表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

沈む夕陽は 始まりの朝

作者: 緑青 海雫

鎮魂歌に近い詩



 



 雲間が薄いピンクに染まり


 徐々に濃さを増して 光が地平線へ落ちた


 空を辿れば 西の地平線が赤く滲むのを


 わたしは じっと眺めてた


 あのひとが旅たった日


 燃える地平線のその先で


 きっと新たな朝が始まるのだろう


 残酷なまでに繰り返される その光景は


 今は苦しく苦いものでも


 いつかは美しく優しいものになるのだろう




 陽に照らされた星々が 真昼に姿を隠すように


 あなたもきっと其処にいるのに


 光に照らされてるから 見えないのだろう


 いつか会えるその日まで


 いったい何回 太陽が地平線へ落ちるのか


 いったい何回 朝が始まるのだろうか


 朝が始まる苦しさを わたしは何度 繰り返すのか


 それでも地平線のその先で


 新たな命が始まるのが 胸が詰まるほどいとおしく


 すべてに平等に与えられた朝と夜が


 憎らしくも やさしくて


 腹立たしくても 穏やかで


 悲しくても 喜ばしい


 苦しくて 切なくて


 それでも 眼を離すことが出来ずにいる




 あなたのいない世界が始まると言うのに


 それでも 世界はうつくしい


 それでも 世界はいとおしい


 そうして また夕陽が沈み


 そうして また朝陽が昇る


 わたしにとって 終わりでも


 だれかにとって 始まりなのだ




 季節は 世界は 誰にも何にも構うことなく


 たゆまず 何度も 巡り続けるのだろう


 そうしてわたしも また歩むことを続けて


 いつか あなたの場所へと旅立つ日まで


 時を巡って その都度 空を仰ぐのだ


 地平線へ 落ちる夕陽を眺め続け


 わたしは 今日も 朝陽を待った











ありがとうございました。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