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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

墓を掘りましょう

作者: あったこっち

物心ついた時にはもう僕は穴を掘っていた。


(いっぱいいっぱい掘ってね)


小さい頃からおかあさんにそう言われて育ったから。

掘ったら掘った分だけおかあさんは褒めてくれるし、掘った分だけ喜んでくれる。

僕はおかあさんの優しくてどこか儚げな笑顔が大好きだった。


だから日が昇ってすぐスコップを持って大人の足[おかあさん基準]なら、村から1時間程の場所にある森と隣接した荒地に小走りで行って穴を掘る。

というよりも村から荒地まで見渡す限りが森だから、森から出るのに1時間ほどかかるんだ。

森じゃないところはこの荒地と村しか僕は知らない。


日が沈む1時間ぐらい前には掘るのをやめて家に帰る。おかあさんが用意してくれたご飯を食べながら、おかあさんに今日はいくつ穴を掘ったかとか、天気が良かったとかを話す。


おかあさんは笑顔でいつも話を聞いてくれる。

それが嬉しくて僕はとにかくいっぱい話をするんだけど疲れていてすぐに眠くなってしまう。


そんな僕をおかあさんはいつも慈しむように、宥めるような優しい笑顔で


(今日も頑張ったわね、身体を洗ってもうおやすみ)


と言ってくる。

僕はもっと話したいと思うんだけど、眠たくて眠たくて仕方がないのでしぶしぶ眠る準備をする。

……それにこれを言われてから頑張って起きてお話しをしても、おかあさんは笑顔です聞いてくれるんだけど、笑顔が悲しそうに、何かをこらえるような笑顔になるから素直に言うことを聞くことにしてるんだ。




そんな一日をずっとずっと繰り返した。

雨が降っても風が強くても穴を掘る日々をずっと繰り返す日々を続けた。


そんなを続けるうちに身体も大きくなり、それにつれて一日で掘れる穴の数も増えていった。

……でもおかあさんは変わらない、いつも綺麗で優しいままだ 何でだろ?


おかあさんにそのことを聞いてみたことがあるけど


(女性に年齢の話をしたらだめですよ)


と言われてそれ以上は聞けなかった。

……でもおかあさん以外の女の人は見たことないから聞く心配はないんだけどね! そういえば、僕以外の男の人も見たことないや。


その次の日、気になって荒地に行くついでに村を見て回ることにしたんだ。成長した分それくらいの時間は取れるようになったから。

結局数十分くらい村を見て回ったんだけど僕とおかあさん以外誰も見つけられなかった。


それから急いで荒地に行って穴を掘った。寄り道した分頑張ったからその日はいつもよりも疲れちゃった。

……今まで数え切れないくらい穴を掘ってきたけど、随分昔に掘った穴は埋められて上には傷が入った木の棒が刺さっていた。 おかあさんかな?


最近気づいたことだけど、おかあさんは僕が寝たのを確認するといつのまにかいなくなる。

でも朝に起きたら朝ご飯を作って僕を見送ってくれるんだ


穴のことを朝おかあさんに聞いてみると


(ええ…私が埋めてるの。私の大切な思い出と一緒に)


と言って僕の頬を撫でながらいつもの笑顔で教えてくれた。そして頬を撫でたまま


(あと少しで終わるの、もう少しおかあさんのために頑張ってくれる?)


と聞かれ、僕はすぐに頷いた。

……そうしなければと直感的に思ったから


それからも荒地で一日中穴を掘る日々が続いた。

おかあさんにもう少し頑張ってと言われてからどれくらい時が経ったのだろうか?

僕の身長はおかあさんをかなり前に抜いていて、最近身体が疲れるのがほんの少しだけど早くなってきた。髪も白い毛がほんの少しだけど生えてきた。

……おかあさんは変わらず綺麗なままだ。昔と同じようは

優しくて儚い、僕が大好きな笑顔を向けてくれる。



その日は珍しく掘る穴の数を指定された。

指定された数はいつも掘っている穴の数の半分もいかないぐらい少なかった。

おかあさんにそのことを聞くと


(今までよく頑張りましたね、あともう少しです。穴を掘り終わったらできるだけ早く帰ってきてくださいね、いっぱい話したいことがありますから)

