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#11 背徳感に触れる



 学校に着くと一度教室に荷物を置いて、予鈴が鳴るまで生徒会室でセツナさんと過ごすことになった。

 朝のHR前の時間、なるべくカナちゃんと会うのを避ける為だ。



 生徒会室でセツナさんと合流すると、セツナさんは何も言わずに僕をハグしてくれた。


 セツナさんはハグしたまま顔を上げて「昨日してないから、昨日の分のキスしよ?」と言ったので、唇にキスして舌を貪るように絡めた。 

 セツナさんとキスしていると、頭の中にあったモヤモヤが忘れられるような気がして、何度も何度もセツナさんの唇を貪った。


 しばらく続けているとセツナさんからストップがかかり、一度体ごと離れた。


「はぁはぁ、朝から凄いね。 キスは嫌いじゃないけど、流石に苦しかったよ」


「す、すみません。 なんか頭の中がトリップしてました」


「いいよ、もっとキスしましょ」


 そう言って、何度も繰り返しキスをした。



 なんか、解った気がする

 これがよく言う、浮気で得られる《《背徳感》》なんだ


「なんだか、キス、止められませんね。 これが背徳感で興奮するってヤツなんですね。 確かに倫理観とかブチ壊れそうです」


「そうだね・・・少し分かっちゃったわね」


 しんみりそんな感想を話していると、予鈴が鳴ったので教室に戻った。





 教室に入ると、カナちゃんの姿は無かった。

 気にしない様に自分に言い聞かせて大人しく席に座り、ぼーっと窓の外を眺めて時間が過ぎるのを待った。


 朝のHRが終わる頃、カナちゃんが教室に入ってきた。

 遅刻したようだ。

 僕が一緒に登校しなかったことが遅刻に関係している可能性が高いけど、気にしない様に自分に言い聞かせて、カナちゃんの方へ視線を向けない様にひたすら窓の外を眺めた。




 1限目の授業が終わり休憩時間になると、岸本さんがやってきた。


「ムギ、やっほー 少しは元気になったー?」


「え?いつの間に呼び捨て!?」


「そだよー これからはムギも私のこと『ハナ』って呼んでね」


「エェ・・・」


「ほら」


「ハナさん?」


「ダメ。『さん』は要らない」


「・・・ハナ、ちゃん?」


「んー、ギリおっけー」


 これが演技なのかどうかは分からなかったけど、岸本さんはいつも以上にフレンドリーだった。


 岸本さんは、僕とカナちゃんがお互い視界に入らない位置に立ってくれつつ、沢山話しかけてくれるから、本当に助かった。


 お昼休憩の時も「ムギー、一緒に生徒会室にいこー」と呼びに来てくれて、生徒会室で4人で一緒にお弁当を食べた。


 4人で食事をしながら今朝セツナさんに報告したカナちゃんからの反応や、今朝遅刻してきたことなんかを報告していると、来栖先輩が疑問を唱えた。


「あの二人を制裁すべきターゲットだというのは納得出来たんだけど、実際のところ、ムギくんはどうしたいの? ただ穏便に別れられればいいの?それとも仕返ししたいの?」


「そうですね・・・正直まだよく解りません。 でも凄く敗北感を感じてはいるんですが、どこか仕方ないのかな?っていう気持ちもあるんですよ。 お世辞にも彼女とは恋人として最初から上手くやれてたとは思えないですし、ぞんざいに扱われるのも付き合う前から分かってたようなものなので」


「なるほどねー、まぁムギくんが絶対に不利にならないように動くことを今は優先するべきかな」


「そうですねー」


「ということで、セツナちゃん、しばらく自重して下さい」


「え?わたし?」


「そうだよ、ムギくんに浮気すること煽って、『わたしが彼女よ』なんて言ってたら、わざわざ相手に付け入る隙を与えるようなものじゃない」


「エェー・・・」


「兎に角!しばらくはムギくんには生徒会が付いてるんだよ!っていう方向でのアピールがいいと思うの」


「ううう、分かったわよ・・・」


あれ?そうなると、当分はセツナさんとのキスは出来なくなるのかな?

最初はあれ程いや嫌だったのに、なんだか残念な気持ちになるな。






次話は本日17時公開

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