8日目
【来た】
「美咲さん美咲さん、あの人…」
「どうしたの沙耶ちゃん…っ、あれはこの前の!」
「はい、具体的には5日目に出てきたマネージャさんのストーカー…」
「ど、どうしよう沙耶ちゃん、こっちに来るよー!?」
「やぁこんにちは、二人とも今日も頑張ってるねぇ。」
「が、がが…がぉぉぉっぉ!!」
「え…?」
「どーどー、落ち着いてください美咲さん。それで…なにか御用でしょうか?」
「あーうん、マネージャーはいるかな?」
「あ、貴方なんかにマネージャーは渡さないんだからっ!!」
「えぇ…?」
【ここは俺に任せてお前は行けっ!】
「ど、どうしよう沙耶ちゃん!この人をマネージャーの所に案内したら、マネージャーが食べられちゃうよーっ!?」
「…私がここで時間を稼ぎますので、美咲さんはマネージャーに事情を話して指示を仰いでください…」
「そんなっ!沙耶ちゃんだけを女の血に飢えた野獣の前に残していくなんて、危険な事が出来るわけないじゃないっ!」
「大丈夫です、これでも相手を精神的に追い詰めるのは得意ですから、時間を稼ぐことくらい問題ありません…。
だから、どうかマネージャーを守ってください…。」
「くっ…わかった、必ずマネージャーを連れてくるから…だから絶対に無事でいてっ!」
「後のことは頼みます、美咲さん…
さて、お待たせしました。」
「あーわざわざ呼びに行ってくれたんだ、ありがとう。」
「礼を言われる筋合いはありません…なぜなら、貴方はここで私に倒されるのですから…っ!」
「ええっ!?」
【逃避行】
「マネジャーっ!」
「み、美咲さん!?こ、これは違うの!予備の制服を陰干ししようと思ってただけで、決して着てみようと思ってた訳じゃ…」
「そんな事はどうでもいいですからっ!お願いします、今すぐわたしと逃げてくださいっ!」
「ええっ!?ど、どうしたんですか美咲さん?落ち着いてください。」
「落ち着いている暇なんてないんです!マネージャーがあんな男に汚されるくらいなら、いっそわたしがマネージャーを…」
「いやあの鼻息荒く近づいてこられても…ってちょ、ちょっと待ってください!だからどうしたのか説明してくださいってっ!」
「…わかりました。じゃあマネージャー」
「ふぅ、何ですか?」
「わたし達の最初の子供は、男の子と女の子のどっちが良いですか?」
「だから落ち着きなさいっ!!」
【その正体は…】
「美咲さん…マネージャーさん…」
「沙耶ちゃんっ!?大丈夫っ!?しっかりしてっ!」
「くっ、あり得ない…私の渾身の精神的嫌がらせがまったく効かないなんて、無念です…げふっ」
「なっ!沙耶ちゃぁーーーーんっ!」
「いやぁ、今度のアルバイトは面白い子が多いねぇ。」
「しまったっ!マネージャー逃げてくださいっ!」
「あら店長、いらしていたんですか?」
「………え?」
【お届けもの】
「そういえば、美咲さんと沙耶さんにはちゃんと紹介したことがありませんでしたね。こちらの方はこの店のオーナー兼店長です。」
「いやーいつもお店のことはマネージャーに任せきりだったからねぇ。」
「えーっと…その、こ、こんにちはー…」
「どうも…」
「ところで店長、今日は本社の方で打ち合わせだと聞いていましたが、どうかしたのですか?」
「あー忘れるところだった。マネージャーに届け物があったんだ。」
「私に、ですか?」
「うんこれ、マネージャー用の制服。総務部に頼んでたでしょう?」
「ぅええっ!?い、いえそれはあの…」
「いやーやっとこの制服を着てくれる気になったんだねぇー、うれしいよ♪」
「ち、違うんです!これはその…」
「えー着てくれないの?」
「ぅ…その、店長がどうしてもと言うなら…」
「じゃあ、どうしても♪」
「…………………///」
「…ねぇ沙耶ちゃん、わたしたちってさ…」
「…それ以上言わないでください。ただでさえ疲れたのに、余計に疲れますから…はぁ。」
つづく…なんて幻想、俺がぶち壊してやる!