と言われた。


今荒地で最後の穴を掘っている。

小さい頃と比べると随分早く、それでいて綺麗に穴を掘れるようになったと思う。

少し手を休めて小さい頃の事を思い出してみた。


家からここまで自分と同じくらいの大きさの鉄製スコップを担いで小走りできていた。

あの頃はかなり疲れた、おかあさんに言われた通り自分がすっぽり入るくらいの穴を掘るのに一日中かかった。

そういえばあの頃と比べて穴を掘る場所がだいぶん移動していた。

最初の頃は朝、太陽がある方に真っ直ぐ行っていた。寒くなったり暑くなったりするとわずかに違う場所につくこともあるが、大体森のすぐ横近くについた。

これも最初におかあさんに教えてもらった事だと思う。正直あまり覚えていないけど。

それから身体が大きくなるにつれて、朝に家から見える太陽よりも右側にあたりを目指すようにしてきた。これは自分で考えてするようになった。おかあさんに話すととても褒められたのでよく覚えている。


そんなことを思い出しながら森の方を見ると、おかあさんが埋めて刺した木の棒が森の方から大きくなっていることに初めて気づいた。


数分後最後の穴を掘り終えた。

……これで終わりか




家に着いたのは空が綺麗なオレンジ色に染まり始めたくらいだった。 とても綺麗で涙が出そうだった。


家の中ではおかあさんがいつもより嬉しそうに、そしていつもより悲しそうな優しい笑顔で待っていた。


(おかえりなさい、今までよく頑張りましたね。 本当によく頑張りました。夕ご飯も記念にいつもより豪華にしましたから、一緒に食べましょう)


そう言われて僕はおかあさんの向かい側に座った。


夕ご飯を食べ終えた後いつもと同じように身体を洗いに行こうとしたらおかあさんが

(身体を洗い終わったら私の部屋にきてくれませんか。

話したいことがありますから)

と、僕は当然了承した。



身体を洗い終わってすぐにおかあさんの部屋に行った。何度か中を見たことがあったが入るのは初めてなので緊張しながら入った。

僕の部屋は簡素なベッドと小さな箪笥とスコップがあるだけの部屋だけど、おかあさんの部屋は簡素なベッドがあるだけだった。


おかあさんはそのベッドの上で静かに座っていた。


(さあ…こちらにいらっしゃい)


おかあさんは自分の太ももをとんとんと叩きながらそう言った。

僕はおかあさんに言われるがままに動き、おかあさんの顔が見えるかたちで膝枕をされた。


おかあさんは少しの間僕を見つめ、頭を撫でてから話しはじめた。


(今から少し長くなるかもしれませんが、昔話をします。

その話の後にあなたからの質問に答えます。 それで構いませんか?)


僕は仰向けのまま縦に首肯した。

おかあさんは優しく微笑んでから話し出した。


【昔々、とてもとてもむかしのお話です。

今では私しか覚えていないお話。

…昔とても大きな王国がありました。王国とはとても沢山の人が国王という一人の人に従いながら維持される団体、と考えてもらえばいいです。その王国に一人の少女がいました。その少女は特別でした。周りの人から美しいと褒め称えられ、そして国王の娘です。

ですが娘は生まれながらに身体が弱く早くに死ぬことが決まっていました。

国王は娘のことを溺愛していました。妻を娘が生まれると同時に無くした国王は、妻の生き写しである娘をそれはそれは大切にしていたのです。


娘のためなら全てを犠牲にするほど愛していました。


そして早くに死ぬとされていた娘は生きながらえました。

そしてより美しくなりました。

その身に異変を感じながら。



国王は悪魔と契約したのです。

我[国王]は娘を生きながらえさせる事と引き換えに我の死後の魂と、悪魔の三つの要望を我は我の使える全てを持って応える事とする。


悪魔は優しく人好きする笑顔で言いました。

1、《い〜〜ち》

娘が生きてる限り、特定の範囲内で死んだ人の魂を全て俺に引き渡す事。

ただし俺はその魂を直接どうにかはしないが、どうなるかについては責任を持たないものとする


2、《ふた〜〜つ》

その範囲は現時点でお前[国王]の力が反映される範囲の中の人が対象である {お前の決断の下で生死が操れる場合をお前の力が反映される範囲とする}


3.《み〜〜つ》

今この時より俺の存在を認識した者とは、その者と俺の間で独自の契約を結ぶ事ができるように、お前は俺の召喚規約の内容書き換える事 ただしその者が望まぬ場合は契約を結ぶ事は出来ない事とする


