四話
そういえばさっき逃げてる時は無我夢中で走ってたから何も思わなかったけれど、野生の本能なのかしらないけど、木々の中を普通に4足歩行で走ってたわね、木の根っことかもちゃんとジャンプして避けれてたし。
そういうところはありがたいわね、元のか弱い乙女の姿で森に転生とか餓死か他の生物に殺されるかくっころ状態になる未来しか見えないわ。
それにしても、お腹すいたな、そういえば私生まれ変わってから一度も何も口にしてないのよね。
卵の中にいるときは何故かお腹は空かなかったから良かったけど今は歩くたびにどんどんお腹が減っていく、ちょっと不味いぐらいに減っていくわね。
鬱蒼と茂る森の中を落ち葉をサクサクと踏みながら進む。
それにしてもアメリーゼ大森林だっけ?何もないわねこの森、今はどの季節なのかは分からないけど寒くもなく暑くもなくちょうどいいくらいなのはいいけど、空は葉っぱが邪魔してほとんど見えないし、木の実はなってはいるけど木の高いところになっているからこのちっこい身体だと全然届かないのよね。
木登りできるかなーって思ったけど力が足りないのかちょっと登ったらずるずると落ちちゃったし。
爪も満足に生えてないから爪を引っ掛けて登ることもできないし、プニプニの肉球があるだけ。
あ、とゆうか私って兎っぽい何かなんだし草とか食べれるんじゃないかしら?
草だったらそこらじゅうに一杯生えてるからね!
地球でも野草を採ってきて食べてる人はいっぱいいたし大丈夫でしょう、毒とかあったら嫌だけどそんなこと言ってられないくらいお腹減ってるからね、毒に当たったらその時はその時よ。
とゆうわけでいただきます。
もしゃもしゃもしゃ
とりあえず今歩いているところに生えている草の美味しそうなところ、まあ、よくわからないけどまだ若そうな所を適当に選んで、食べてみる。
もしゃもしゃもしゃ
おろろろろろ…………
だめだ、飲み込めない。
噛むことは出来るのに飲み込もうとしたら吐き出しちゃう、不味いわけじゃないんだけどな。
地球の兎とは違うってことなのかな?
肉食か、それともこの辺の草がダメなのか、でもこれを噛むことで唾液が出てちょっとだけ喉の渇きは癒えるから喉が渇いたらそこら辺の草噛みながら移動しましょ。
でも何で草食べれないんだろう、肉食だったとしても飲み込むくらいできそうだけど……
肉か、一番は川を見つけて魚を捕ることだけど、あとは何か私に倒せるような生物がいるといいんだけどな。
人間が住む街に入れれば料理が食べられると思うんだけど最初にあった二人組から推察すると私は敵っぽいから、街なんか入れないだろうな。
まあ、街のことはこの状況から抜け出してから考えましょう。
……ん?あれは何だろう?
木の板?
私の背丈と同じくらいの木の板が地面に突き刺さってる、枝が折れて地面に刺さってるとかじゃなくて明らかに人工的に加工したもに見える。
しかも、読めはしないけど字が書いてある。
あ、ちょっと今私ピーンときたわ。
天の声さんが言ってた経験値が入る建造物ってこれの事じゃない? 建造物って言うと違和感あるけど文字書いてあるし人工物ではあるし。
壊せばいいのよね? 木の板くらい頭突きすれば壊れるでしょう。
とりゃあ!
ガキンッ
…………っいったああああいいいい!!!
な、何これ何これ、木の板の硬さじゃ無いわよ、鉄に頭ぶつけたのかと思ったわよ。
ふ、ふむ、ただでは壊させてはくれないってことね。
いい度胸ね木の板のくせして、それならこうよ!
ふんっ!!
ガキンッ
地面まで固いの?!
そこらへんで落ちてた石で木の板の周りを掘ってやろうと思ったら木の板周りは土まで硬くなってる。
……壊すのは諦めた方が良さそうね。
でもなんて書いてあるのかな?
