七話
あれから外に出てちょっと歩いているんだけどスキャン結構使えるスキルって事が分かったわ。
まずスキャンは常時発動出来るみたい、でもそれだと最初は視界が【木】【土】【壁】【草】【葉】とかで埋め尽くされちゃってまともに歩くことも出来なかったんだけど、一度調べたものはオンオフができる事に気付いたの。
これで見たことないものは初めの一回だけスキャンが発動して次からはそのまま実物が見えるってわけ。
まあ、ここまではまともに歩けるようになったってだけだけど此処からがスキャンの凄いところ。
っと、さっそく居たわね。
視界のほとんど意識すら向けていなかった方向から【アメリーゼ ミディ ガラリーコング】というスキャンの情報が目に飛び込んでくる。
そう、これあんまり意識してない方向でも目に写ればスキャンしてくれるの、ある程度の距離の制限はあるみたいだけどね。
あ、ちなみに今のは最初に見たツノの生えたゴリラっぽい生き物の名前ね。
ああいう他の生物は名前がちゃんと見れるのよね、まわりの物は全部【土】とか【草】とかなのにね。
生物だと違うって事なのかな。
とりあえず、これで逃げるのが捗るわ!
え? こっちが早く見つけられるようになったんだから奇襲でもなんでもして戦いに行け?
無理無理、あいつにしてみたら私なんて羽虫と同等よたぶん、第一大きさが違いすぎ、あいつこの前見たゴリラより更に大きくて4メートルぐらいありそう、それに比べて私20センチ位だからね。
蚊を潰すのと同じくらいの気持ちで潰されて死ぬわ。
いくら昨日生きていこうって決意しても流石にあれば無理。
なんか弱そうな相手がいたら戦ってみようと思う、いずれ戦わないと餓死しちゃうからね、もう腐った人間は食べたくないです……
でも、私より弱い奴っているのかなー、いるといいな。
◆ ◆ ◆
おっ、ちょっと視界が開けた?
この森に入ってからほとんど空が見えない生活(と言っても今日2日目だけど)だったけど、今木々が途切れて空が見えている。
空は地球と同じく真っ白い雲が気ままに漂い青々と透き通り大きな太陽が燦々と輝いている。
そこらへんは地球と同じなのねー、やっぱりお日様に当たるのは気持ちいいわね。
っと、危ない危ない、上にばっかり気を取られてたから気づくのがちょっと遅れて足踏み外す所だったわ。
地割れね、森を二つに裂くようにかなり大きく地面が割れていて下を見ても底が見えず左右を見ても森を裂くその地割れの終わりは見えない。
カラッとそこらへんの小石を落としてみる。
落ちる石は直ぐに見えなくなるがいつまで経っても底に当たったような音はしない。
向こう岸もかなり遠いからジャンプで飛び越すとかも無理ね、しょうがない、この地割れに沿って移動していきましょうか。
横に地割れによる断崖絶壁を見ながらてくてくと進む。
それにしてもここの木は本当に大きいわね、前世でも木は見たことはあるけどここまで大きいのは見たことなかったから改めてちゃんと見るとちょっと感動しちゃうな。
おっ、こっちの木にはちょっとジャンプしたら届きそうなところに窪みがある。
ちょっと覗いてみようかなっと。
【アメリーゼ レスエスト スクウィール】
あ、まずい、目があった。
急いで手を掛けていた木の窪みから飛びのく、暗くてどんな生物なのかわからなかったけど、名前にレスエストって付いてるからそこまで強くないやつだと思う。
他の生物を見ていてわかったんだけどこのレスエストってのは強さのある程度の指標だと思うんだよね、他にもハイエストとかミディとか色々有ったから。
だから、相手を見てから逃げるか決めようと思う、ここの生物襲ってこないし、逃げようと思えば逃げれるからね。
と、考えているうちにに木の窪みからにゅっと顔が出てくる。
ん?なんか大分ちっこい、私と同じかちょっとちっちゃいくらい?顔はクリクリとしたパッチリしている目、茶色いふさふさの毛、かなりいっぱい物が入っているのか膨らんだほっぺ。
うん、リスだね、見た目完全なリスだ。
それが木の窪みから顔だけ出してつぶらな瞳でこっちを見つめている。
…………か、か、か、かわいいいいい!!!
なにあの子超かわいい、つぶらな瞳、膨らんだほっぺ、ちっちゃい口!何もかもがかわいい!!
いやー!ペットにしたいあの子!