上記の三つの条件で俺は俺のできある限りの力を使いお前の娘を生きながらえさせよう。


国王は考えました

この国の総人口 一年間の死者数 軍の余力 など計算し娘の一生分ほどなら自分がいる責任を取れると判断し、国王はこれらを受け入れました。

精々四、五十年だと考えて。


国王はあらゆることに手を打ちました。

死者が怪物として暴れたなら軍を動かしました。

殺しても殺しきれない不死の怪物でしたが捉えて動けない状態にしていきました。


悪魔に誘惑されると国民(国王に従う人のことです)が騒げば、耳を傾ける必要ないと言い切り、国民の不安を取り除きました。


国王は国内の治安維持には心血を注ぎました。

それが責任であると思って。


国王は愚鈍ではありませんでした

国王は無能ではありませんでした

ですが国王は聡明ではありませんでした

そして有能でもありませんでした

故に気づくのが遅れました

取り返しがつかなくなるまで


国王はとても大きな国の国王でした

その国の治安維持ができただけでもたいしたものですが、とても大きな国の国王なのですから、周りの小国に与える影響力はかなり強いのです。

小国の国王や貴族(国王に近しい者たちと考えてください)は難しくとも、あなたのような立場の個人になら生死の選択を迫れるくらいに力が強いのです。


国王は気付きました。周りの国でも自分の国と同じような事が起きており、自分の国以上に混乱しているということに。

当たり前です。誰も何故こんなことが起きているのか、どうしたらいいのかすらわからないのですから。

国王が対処に動こうとした時にはいくつかの国は崩壊し、耐えている国も国中が混乱していて、国としての形を保っているので精一杯な状況の国が大半でした。


ですがまだ手の打ちようはありました。まだ軍を維持できるほどの国力を維持している国と連携すればまだどうにかなる状況だったのです。

終わりがある現象だと国王は知っていましたから


国王は必死に動き続けました。

故に娘が年をとってないことに、死ぬ数年前まで気づく事ができませんでした。


数年経ち一向に解決されないこの事態に多くの人たちは悪魔の誘惑に負ける形で契約をするようになっていきました。

その願いは様々です

家族が食べていけるようにと

怪物たちを倒す力や方法を知りたいと

そしてあるものはこの状況の原因を知りたいと

契約した人たちは死後の魂を悪魔に渡す事になりました 。


契約者たちは悪魔から教えられた事を世界に広めました。

悪魔曰く

怪物を倒す手順は

1《ひと〜〜つめ》

トネリコの木を粉状にして大地にいっぱい混ぜる事

効果が出るまで時間はかかるけど、粉をまくだけでもいいよ


2《ふた〜〜つめ》

怪物のどんな方法でもいいから捉えて、トネリコが混ざった地面に埋める

これで怪物は動くことも何をする事も出来なくなるよ


3《み〜〜つめ》

完全に埋める前に怪物の胸にトネリコの木をブッ刺す

これで怪物はトネリコが育つ養分になって消えちゃうよ

身体しかないからね。怪物として存在力はとても弱いんだ。魂があったらトネリコじゃ存在力を上回れないよ





(この状況の原因かい?あの国王が娘を生きながらえさせようとした事だよ)


この一言で世界中が争いの渦に飲み込まれました。

争いは怪物がはびこる中で始まってしまいましたから、多くの人たちが死に、すべての国がなくなりました。

特にとても大きな国の首都は跡形もなく消え失せました。


国王は無残に殺されましたが、娘は殺されませんでした。

いえ、殺せなかったのです。


また一人悪魔と契約しました、死後の魂と引き換えに何故、娘を殺せないのか聞きました

悪魔曰く

(娘は俺が国王との契約の下、俺の出来うる限りの力を持って生きながらえさせる事になっているんだ。

娘の身体は、怪物となった者たちの魂を勝手にごく自然に、不可抗力的に集まるように偶然なってしまっている。だからその集まってきた魂たちを糧に娘は生きているんだよ。


勿論怪物になった者たち全部の魂ではないよ


たまたま娘の近くを彷徨った魂だけだよ


その魂たちを使い尽くすまでは死なないよ


怪物たちと同じ方法で殺すのは無理だよ


だって怪物たちと違って魂があるからね、いっぱい。


トネリコ胸にぶっ刺しても成長の糧にはならないよ。

なぜなら娘は身体機能で生きてるのではなく魂を消費して生きてるからね

身体を殺しても死なないよ


でも娘はほとんど怪物だからね、トネリコの粉を吸い込んだりすると魂をかなり消費するよ。

君たちの時間感覚からしたら微々たるものだけどね。

残念なことだよね)


と悪魔は人好きする笑顔で自分の頑張りを褒めてという風に契約者に言いました。



またある人は死後の魂と引き換えに聞きました

怪物たちはなぜこの世界をさまようのかと

悪魔曰く


(それはね、たまたま偶然あの怪物達の特性がそうなっているからなんだ

あの怪物達は世界を彷徨う魂の影みたいなものなんだ。

魂があるから存在できる怪物は、身体があるからできる影と同じものさ。

影があるということは身体があるということなんだよね。でなければ次妻が合わないだろう?

