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第1話 そうだ、小説家になろう!

ロリコン諸氏に捧ぐ

 俺は大学中退してからもうかれこれ15年引きこもりのニートをしている38歳の独身男だ。恋愛経験なし。いわゆる純潔のヤラミソ童貞である。


 現代日本の男子はヤラハタなんて当たり前。大半のやつはヤラミソになり、そのまま生涯童貞で人生を終えてしまうらしい。


 俺も別に好きでヤラミソをやってるわけではない。彼女が欲しいし、セクロスしてみたいし、結婚もしたい。

 どうやら未婚のままアラフォーになると男女とも結婚は絶望的になるらしいので、ここが正念場だろう。


 では、どうすれば引きニートが彼女をゲットできるのか、考えてみよう。


 おじさん引きニートでは真っ当な方法で彼女を作ることは極めて難しいだろう。世の中にはクズ男をヒモにしちゃうような女性もいるらしいが。非モテには関係ない話か。


 クズなのになんでモテるんだろうか。クズになればモテるんだろうか?

 あ、自分は今でも十分クズだった。

 はあ……俺みたいなクズをヒモにしてくれる女の人がいればなあ。


 ヒモ男というと、役者とか芸人とかが若いころヒモだったという話とよく聞く。彼らの才能がいつか花開くことを信じて養ってあげる女性がいたということだ。

 才能、か……。


 そもそも引きこもりだから出会いが全くない。出会ったとしてもニートでは交際相手として、まともにとりあってくれないだろう。


 ニート――つまり無職であることが問題なのだ。


 俺はこれを解決する方法をひらめいた。


「そうだ、小説家になろう!」



 小説家になれば職業を聞かれたとき「無職じゃない。小説家だ!」と言い張ることもできる。十数年の職歴の空白を執筆活動ということにしてしまえる。

 引きこもりでも小説家であれば「さもありなん」となりうる。


 それに小説家になることで彼女を作る方法をいくつか思いついた。

 小説家であれば「ファンです!」なんて女の子が言い寄ってきてくれるかもしれない。

 もしかしたら俺の才能に惚れてヒモにしてくれる女の子もいるかもしれない!


「うは、夢が広がりんぐ」



 しかし、小説家になるためには何かしら小説を書いておかなければならない。

 これがネックだ。


 伊達に引きニートを15年もやっていない。

 ワナビーでいろいろトライしてきた。引きこもったまま稼げるようになれるかもと思ったし。

 当然、小説家にもなりたくて何度か小説を書いてみようとしたこともある。

 しかし完成まで書き上げたことは一度もなかった。


 漫画家になりたくて漫画を描いてみたり、絵師になりたくてイラストを描いてみたり、ゲームを作ってみようとしてみたり、ゲーム動画を配信してみたり、アフィリエイトしてみたり……いろいろチャレンジしてみたがどれもモノにはならなった。


 時間だけはあったが結局作品を何一つ完成させることができなかった。やる気とか努力とか才能とか諸々足りなかったのだろう。


 はたして今までできなかったのに今度は小説を書き上げることができるのか。


 今回は、なんとなく小説家になりたいから書くのではない。小説を書くことが今できる唯一の婚活なのだ。無職脱出のため、彼女ゲットのため、結婚のため、今こそ人生をかけて小説を書かねばならない。


 ここで書けないようであれば、ニートとして野垂れ死ぬか、まっとうに働くしかない。

 まっとうに働くなんて考えられない。そもそもまっとうに働けるならニートになっていない。


 つまりここが生きるか死ぬかの正念場。命が懸かっていると言っても過言ではない――いや、さすがに言い過ぎか。

 でもまあそのくらいの覚悟で小説執筆に挑むつもりだ。



 ま、今回書くのはとりあえず簡単なものでいい。

 コンテストの受賞を狙うような大層な小説である必要はない。

 テンプレ的な要素をガンガン使って適当でいいからとにかく完成させればいい。


 それに一作書き上げると達成感を得ることを覚えて、どんどん小説を書けるようになるしい。


 そのためにも書きやすいものを題材にしなければいけないな。


 引きニートなので暇に飽かせてウェブ小説を読みあさってきた。特に異世界ものには憧れた。

 それで自分でも異世界ものを書きたいと何度も挑戦したものの、設定やプロットを考えているうちに書く気が失せてしまうことばかりだった。いつも魔法の原理を考えているうちに終わる。


 今回も異世界ものにしてしまうと同じような結果になるのは目に見えている。


「うん、異世界ものはやめておこう」



 となると現代ものだ。

 高尚なものは書けそうにないから、軽くてゆるいラノベチックなもの――ラブコメものかな。


 俺はロリコンだ。

 JCの彼女が欲しいし、できることなら婚姻可能最低年齢の16歳JKと結婚したい。

(法律改正で2022年4月1日から18歳に引き上げになる)

 もちろん現実的ではないことは分かっている。単に願望としてそういうものを持っているだけだ。


 いや、待てよ。

 そういえば友達の友達が女子高生を孕ませてしまい責任取って結婚したという話を聞いたことがあったような……。俺はそれをすごくうらやましく思った記憶がある。

 もしやJKと結婚することはそんなに非現実的でもないのか?


 俺だけでなくJCJK好きのロリコン野郎は世に多いようだ。

 最近ラノベでも、おっさんとJKの恋愛ものをよく見かけるようになった。

 俺のようなラノベを読むおっさんが増えていて、そういう読者に合わせてラノベの主人公もおっさん化しているのだろう。しかしヒロインは年齢が上がらずJKのままと。みんなロリコンだから。


 であれば、俺もおっさんとJCがいちゃいちゃするけしからんラブコメ小説を書こうじゃないか。


 そういう現実的に難しい願望を代わりに叶えるということが小説のカタルシスなのだという。


 俺は自分の願望や妄想を書けばいいし、それで読者ウケも期待できる。

 妄想力は童貞の強みだ。エロい妄想ならいくらでも書ける。


 とにかく完成重視でテンプレを使いまくって、願望妄想のJCとのいちゃラブを適当に書いていけばいい。


「これならイケそうだ」



 そういえば、引きニートになる前の大学時代は家庭教師や個別指導塾の講師のバイトをしていたこともあったな。その頃は国立大学のいいところに行っていたんだ。引きこもってしまい中退したが。


 そのとき受け持った生徒は全て男子生徒だった。生徒の振り分けは基本的に同性を振り分けるようだった。内心JCやJKを受け持って仲良くなりたかったのだが。


 そうだ、経験のあることは小説に書きやすいはず。それにおっさんとJCの接点として、家庭教師とか良さそうじゃないか。


 大人がJCと親密になる方法として教師の役職に就くことはかなり有効な方法だろう。

 だが学校の教師や塾の講師が生徒と恋愛関係になってしまうことは、法律的にも社会的にも許してもらえない可能性が高い。


 では家庭教師ならどうか?

 家庭教師と教え子の恋愛であれば世間的にそう問題にならないだろう。そもそも世間バレしにくい。それに親と良好な関係を築き得る可能性もある。


 ただ家庭教師派遣会社なんかを通しての契約だと、その会社との問題が出てくるのでちょっとまずいかもしれない。


 つまり、直接契約の家庭教師になるということが、JC彼女をゲットできる可能性が高い方法であるというわけだ。


 なのでこれから俺が書く小説は、JCとおっさん家庭教師が織りなすラブコメ、これで決まりだな。


「書けるぞ、俺にも小説が書ける!」



お察しかもしれませんが作者と主人公はだいたい同スペックです。

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