のそのそとリス……じゃなかった【アメリーゼ レスエスト スクウィール】が木の窪みから出てきた、名前長いからスクウィールでいいね、おお、身体もリスみたい……じゃ、ないね……
地球にいたリスだったら付いているそのくるんと丸まったような尻尾の先についているものが普通と全く違う、そこにくっ付いているのはかわいい見た目とは全く合わないスクウィールの身体と同じくらいの大きさのトゲ付きの鉄球。
うわー、あれは当たったら痛いじゃすまなそう、ペットにするとか無理ね、あれで戯れてきたら叩き潰されそう。
とゆうか何で生物に鉄球がくっ付いてるのよ、これは逃げた方が良さそ……
スクウィールが木から降りてきて威嚇してくる、あれ?なんで威嚇?この森で見てきた他の生物は襲ってこなかったのにこいつは完全にこっちを敵として見てる。
って、うおっ、危なっ!!
威嚇した後その鉄球のついた尻尾を振るってきた。
やっぱりその尻尾の鉄球は武器なのね。
って、地面が陥没してるんですけど!
そのちっこい身体のどこにそんな力が有るってのよ、くそー、こうなったらこっちもやってやるわ!!
何れか戦わないと餓死するだけだし、レスエストって名前についてるんだしそんなに強くないと信じたい!
いくぞおらーー!!!
「シャーーー!!!」
気合いを入れるついでに威嚇も出来たことだし次はこっちの番よ!
さっきの尻尾の一撃避けれてたしこっちの方が素早いはず、おらー、天の声さんにも認めてもらった頭突きくらえー!
ぶつかるタイミングでスクウィールはなんの焦りもなく難なくその頭突きを避ける、だけではなく。
ぐうっ……
こ、このやろう、避けた上に避けざまに尻尾で殴りつけてきたんですけど……
つ、強くない?本当にこいつ弱いのかな?
お腹痛い、これあと2、3発喰らったらもうダメかも。
とゆうかステータスにHPの欄あったし、そこ見ればいいのか。
「天の声さん、HP今いくつ?!」
視界の端っこの方に赤いゲージと8という数字が出てくる。
あ、え?もしかしてこれHPのバーと今残ってるHPの数値?
こんなこと出来たなら初めからやって!ていうかリス強くない?一撃でHPの3分の1持ってかれてるんだけど。
っとあぶな!
また尻尾を叩きつけてきた、でもこの叩きつけはそんなに速度はないみたい、私の頭突きを避けたときみたいに素早かったら避けられないからね。
それにしてもくそー、いい気になりやがって見た目ほとんどリスのくせに、舐めるなよ、こちとら元人間様じゃい、力は無くとも頭がある!
おらー!こっちこいやー、と木を背に威嚇する。
ふふん、これでこっちを攻撃してきたら寸前で避けて木に相手の尻尾がめり込んで動けないって寸法よ、さすが私頭いい!
よしっきた!
ここで避けるっ
え! ちょ、木が折れた!
こ、これは無理ね、勝てないわ。
よし、逃げるか。
後方へダッシュ、他の生物は逃げたら追いかけて来なかったからこいつも追いかけて来ないでしょう。
ダッシュしながらチラリと後ろを振り向くと重そうな鉄球を左右に振りながら全力で追いかけてきているスクウィールが目に入る。
げっ、なんで追いかけてきてるのよあいつ、他の奴は追ってこなかったのに、こいつは特別好戦的なの!?
くそ……こうなったらもう一度、一か八かじゃー!!
走っているところからクルッと180度方向転換、リスに向かってダッシュ頭突き!
だらっしゃー!
と全身全霊で突撃する。
あ、まずい!
これ完全にリスに気づかれてるっぽい、方向転換したらリスも止まって待ち構えてる・・
ええい、今更止まってられるか、こうなりゃままよ、そのままいっけぇぇ!!
――その時、地面が悲鳴をあげるかのような地鳴りの音と身体が浮くほどの揺れが突然に襲ってきた。
え?!なに地震?あ、ちょっとまって今のでバランスがっ
「きゅーーー!!」
どんっ!、と全力の頭突きがスクウィールの顔に当たり小さい身体が中に浮く。
おお!! なんか当たった!
全力の頭突きで吹っ飛んでいくスクウィール、そのまま飛んでいき木に激突して動かなくなる。
し、死んだかな?
そーと近づき足でちょんちょんと突く。
動かない、そして頭の中に音が響く
《対象を倒しました、経験値10を獲得、レベルが1上昇しました。》
《レベルが3になったことにより進化可能です、進化致しますか?》
おおおお! きたー!!
初勝利だー!!