だから怪物がいる限り、元の人の魂は世界を彷徨う。

彷徨ううちに娘を近くも通る事もあるだろうさ。

勿論偶然ね)



またある人は死後の魂と引き換えに娘の殺し方を聞きました。

悪魔曰く

とびっきりの笑顔で


(簡単さ〜〜そんなこと。とても簡単だよ〜〜

怪物が消えれば魂も消える

魂が消えたら娘も死ぬ

ほぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜らぁ〜〜〜〜〜〜〜簡単だろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)

悪魔は堪えきれなくなったのか一日中笑い続けました



娘は解放されました。

自由に生きろと言われて

人々は諦めました、もうどうにもならないと。




娘は歩き続けました

娘は考えました

一人で考えました

終わりにする方法を


(や〜〜ご機嫌かい?

僕はと〜〜〜〜ってもご機嫌さ〜〜!)


悪魔がいました。

娘の前にいました

人好きする笑顔で娘に語りかけます


(自由になれてよかったね〜〜

俺のおかげだね〜〜

俺が親切で君[娘]が死なないってことを教えてあげたおかげだね〜〜)

と、


娘は感情を殺していいました

……どんな表情をしても楽しませるだけだと思ったから


(私に何のご用ですか?)

と、

 

それに悪魔は


(それは契約かい?それなら今すぐ答えるよ〜〜)


娘は

(なら言わなくて結構ですので私の前から消えてください)

と言い無視することにしました。


悪魔は面白がるように

(冗談だよ、冗談。

君を助けてあげようと思ってね〜〜わざわざきたんだよ。

君死にたいでしょ

だって君が死ねばもう怪物は生まれないからね。

僕と契約しようよ。そうすれば君の今の状態を解除することができる。

特別に君の魂には手を出さないよ

君のおかげで一回の召喚では考えられないくらいの魂を手に入れることができたからね)


悪魔は心の底からくる親切心で言ってるんだよという顔で娘に契約を持ちかける


娘はそれでも表情をかえなかった

(私の魂にはということは、私の魂以外の私の体にある魂はどうなるのですか?)


悪魔は3割増しで明るく笑い

(勿論貰っていくよ、だって君の体の中にあって君を生きながらえよさせるために使われている魂だよ〜〜

勿論君自身の魂とは別ものだけど

君の所有している魂として貰っていくよ

…さぁ契約しようか)


娘は少し考える表情になり

(これを聞くのが契約したことになるなら答えなくても結構です。なぜ魂を集めるのですか?)


悪魔は少しつまらなそうな顔になり

(それは答えられないね

契約後にならおしえてあげる)


娘は直感しました

……魂を悪魔に渡すのはただ死ぬ事よりも悪い結果になると

(それなら大丈夫です。もう私がやるべき事は決まりましたので)

娘は来た道をなぞるようにまた歩き始めました。


(残念、)

悪魔はそう呟いたがその顔はいつもの人好きする笑顔だった



娘はただ頭を下げて人々に懇願し続けました。


(私には怪物達を倒すことや怪物の胸にトネリコを刺すことはできても、穴を掘ることは難しい。

トネリコの粉や成分が混ざった砂がどうしても体の中にに入ってしまうから

私は、私の中にある私以外の魂を無駄にすることができません。

どうか私に力を貸してくれませんか)




娘は長い時間をかけて生き残った人々を説明して説得を続けました。

それでも殆どの人々は娘に協力はしませんでしたが、どうにかトネリコの粉を大地に撒く事だけは協力してくれることになりました。


そして幾人かの説得に応じてくれた人々と共に怪物が多くいる辺境の地を周り、怪物達を倒していきました


徐々に怪物と人々は数を減らしていきました。

それに比例するように森ができていきました


お終い】


(よく最後まで聞いてくれました ありがとう)


おかあさんは僕の頭を撫でながら僕にそう言い微笑んだ。

どことなくスッキリとした顔だった。


(何か質問はありますか?)


おかあさんは僕を起こしてそう言った。


僕は一つ一つ不思議に思ったことを聞いていくことにした。

(おかあさんは年をとらないの?)

(とりませんでした、ですが今はとります)


(この村に僕とおかあさん以外の人がいないのはなんで?)

