復讐5
ナース服をきた看護師たちが忙しそうにあっちにいったりこっちにいったり。その様子を眺めながら少年は受付に足を運んだ。
「父のお見舞いにきました」
「あら、佐藤さん。毎日毎日、ほんとにできたお子さんだこと。私の子にも見習わせたいわぁ」
「そんなことないですよ」
他愛もない会話を一言二言交わして受付を離れ病室へとむかう。病室では衰弱してきた父親がベッドに横たわっていて少年の姿をみつけるとゆっくりと起き上がろうとした。
「いいよ、父さん。無理しないで」
優しい言葉をかける。
「すまんな」
一言謝ると再び横になる。
「父さん、また父さんの仕事場の人達が何人か死体で見つかったって。父さんも気をつけてよ」
眉間にまゆを寄せ心配そうに言う息子に男は優しく笑ってみせた。
「そうだな、確かにあの日我々は殺されるに値することをした。だが、私は大丈夫だ。もう隠居した身だからな」
「甘いよ、犯罪者は腐っても犯罪者、あぁもう腐ってるか。腐ってるのは捨てなくちゃ。俺も黙認してたんだから同罪だ死にに行こう」
「武?」
「でもその前に死んでよ父さん」
息子に銃口を突きつけられ男はあまりのショックと恐怖で動けなくなる。パァンパァンと音が大きくならないように近づけ発砲。
べりべりと息子は顔の皮をはいでいく。したから現れたのは肉や血ではなく全く違う顔だった。
少年は病室の窓の枠に足をかけそして一度だけ振り返りクスッとわらった。
「バイバイ、お父さん?」
ふわりと飛び降りた少年。犯人は男の息子だというニュースが次の日のTVで流れることはまたべつのはなし。