夜会ダンスパーティー
夜会のダンスパーティ。
ミレイダとナイジェルはパートナーとしてダンスを披露していた。
足が物凄い勢いでステップを踏んでいる。
周りと比べても三倍の速度だ。
「中々やりますわね」
ナイジェルの足を踏みぬこうと華麗なダンスを決めるミレイダ。
それを回避するナイジェル。
「女が足を踏むのは許されて、男が踏むのは悪とされるのは納得いかん」
「あら私は踏んでも許してさしあげますわよ」
「それを口実に俺のイメージを程よく下げるつもりだろ」
「そのような事決していたしませんわ」
貴方に良いイメージなんて下げるまでもありませんもの。
「もし俺が踏みつけたら姫抱きで移動させてやろう」
公衆の面前で目立つがいい。
「あらそんな恥ずかしい」
蕁麻疹が出そうですわ。
音楽が終わり、エスコートをされながら移動する。
ナイジェルが片手を上げると飲み物を配るボーイがやってきて二人で受け取った。ボーイは軽く頭を下げてどこかへ行く。
「一人でも大丈夫ですわよ。お友達の誰かが直ぐに来ますもの」
「我が栄光なるリグロスシス家は、夜会で女性を一人にするなどといった下賤な教育は受けていないのでな」
「そうですの?ちらほらいらっしゃるようですわよ」
ほらあちらの女性なんてお暇そうですわ。
「ずいぶん前からああしていらしてお帰りになる様にも見えず、さりとて殿方も帰ってくる様子もありませんわ」
「ああいうのは後で家名を調べるといい。ずいぶんと勉強になる事がある」
「そうですわね。女性を大事に出来ないご家系でしょうし、仕事と遊びの区別もつかないでいらっしゃるのは信用にもかかわりますわ。ましてや」
クスリ、とミレイダが笑う。
「あの女性とご家族の方、ああいう扱いで良いと言う事は懐具合に問題がありまして?それとも弱者として相手方にいいようにされてらっしゃるのかしら。興味があるわ」