表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Hero×Magic  作者: sanagi
3/18

3話

 普段見慣れない言葉を、じっくりと見る。

「んなまじまじと見るほどでもないだろ。一般人でもあるまいし」

そのことを言った途端、少年はじっと勇真をにらみだす。

「おっさんも出してよ、免許証」

「え…」

この場における免許証というのは、自動車の免許証ではないということは分かっていた。

「おっさんの年齢くらいなら、箒免許持ってんだろ。俺達にとっての箒って、一般人の自転車レベルだけど、事故も多発しているから、俺が生まれた頃くらいに免許制になったから」

「へ、へえ…」

魔法使いというファンタジーの存在の割には、安全性が高い。

「ふーん。そのことに納得するんだ」

「やべっ」

口を滑らせたことに気づいた勇真は駆け出そうとする。

「逃がすかよ!」

少年からどこからか黒いロープが飛び出てきて、勇真を捉える。

「んぐっ」

そのことでとっさに身動きが取れず、転がっていく。

「大人しくしてくれない?」

「そいつはお断りだな」

勇真はロープを引き裂く。

「は!?」

少年は驚きで大声を上げる。

「あいつ、何て馬鹿力だよ」

そう言っている間に勇真は逃げていく。

「これ使うと、魔力消費するからあまりやりたくなかったのに」

少年は黒い煙とともに、真っ黒な弓矢を出す。

「何てもの向けてきてるんだ、あのガキ!」

「これ、魔力の塊だから、目的のもの以外は傷つかないよ」

びゅんびゅんと矢が飛んでくるが、勇真の際際をすれ違ったり、避けたりして当たらない。

そして、壁をすり抜けていく。

「下手くそ!」

これなら逃げられそうだと安心した途端、足が進まなくなった。

それより、体全体が動かなくなった。

「ぐっ。何だよ、これ」

見えざる力によって、体が硬直させられてしまった。

「はあはあ」

息切れしながら、歩いて少年はやってくる。

「お前何でそんな疲れてんだよ」

「この弓矢使うと、魔力やら体力やらいろいろ消費するの」

「それで何をやったんだ?」

少年は勇真の影を足でたんたん踏みつける。

「あんたの影を固定したんだよ」

勇真の影に矢が一つ刺さっている。

「この弓矢は刺さったものにまつわる全てを動かなくさせる。あんた本人に刺されば楽だったけど、影に刺しても有効なんだよ」

「命を狙う気はなかったんだな」

そのことにホッと一息つく。

「当たり前じゃん。一般人を殺したりなんかしたら、箒免許証剥奪されるし、魔法使いじゃいられなくなる」

話を聞いてから、矢を抜こうとするが、全く動こうとしない。

「無駄だって。おっさん、すげえ馬鹿力だから物理だと捕まえるの難しいかもしれないけど、一般人なら魔法よく分からないから、解く方法なんて分からないだろ」

「さっきから言ってる一般人って、何だよ」

「俺達魔法使い以外の魔法を使えない知らない普通の人たちのこと。さて、詳しい話を聞かせてもらおうか」

少年は窓際に座り込む。

「ふー、疲れた」

「え、俺このまま放置?」

勇真は床に寝転んだままである。

「ちょっとでも、矢を外したらどうなるか分からねえからな」

足を組み、サッシに視線をずらす。

「え、何で魔法石がこんなところに?」

サッシの上にあった透明な石を取り上げる。

「それ知っているのか?」

「一般人なら知らなくても無理ないか。これは魔力がこめられている魔法石。魔力が少ない人とかが日常生活で使ったり、危険なところで魔力切れを防ぐときに使ったりする」

アニメやゲームでよく聞くような魔法石と同じかと勇真は納得する。

「だから、お前の姿が見えたのか」

「あー、なるほど。このケープとか帽子は一般人に見られない効果があるから、気にせず飛んでいたのに、おっさんに見られたからあせったんだよ。この魔法石に魔法効果をはじく機能があるんだな」

魔法使いだとバレちゃいけないなら、空飛ぶなと反論しようとしたが、本来なら見えないはずだったと言われてしまった。

「一般人と一緒に通っていた学校に落ちていたりもしたからな。上の人にはちゃんと調査をしてもらいたいものだ」

「だったら、俺は悪くないだろ。お前のこと言い触らしたりなんて、絶対しないから。解放してくれ!」

勇真は必死に叫ぶ。

まず、周りに魔法使いを見たとか言ったとしても、勇真が頭がおかしくなったと思われるだけだ。

それに、秘密を守ることの大切さは、勇真は身を持って知っていた。

「さんざん逃げようとした奴を信じられるかっての。あんたには、魔法使いに関する今夜のこと全部忘れてもらうから」

「それだけ、か?」

「何?命でも取られるかと思った?基本魔法使いと一般人は共存しているんだから、むやみやたらに殺したりしねえよ」

「お前が安心できるなら、それでいい」

冷静に言い繕っているが、内心安堵していた。

殺されるとなったら、抵抗するつもりではあったが、そのときにこの少年の安心を保障できるか分からなかったからだ。

この少年はやらないといけないことをやろうとしただけで、悪ではないのだから。

「記憶操作の魔法かあ。魔法辞典は重いから、新しいのこっちで買おうと思って、前のは父さんに預けちゃったんだよな」

少し雲行きが怪しくなってきた。

「スマホで調べよ」

「出てくるものなのか?」

「魔法使い用のスマホだから」

ポチポチ打ちこむ。

「こういうのって、上の人たちが対応するものじゃないのか?」

「そんなことしたら、俺もバレるじゃん。監視程度ならまだいいけど、魔法学校に入れなくなったら困る」

これかな、と探していたものが見つかったようだ。

「えーと、失敗したら廃人になる可能性が。まあ、俺なら大丈夫か」

「いや、物騒なこと言ってるよな!俺が大丈夫じゃない!」

「まあ、記憶全部なくなったら、俺が仕事紹介してやるよ」

「失敗する前提じゃねえか!」

叫んでこの後起きる展開を避けようとするが、スマホに載っている呪文を唱えていく。

(くっ、ここまでか!)

目をぎゅっと閉じ、覚悟を決める。

そのとき、二つの魔法石が白く光り、辺りが真っ白で何も見えなくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