復讐スタート
都市が一部壊滅。これはもう5年も前の話でニュースではテロリストによるものだとされていた。どんな出来事も年月が経てば人の記憶から忘れ去られていく。そしてまたこのニュースも例外ではない。しかし、この事件がまさかテロリストによるものではなく政府の陰謀であるという事実は事件に関わった人物しか知るわけもなく大金と引き換えに口封じされたため永遠に歴史の闇に葬られるはずだった。
「違うんだ!俺じゃない!」
スーツの男は真っ青になりながら必死に訴えかけていた。階段を駆け上がり逃げてきたはいいものの屋上でいきどまり。ついてきているのはフードを深く被った2人の少年だった。男を追って1階から屋上まで走ってきたというのにその少年らは息1つ上がっている様子をみせず平然と銃型の武器を構えてゆっくり近づいてくる。
「本当だ!俺は何も知らないんだ!」
男は蹲るようにしてガクガクと震えている。よほど怖いのだろう。
「えー?違うんだってさ。竜」
「いやいや、そんなわけないって。山辺ひろしさんでしょ?写真と顔が一致してるし」
「だよねー」
少年二人は銃器を男の後頭部に押し付けながらしゃがみこむ。
「どうやって死にたい?1番、頭。2番、心臓。あぁ、それともせっかく屋上にきたんだし飛び降り希望?さぁ、選んで」
1人の少年が男の額に押し付けていた銃器をその胸へと移動し思いついたようにフェンスの外へとむけてニヤリと不気味な笑みを浮かべる。
「翔希ってやっさしーい。死に方を選ばせてあげるなんて。じゃあ、とりあえず足?」
パァン
もう一人の少年は男の右足を撃ちぬく。男は大袈裟なほどの悲鳴を上げて地面を転がる。それにたいしてうるさいと言うようにもう1発今度は左足に撃ちこむ。
「あーあー、落ち着きなよ、竜」
しゃがみ込んでいた少年の銃器は男の胸へと滑るように当てられ2発撃ちこまれた。
「狙うなら…心臓ってさ、健哉が教えてくれたじゃん」
返り血を浴びながら少年はニッと笑った。