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未来への決意

 次の日。

 徹夜したこともあって、朝にエンディングを見ることができた。そして、その後はまるで某作品の、の○太君のような速さで寝むりに落ちた。

 なかなかの熟睡だったらしく、起きたときにはもう二十一時になっていた。


「はぁ~~まさか十二時間以上寝るなんて思わなかったな。一日を無駄にした気分だぜ。

……どうせ起きていても、やることなんてなかったけどさ」


 やることがないなら、後は飯食って、風呂入ったりして寝て終わりか。


「って寝すぎ……」


 どうでもいいツッコミを自分にいれて、一つため息を吐く。


「はぁ。なにやってんだか」


 今の自分がひどく馬鹿らしく思えた。それは――


「……夢見なかったな」


 母さんとの思い出。

 それを取り戻すための夢。

 そして、本当の真実と向き合うための夢。


 今までは連続で、その夢を見ていた。だが、今日夢を見なかった。

 別に、たった一回夢を見なかっただけなのだから、それはそれでいいのかも知れない。


 でも、俺は早く知りたかった。知って早く、母さんとの思い出を全部、思い出したかった。

 なのに、夢を見ることはなかった。

 そんな俺がとても馬鹿らしく思えて。それなのに、それに少しでも反発するように変なこと言ったりして、本当にただの馬鹿じゃないかって思えた。


「どうするかな」


 どうやったらまた夢を見られるだろう。なにか足りないのか。今の俺じゃ、まだ駄目なのか。そんなことを考えて俺は小さく笑った。


「はは。そりゃそうだよな。まだ何も解決してないじゃないか。蘭にも悠里にも会ってない。それなのに、母さんに会えるか? 俺は俺でちゃんと一つのけじめをつけなきゃいけないだろ。それが終わるまでは、母さんに会わせる顔なんてないじゃないか」


 そうだ。その通りだった。俺はなにやっていたんだ。

 ほんのちょっと前の俺の方こそ、馬鹿らしい。こんな簡単な事にも気づかないで。ただただ前に突っ走ろうとして。


「ゆっくりでいいんだよな。母さんいつも言ってくれていたから」


『あなたはあなたでいいの。他の人とは違う。だから、自分のやりたいように自分のペースでやればそれでいいのよ』


 思い出す。母さんの言葉。

 鮮明に心に刻まれている、その言葉。


 そのときの情景すら思い出せる。それだけ、大きな存在だった母さんの言葉だ。


「……うん。じゃあ。俺は俺のペースでゆっくりやることにするよ。だから、それまで待っててね。母さん」

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