もしかして街への看板とかだったりしないかな? でも矢印とかないしなー、文字はー、なんだこれ蛇がのたうったみたいな文字、全く読めない、この世界の文字ってことなのかな、まあ、読めないし壊せないし、どうしようもないから先に行きましょうか。
◆ ◆ ◆
文字の書いてあった何かがあった所から5分と歩いてない場所、いた。
なんかいた。
歩いてたら木の下で休んでるみたいなやつがいた、こっちにはまだ気づいてないみたい。
あいつの姿が見えた瞬間に低木の下に隠れて正解だったかしらね。
見た目は完全にゴリラね、色が黄色と黒のストライプっていう森の中だとかなり目立つ色合いしてるし、大きさは私が知ってるゴリラよりかなり大きいけど、でもゴリラってあんな大っきなツノ生えてたかしら。しかもそのツノの間で黄色いボールみたいなのがバチバチと音を立ててるんだけど……
ここは異世界ってのを改めて実感したわ、あんなの地球にいたらそれだけで事件よ、動物園の檻なんかじゃ絶対に捕まえられないわ。
がさっと低木が重なり向こうが見通せない場所から音がなる。
ゴリラから見て真正面、私から見て左側からなにか音を立てて大きな影が出てきたわ。
その影はゆっくりと前進し唸りを上げながらツノゴリラの方に近ずいていく、そいつの見た目は狼、こっちは銀色の綺麗な毛並み、体長はゴリラにはやや劣るものの私よりかは全然大きい。
でも狼ってあそこまで牙が発達してたかしら?
サーベルタイガー顔負けなとんでもなく大きな牙が口から二本の生えているんだけど、あれ邪魔にはならないのかしら?
このまま戦うのかしら、だったら見つかってなさそうだしここで見学させてもらいましょう。
この世界の生物がどのぐらいの強さなのか見てみたいからね。
「ゴオアアアアァァァァァァ!!!」
「グルアアアアァァァァァァ!!!」
両方とも空気が震えてくるほどの大音声で威嚇をしている、隠れているのにちょっと腰が引けてきた……
牙狼の方がその発達した筋肉の塊のような脚で地面を蹴りゴリラに向かって突進する。
って速っ!!
離れたところから見ていたのに一瞬見失ったわよ。
ドンッ!!
辺りに隕石が落ちたような音と砂埃が舞い散る、牙狼がツノゴリラにぶつかったんだと思ったけどそれは砂埃が消えていくと逆だという事が分かった。
ツノゴリラの腕が突進を止めただけではなく牙狼の頭部を砕き地面に叩き伏せていた。
えっ。
なに今の私瞬きとかしてないわよ、それなのに一瞬で決着がついちゃってるんだけど。
これは絶対勝てないやつね、無理ゲーよこんなの牙狼の突進でさえほとんど見えなかったのにツノゴリラの叩きつけなんて振り下ろしたのさえ見えなかった。
うん、逃げましょう。
逃げようと後ろを振り向きゆっくりと進む、だが不意に背中側に視線を感じる。
全力疾走!!
振り向かずに低木の間を縫い全力で走る、が足が止まる。
ちょっと待って今日逃げるの二度目ね、転生してから逃げ続けってどうなのよ、転生者がそんな逃げ腰でいていいの?いえ、ないわ、そう、たとえ勝てなさそうでも戦うのがテンプレ! ピンチになったら何処ぞの勇者様とか美少女エルフか幼女が助けてくれるはず。
よし、戦ってやるわよ!!
「ゴオアアアアァァァ!!!」
振り向いた瞬間真っ赤に染まった腕でドラミングをして此方を威嚇しているツノゴリラさんとご対面。
撤退よ!!
撤退!!
無理無理無理無理無理。
あんなん気合いでどうにかなる相手じゃないわ!
象とアリレベルよ私とあいつの戦力差、勝てんわ!!
もう一度振り向いて全力でダッシュ! ああ、私今風になってるってふざけてる場合じゃないわね、ってあれ?追ってこない?
威嚇してるだけでこっちを追ってはこないみたい、追い払いたいだけだったのかな、まあ、それならそれで好都合よ!
それにしても、ちょっと神様転生先間違えていませんか…………