(この村の人たちは私たしに協力してくれた人たちの子孫で、この村は六十年ほど前に私含めて九人で作りました。二十年ほど前までは私以外に三人ほどいましたが、一人は怪物による負傷が悪化して、一人は年による体力が低下し病で、最後の一人はあなたを産み徐々に体を壊し二年ほどでなくなりました。)


(その人達は怪物になったの?)

(はい、なると同時に捉えておきました。

あなたが十分な大きさの穴を掘れるようになった時に埋めました。)


(今は年をとるって言ってたけどそれはどうして?)

(今まで埋めてきた怪物達がトネリコの糧として消滅していき、今私の中にある魂がごく少数になったからです。)


(今日穴の数を指定したのはどうして?)

(今この大陸にある魂が三つだからです。

私とあなたとあなたの母親の魂です)


(僕は何をしたらいいの?)

(それは 荒地で言います。荒地に着くまで他愛もない話をしましょう)



荒地に着くまでの一時間程、僕とおかあさんは色々なことを話した。


いつもどこか悲しそうで辛そうだった理由


小さい僕に穴を掘らせることが辛かったこと


それでも一つでも多くの魂を返したくて僕に頑張ってと言い続けたこと


僕を育てれるか不安だったこと


僕の母親のことや父親のこと


僕や母親 父親の祖先達のこと


村づくりや食料調達に慣れるまでの苦労話


今日僕が掘った穴に着くまでたくさん色々な話をしたこんなにたくさん話したのは生まれて初めてだった。

おかあさんは穴に着くとどこかへ数秒消え、数秒後木の棒と一緒に縛られてる女の人と一緒に現れた。


おかあさんは少し悩むようはしてから僕に言いました。

(あなたの母親です。彼女の願いは、できるだけあなたのことを見守っていたいとのことでしたので最後に埋めることにしていました。)


僕が初めて見るおかあさん以外の人?に混乱していると、おかあさんは戸惑う僕をまっすぐに見ながら


(これから彼女を埋めます。できることならあなたも手伝ってくれると彼女もとても喜ぶと思います。

無理でなければどうか)


初めて見るおかあさんはの真剣な表情に押される形で僕は了承した。

(うん、手伝うよ)

と、


そこからはおかあさんの簡単な指示に従いつつ静かに作業をしていき、おかあさんが最後に木の棒を僕の母親?に刺そうとした時に、おかあさんに頼んで僕が刺すことになった。

……理由はよくわからない


刺し終えてすぐにおかあさんに異変が起きた。

顔からいつもある余裕がなくなり、顔色が真っ青どころか土色に近くなっていった。

おかあさんは地面を支えにするようにして体をどうにか起こしながら呼吸を懸命に整えて、今にも消えてなくなりそうな声で僕に言った


(あ なたの は は おや は

なが い じかん トネ り コに

ふ れて い た か ら 、 すでに そん ざ いり ょ く

がげ ん かい だ っ たみ た いです)


おかあさんは苦しそうに嬉しそうにしながら笑っていた。

おかあさんは僕に何かを伝えようと必死に喋ろうとしているけど、呼吸が苦しそうで言葉にならないみたいだった。

それでも涙を流して、色々な感情がごちゃ混ぜになりながら僕に向ける笑顔はとても綺麗だった。


僕はどうしたらいいのかわからず、ただおかあさんの体を支えて頷いていることしかできなかった。



それからどれくらい時間が経ったかわからないうちにおかあさんの荒い呼吸音はやみ、僕の腕にいるおかあさんの命が薄く消えていくのを感じた。そして僕にかかる重みが増し、おかあさんは少しずつ冷たくなっていった。



















太陽の光に起こされる事がないように、僕はおかあさんを埋めた。

おかあさんは木の棒にそれぞれ違う形の切り傷を入れていたけど、僕にはそれがどんな意味なのかもわからない。

おかあさんに木の棒を刺す必要はないと思ったし、刺したくなかったから代わりに木の実を入れておいた。

そして目印代わりに僕のスコップを少し地面から出る形で一緒に埋めた。


end





× × × × × × × ×


最後まで読んでいただきありがとうございます。

パッと見た感じつまらなそうでここまでスキップしてきたとかでも十分なくらい嬉しいです。


えー小説になろうでなんか小説書きたいなと思いばばばと書いてみた作者の処女作です

処女作なんでキャラ設定が甘い 世界観がよーわからん

話がめちゃくちゃだとかは大目にみてください


これからも短編や気分が乗ったら長編も書くつもりですので目についたら読んでみてください。


穴掘りの少年や悪魔のその後は一応考えてたんですが気づいたらいい感じに終わる流れになったので書かないことにしました






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