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旅は道連れ世は情け  作者: siguhatyou
スカイライド編
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第118歩:「だよね、もう少し上……上ぇ!?」

 観光客の進みはとても遅く、未だ四人は練習場へと伸びるスロープにすら着いていない。いつの間にか後ろに増えた観光客の列を見ながらアルタエルは口を開く。


「この年齢って言われても、私達ログドナさんの歳は知らないし、そんな悲しむ年齢にも見えないっていうか……」


「そうですよ!」


 言ってしまったことへの後悔を隠そうとアドニスも同意する。


「……ふむ」

 

 ログドナは二人の様子を面白そうに観察した後、自分を見つめているアヤメへと顔を向けた。


「アヤメ君は僕がいくつに見える?」


「そうですね。にわかに信じ難いのですが、四桁は越えているかと」


「え!? い、いやいやアヤメさんいくら何でも……」


「あ、そういえば……ライチョウさんが千年前に生きている証拠があるみたいな事言っていたね」


「……はい?」


 アドニスは思考が停止して固まってしまう。


「ライチョウ様が言うには、ログドナ様本人であるとお聞きしているので、超えているのは確実なのでしょう。そうなると見た目での判断や喋りの癖、性格からの予測も不可能ですので……敢えて高く五千歳ではどうでしょう?」


「いやアヤメ、それは流石に――」


「もう少し上だねぇ」


「だよね、もう少し上……上ぇ!?」


 アルタエルは思わず大声を出してしまい、慌てて口を押える。しかし既に遅く、観光客は不思議そうに四人の方へと視線を向ける。


「き、キーンってなった……」


 放心状態だったアドニスは反射で耳を押えるが既に声が聞こえた後。我に返る事は出来たが、目を白黒させて驚いている。


「あ、ご、ごめん……」


「全く、お気を付けくださいませ……」


 事前に察知していたアヤメは耳を両手で覆って被害を最小限にしていた。


「もう少し上というのは確かに驚きますがね」


「そうだねぇ、僕は一万と約六千年になるね」


「いちっ――!?」


 アルタエルはまた大声を出しそうになり慌てて両手で口を押える。


「おお、お待ちくださいませ。い、一万とおっしゃいました?その頃生物はこの星に存在していないはず……では?」


「はっはっは、流石の君でも動揺するか。ちなみに言うとその知識は正しくないね。昔から目に見えない小さな生物ってやつがこの星にはかなりいるからね」


「しかし、しかしながらその頃に人間サイズは生存していないでしょう……?」


「それは正しい知識だ。勿論約一万年前から生存していたわけじゃない」


「え、なぞなぞ?」


「いや、違うと思うけど……」


 アルタエルは話についていけず、アドニスにコソコソと質問するが当然彼女も答えを知らない。同じように首を傾げる事しか出来なかった。


「……ふむ、まぁ別に隠す必要も無いから答えるけど、僕は過去と現在を行ったり来たり出来る」


「おぉ?という事は、今会っているログドナさんは未来の人である可能性があるって事?」


「いやすんなり受け入れるね!?」


「それはどうだろうね。未来の話をするとロクな目に遭わないって経験で学んでいるからね、あまり話さないようにしているんだ」


「ふむ、過去と行き来できるのであれば納得出来ますが……寿命は戻らないのではないですか?」


「そうだねぇ。過去に戻ったとしても行くのは僕自身だし。まぁ僕は北東大陸群出身で、寿命が普通の人より数倍だけども」


「北東大陸群……うっ、私国名覚えたり地名覚えるの苦手なんだ……」


 アドニスは空中で指を振り、頭に入っている世界地図を描こうとする。

 それを見ていたログドナは、手を後ろに回すといつの間にか右手に握っていた一枚の紙を差し出す。

 アヤメはその動きを観察して息を飲んだ。


「今のは……」


 アヤメが何かを言いかけたところで、ログドナは左手の指を立て、口元に当てる。


「しーっ。それよりアドニス君、北東大陸群っていうのは左上のこの辺り。まばらに島があるだろう?」


「あ、そうこれだこれだ……ってあれ、私が知ってる地図と少し違うような……」


「君は南東大陸の地図しか見た事無いかもしれないね。地図っていうのは国毎に中心が違うもんなんだよ」


「へぇ……」


「くの字に曲がっているのが中央大陸、アドニス君達の始まりの地だね。下に行くとこの星で一番大きな南大陸。今いる大陸だ。対岸が見えない程太い川を挟んで反対が南東大陸、アドニス君の住む国があるね。その北には東大陸、北東大陸群の一部が昔発生した大災害によりくっついた大陸だ。様々な動植物が生息しているね」


「久しぶりに見たけど、やっぱり世界って大きいね……凄いなぁ」


 ログドナの説明を聞きながら、アルタエルも地図に釘付けとなっている。


「中央大陸の北には北大陸、南大陸の南西には南西大陸、まぁそのままの名前がついているね。中央大陸を挟んだ反対にはいくつかの島はあるけど大きな大陸は無いね。一応表記上表側大陸群って名前はついているけれど、全然大陸群って言うほど島がある訳でもない」


「私達がいるクラウドタウンは南大陸の端も端って考えると、まだまだ見た事ない国ばかりだなぁ。ってアヤメ、どうしたの?」


「え、あ、あぁすみません。ぼーっとしておりました」

すみません、この次のお話、出すまでに時間がかかると思われます。前の話を直したい。

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