エメイラの引越し。
2日経った。今日は兄さん達の格闘術訓練の日だ。兄さん達も最初同じようなキツい目にあうのか、不謹慎だけど楽しみだ。
朝起きて顔をいつものようにミシェ姉さんに濡れタオルで拭ってもらって起きる。ちなみにエスナには前より1時間早く起こしてもらうように頼んでいる。ミシェ姉さんは合わせて起きてくれる。起きなくてもいいよ、と言ってるのにだ。『リョウが頑張っているのだから私もがんばらないとね』と言い1時間早く起きて花嫁修行を頑張っている…良い旦那さんが見つかれば良いなあと思う。
エスナを伴って階下に降りて中庭に向かう。今日はカダスと新たに雇ったっぽい人だ。身長が高い女の人だが鈍重というよりしなやかな足運びをしていて、使い込まれたレザーアーマーに革兜、鋼の手甲、レザーブーツを履き鎧下は黒い上下だった。胸は巨乳で否応なしに目立つ。武装は背中に背負った長弓と腰に差している小剣と何本かのナイフ、手には短槍を持っている。
「カダス、おはよう」
「おう。おはようじゃ」
「この人は?」
「ああ、初めてだったな。今度新しくスサン商会に雇われたミザーリだ。ミザーリ、こっちはここの坊ちゃんのリョウエストさんだ」
ミザーリは兜を外した。ボブにカットされた赤髪に精悍な顔があらわになる。切れ長の瞳が印象的で思わず見惚れた。
「あたいはミザーリだ。斥候で軽戦士。薬師としての修行も積んでいる。よろしくた…のむ」
ミザーリは途中で僕の顔を見て息を飲みながら言った。僕の顔に何かついてるのかな?
「んふー。ミザーリ、リョウだよ。よろしく」
「ああ。よろしくな。リョウ」
「坊、こんな早くにどうした?」
カダスがニコニコしながら聞く。
「走るの修行」
「修行?そんな小さいのに?大丈夫か?」
ミザーリが心配している。
「うん!」
「がんばれよ坊」
僕は中庭をぐるぐると走り出す。とりあえずは体力の続く限り走ろう。10周、20周と回っていく。なんかミザーリが僕の方を指差しながらカダスと何か話している。30周走ってキツくなってきた。40周回った所で体力が切れて止める。その場で仰向けに寝っ転がり息を整える。ミザーリが走ってきた。起こされ豊かなお胸に包まれる。
「大丈夫か?問題はないか?誰だこの練習メニューを考えたのは?あたいが怒ってやろう」
「んー。問題ないよー。僕決めたの、修行」
「そうなのか?辛くないか?」
「体力回復ポーション飲む、平気ー」
「そうか、わかった」
「ありがと」
名残惜しいが起き上がり、お胸から離れる。
「見ててねー」
「わかった。無理するな」
僕は反復横跳びを始める。一通りやって満足する。その後、肘打ちと体当たりの練習をした。
ミザーリはハラハラしながら見ていたが、なんともしようがないので放っておく事にする。僕は朝ごはんだとエスナに言われたのでカダスとミザーリにバイバイをして家に戻った。
朝ごはんを食べてから体力回復ポーションを飲みお店に挨拶に出る。お兄さん達は入れ替わりに師匠の指導だ。見れなくて残念だけど仕方がない。僕が店先に出る事が好評らしくてお客様が待ってるみたいなのだ…昨日から時間を区切って店先に出る事になったので一安心だけれどもね。
お店の商会員さん達に挨拶をして店先に出るとお客様たちがすでに待っていた。
(昨日は15人くらいだったけど今日はまた増えている。20人以上だな。どんだけ増えるんだろ?)
いらっしゃいませーと言いながら頭を撫でられる。みんな次々と『かわいいねー』とか『頑張ってね』と言いながらコインを渡してくれる。そのために小さいバッグが用意された。若干引いているが笑顔は絶やしたらいけない。これは魅力上げの練習でもあり、お客様に満足する『サービス』を売る商売なのだ。
様子を遠巻きに見て寄ってくるお客様も多いがそれ以上に見物客が多い。
フレドが苦笑いしてるのが見える。カダスみたいに交通整理しないだけ良いが単なるカカシになっている。フレド、なんとか一人一人来るように言ってくれ…そろそろ揉みくちゃになっている。さっきは衛兵が来た。衛兵は僕の頭を撫でると帰っていった…衛兵さん仕事してください。
そろそろ終わりかなぁ、と思っていたら見物客に見知った顔がいる。エメイラだ。エメイラが大きなリュックを背負って指を指しながら爆笑している。なんか見られると照れくさい。
お父さんが締めの言葉をして僕はお役御免になる。エメイラがやってきた。
「あなたいつもあんな事やってるの?」
「んー。最近?」
「そうなのー?あなたかわいいものね」
「今日からお引越し?」
「荷物はこれで全部よ。家具を売るのに手間取っちゃって遅くなったわ」
「んふー。少ないねー」
「良いのよ。必要なものはまた買えばいいんだし」
「ごめんね」
「じゃあ埋め合わせしてもらおうかしら」
と後ろから抱きついてくる。大きなお胸も良いけどこのくらいのサイズも良いねえ。
「じゃあお部屋に案内してくれる?」
「わかった!」




