第4話 ステータスでごめんなさいっ!
2017/04/23 大幅加筆修正 致しました。
ジぃぃぃ……
ソリ込みの入った角刈り頭にするどい目つき。ダボダボの白Tシャツに、銀色の腹巻。 袖に手を通さず羽織っているのは、どこで買ったのか趣味の悪い紫の背広。
ウン、これは【もろ】だ、それも一昔前の、絵に描いたような【もろ】だ……。
言わずとしれた【梅津一家】一番の人情家――マサ兄ぃだ。
シノギは、駅前の屋台でおぃらと毎日タコヤキを焼いている。手先はものすごく器用なのに、物事を深く考えるのが苦手で、口より先に手が出るナイスガイ。
そんな訳で、おぃらは毎日ゴンゴンと、お寺の鐘よりもこづかれている。
だけど3年前からずっと――公園でひとりぼっちで暮らしていたおぃらが親父に拾われた日からずっと、マサ兄ぃはおぃらの面倒をみてくれている。自分の事は本当に適当なのに、いつもおいらのことを、あれやこれやと気にかけてばかりだ。
威勢はいいのに本当は、人情家で涙もろくてお節介で、そしてお茶目な兄ぃだ。
ゴチぃぃぃン! 「シュウ! はよせいっ、恥ずかしいやないかっ!」
マサ兄ぃ、人が思い出に浸ってるときに、赤くなりながら殴るのは反則です……誤解されちゃいます。
「スンマセンっ、見る方向性まちがえましたっ!」
気を取り直してっと、えーと、こうだったなっ――エイッ!
ぽむっ からの ボムっ!
「おっ、出た出た」
ジぃぃぃ……
おぃらと兄ぃ達は、マサ兄ぃの前にフワフワと浮かぶ石版を覗き込んだ。
ちなみに――
名前 :マサ
種族 :たぶん人間? (32歳)
体力 :■■■
魔力 :■■
技力 : ∞
攻撃力 :■■■■
耐久力 :■■■
知力 : orz
精神力 :■■■■
器用 : ∞
素早さ :■■■■
魅力 :■■■
――こ、こんな感じ……。
な、なんと言ったらいいんだろう。出だしの種族の項目からすでに怪しくなっている。しかも、知力に至っては、能力値とかいうのを通り越して、なんか謝ってる……。
今まで、散々、傷口を舐めあいこして来た【お猿同盟】だが、まさかここまで露骨とは思わなかった。
マサ兄ぃのステータスの事だ――
棒グラフが ちょっぴりっ! とか、
最悪 赤くなって点滅っ!
――そんな感じのは、予想の範疇だった。
その時は、お腹空いちゃってるんですかぁ? とか、寝たら回復しますよぉ! 的な形でやり過ごす積もりだった。
まさか……、出だしの種族で蹴躓いた上に、知性で完全にトドメをさされるなんて……。
いやっ、まだ大丈夫だっ! いままで二人で乗り越えてきた苦難の数々を思いだせっ!
という訳で、ここはひとまず『とりあえずやり過ごす』を選択。
ぽちっとな――
「ま、マサ兄ぃ、すごいっすよぉ、【技力】と【器用さ】、∞(無限大)っすよっ!
シノギのたこ焼き屋台、行列できるだけあるなぁ、さ、さすがだなー……」
「オウっ、まあなっ! やっぱ繊細な俺には、こまやかな技仕事が似合うんだぜぇ」
――ナイスおぃらっ! 切り抜けたっ、ここはある意味、知力ゴメンナサイに感謝だ。
フ~、下っ端は気を使うぜ……あっ!
『ゴクリっ……』
まだだった、安心するのはまだ早かった。
まだ左半分をクリアーしただけだっ。
最大の試練は、残りの右半分にある……ど、どうするおぃらっ?
おそるおそる……ジぃぃぃ――
[スキル]
アイテム鑑定・素材加工・アイテム合成
[固有スキル]
威嚇(強い敵にはだめだよ)
挑発(どうなっても知らないよ)
[特技]
メンチ(失敗したらアウトっ!)
罵詈雑言(できれば逃げながらね……)
ハッタリ(笑)
――うっ……ど、どうしよう……ご丁寧に解説付きだ。
下っ端泣かせとしか言いようのないマサ兄ぃのステイタス板。誰かこれをフォローできる人は、下記の宛先まで送って来てくれ……
できれば、100文字以内で、ちゃんと漢字にルビを打ってくれると助かる。(句読点も一字と数えます。)
どうしよう、どうしよう……フォローしないと――オロオロっ
「まあ、人それぞれですから……
とりあえず深く考えるのはやめて先進みましょうかねぇ」
常にポーカーフェイスで冷静なタツの兄貴の口調が、なんか……優しかった……
読んでくださりありがとうございます。
誤字、脱字、気になるところ、ご指摘くださると、幸いです。