コンポスト
水飛沫が
静けさを仕舞い込む
車の音が遠くにあり
泡立ったスポンジと
少し冷たい水で食器を洗う
すすぎ終わりと水切り
ひっくり返した水と
軽く流した後に
線のようになって止まる水
沈み切った電球は
きらきらになることは無く
燃えないゴミに投げ入れて
捨てることを
忘れないようにする
颯と新しい電球をつけて
何ごとも無かったかのように
いつもの時間に戻るのだ
僕は
そうなって捨てられた電球が
気になるのだが
それは本来なら
おかしなことであるらしい
要らない物と理解しながら
要らない物を気にすること
要らない物と理解した時点で
颯と忘れること
比べることじゃないが
どちらが好きかということだ
遡り置いてきた物を
たまに手に取れば
柔らかな形の日差しを
浴びたような気になる
譲れない物の中には無い
居心地の良さは
誰かを頼るのに近しい
過去の自分を頼れた時
きっと、今を
大切に生きているのだろう