
「はい、分かりました」
「了解です」
お店を出た後「また、たまにでも良いから3人で集まって愚痴でもこぼしましょ」と来栖先輩が言ってくれて、僕もハナちゃんも「そうしましょう」と言って、その場で別れた。
次話は明日7時公開