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復讐4
「おい!車をだせ!」
黒い高級車にのりこんだ男は乱れたスーツを整えながら運転手に命令した。
「泡塚様、どうなさったのですか?そんなに慌てなさって…なにかあったのですか?」
運転手の男が車を動かしながらモニターごしに男に話しかける。
「あいつらだ、五年前に壊滅させたはずだったのに生きていやがったんだ…」
男はガチガチに震える口調で運転手にこたえる。
「はぁ…それはそれは」
運転手は男をねぎらうように言うと大変でしたねと言葉を添えた。
「ん?」
しばらくして男は異変に気づく。
「おい、俺の家はコッチじゃないぞ!反対方向だ!どこに行こうとしている!今すぐ戻れ!」
怒鳴るようにいう男に助手席に座っていた人物がふりかえった。
「あ…」
そこで男は気づく。ふりかえったのは先ほど自分を追いかけてきていた少年だったのだ。
「どこって、なぁ翡翠?」
運転をしていたのもまた少年だった。車を止めてその少年も振り返る。
「うん、地獄へ、1名様ご案内」
少年の1言で2人の銃が乾いた音をたてた。