素敵な学園生活2
「ミレイダ様」
「あら、ごきげんよう、アリエラ様。別教室の貴方がこちらの教室に来るなんて珍しいですわね。何かありまして?」
「これを・・」
「まぁ!これは失くしたと思っていたナイジェル様が地面に埋まっている様子を再現した刺繍のハンカチ。拾って下さったのですね。ありがとう。アリエラ様」
嬉しそうに笑顔を向け感謝する。しかしアリエラの方は難しい顔をしていた。
「一つお聞きしてもよろしいかしら」
「何でしょう?」
「ミレイダ様はナイジェル様との婚約をどうお考えなのですか」
教室にいた生徒達が一斉に聞き耳をたてる。
不仲なのは有名だが、婚約を辞めたいとは聞いた事がないからだ。
「お互いの家の利益になる素晴らしい婚約だと思っておりますわ」
「そうですの?」
「領民の暮らしも、わたくし達貴族の暮らしもタダではございませんの。良い暮らしをしたいなら、それなりのものが必要となってきますわ。リグロスシス家との繋がりは、イルミスレイル家にとって幸いなのですよ」
「あの・・・」
「?」
「ハンカチが潰れてしまいますわ」
ミレイダの手の中にあったハンカチは、強い力で握られていた。
「ふふふ、個別感情は別ですわ」
教室内の温度が3℃下がったような気がした。