素敵な学園生活3
学園が終わり下校時間になった。
教室内は帰る準備でザワついていたが、入って来た人物のせいで音が消えた。
「迎えに来た。帰ろうかミレイダ」
「いつもありがとうございます。ナイジェル様」
「今日はどうだった?問題はなかったか」
張り付いたような微笑みの二人。
「もちろんですわ。皆様にも良くしていただいて朗らかな一日でした。あら?」
「ミレイダ、ハンカチが落ちたぞ」
拾ったハンカチには自分の刺繍があった。
こめかみに筋が浮かぶ。
「ほほぅ、素晴らしい出来だ。刺繍の先生になれるだろう。だが、選んだ題材が駄目だな。これは女性であるべきだ」
貴様が埋まれ。地中深くにな。
「愛おしい人が離れていかないよう願いを込めたものなので選んだ題材に間違いはございませんわ」
貴方に変更はありませんわ。おわかりでしょう?
二人の間に暗黒の空間が出来上がる。
教室から早く立ち去ってくれ、と生徒達は思っていた。
「・・さぁ、行こうか。お手をどうぞミレイダ嬢」
「はい、ナイジェル様」
そうして二人は帰って行った。
「やっと帰ってくれた」
「この時間が一番緊張する」
「生き返ったーー!」
生徒達が各々歓声を上げる。
そんな二人は今も婚約者。