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Hero×Magic  作者: sanagi
6/18

6話

 そのとき、勇真の電話が鳴った。

「何だ、こんな時間に。仕事の斡旋か?」

まだ日付は越えてはいないが、時間帯は深夜になっていた。

画面を見てみると、上田という名前があった。

「上田…。誰だっけ?」

「赤志さんが知らないなら、俺も知らないけど!?」

二人でスマホを眺めている。

「えっと、俺が出た方がいい?」

「何で?」

「今、赤志さんの体なの俺だから」

「ああ」

入れ替わりという超常現象に、対応まで頭が回っていない。

「じゃあ、俺にも聞こえるようにして。全く心当たりなかったら、切ればいいし」

優魔はうなずいて、画面をタップした。

「すいません、赤志さん。今、大丈夫ですか!?」

切羽詰まったような青年の声が聞こえた。

「えっと、誰?」

声を聞いても、勇真は誰か分からない表情をしていたので、そのまま優魔が尋ねた。

「今日、一緒に仕事したじゃないですか!」

ああ、と今日のことを思い返してうなずいた。

三人のうちの誰かはまだ区別できていないが。

「それで、井上からは連絡きてないですか?」

「井上?」

勇真の顔をちらっと見ても、やはり分からないようだった。

「井上も今日働いていた奴ですよ。俺たちに興味ないんですね」

「わ、悪い…」

優魔には全く関係ないのだが、気まずさから謝るしかなかった。

「その様子だと、何も知らないみたいですね」

「何かあったのか?」

比較的勇真の口調を真似て、問いただす。

「井上の奴、食事中今日の現場にスマホ忘れたから、取りに戻ったみたいで。俺たちも着いていくって言ったら、すぐに戻るって。でも、もう終電前なのに戻らないから。電話に出ないから、まだ取りに行けてないのか。取りに行った後に何かあったのか」

心配している様子が口ぶりからうかがえる。

言われた通り、井上からは連絡きてはいない。

今日行った現場、黒い噂のあった曰く付きの幽霊屋敷を思い出す。

怪奇現象が起こり、異様な寒気を感じていた。

あんな場所に深夜に行ったら、何か恐ろしいことが起きているのではないか、そんな予感がした。

「分かった。すぐに向かう」

「待って、誰…」

今の声が優魔だということを忘れ、電話に出て、すぐに切った。

「そんな切羽詰まったような声で。その場所に何かあんの?」

「ああ。気のせいだといいんだが」

勇真は家を出ようとするが、扉の前で立ち止まる。

「優魔の姿だと、補導されるかもしれないよな」

「それなら」

とんがり帽子を投げ渡す。

「それ、魔法道具で魔法を知らない一般人に対して、不可視の効果あるから」

「ありがとう」

いつものスニーカーを履こうとするが、緩いことに気づいた。

「だから、赤志さんが履かないといけないのは、こっちのブーツだって。かなり動揺してる?」

「悪い…」

「俺も着いていくよ。魔法使いの卵の子供の体だってこと、赤志さんはまだ慣れていないみたいだし」

「助かるよ」

二人で家を飛び出して行った。


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