素敵な学園生活
ダンッ、とナイジェルは机を叩いた。
「駄目だ、やはりどうしても好きになれない」
「おいおいおい、やめろナイジェル。ここは教室だぞ」
「俺たちの仲の悪さは周知の事実だ。いまさら隠すものなどない」
「自信満々に言うなよ」
呆れたように言うのは伯爵家の令息、ソランド。
あれから七年。二人は学園に入学していた。
二人は愛を育むどころか憎しみを育て、互いに仲の悪さを隠す事もないほど順調に嫌い合っていた。
「今度のプレゼントは何にしよう。人間の手に見える流木はどうだろう?」
「この前、ナイジェルが貰ったプレゼントは首から上の肖像画だったからな」
本人そっくりの人物画で、王家御用達の有名画家が特別に描いてくれたという絵だから捨てたら失礼にあたる。
ああ、燃やしたい。
「嫌がらせについてはあちらの方が上だ。何故、女と言うものは、こうもくだらない事を次から次へと思い付く。そんなに俺の首を切り落としたいか」
ギリリ、とナイジェルは奥歯を噛み締めた。
「婚約解消はできないんだよな?」
「できないじゃない。絶対にしないだけだ」
互いの家の利益は上々。婚約程度で得られるならば誰でもするだろう。
金は金を生み、領地に還元される。それを手放す者など貴族をやめるべきだ。
「それに俺は相手のイルミスレイル侯爵家を裏切る事はしない。二つの家の架け橋となるなら本望だ」
だが、相手を好きになるかは別だ。




