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旅は道連れ世は情け  作者: siguhatyou
スカイライド編
114/120

第112歩:「アヤメじゃ……買えない? お酒?」

「あら、随分と遅いお帰りで」


 アルタエルが機嫌を直したアドニスを連れて別荘へと戻ると、斧を持ったアヤメが二人に気が付いて声をかけた。

薪割りを終えたところなのか、先日と同じように汗をかきながら斧を担いでいる。


「色々あってね。アヤメはまた薪割り?」


「えぇ。ほかの皆様も食事は済ませておりますわ。お二人も昼食を食べるとよろしいですわ。食事が終わり次第始めましょう」


「うっ――はーい」


「アヤメさん、お帰りになりました? あ、二人も帰ってきたのですね」


話し声が聞こえたからか別荘の扉が開き、中からイグニスが顔を見せた。アドニスとアルタエルの姿を見ると安堵の表情を浮かべる。


「ただいまママ、ごめんね遅くなって」


「大丈夫よ。ご飯の準備をしておくから、手を洗ってきて?」


「はーい」


遅くなった二人に怒る様子は無く、アドニスは娘の頭を撫でてから小屋の中へと背中を押した。


「アルタエルさんも、すぐに料理を用意しますね。飲み物は冷たい物で宜しいですか?」


「あ、お願いします!」


アドニスの後を追うようにアルタエルとアヤメは小屋の中へと入った。


「あれ、斧を持ってきて良かったのアヤメ」


「昨日もそうだったでしょう?濡らしたタオルで柄を拭きたいのですよ。私の手汗が付着していますから」


「なるほど……あっ!ねぇアヤメ、それを拭き終わったら私が片付けようか?」


「……」


「……」


「……勉強終わった後でならどうぞ?」


「ば、バレてる!?私の作戦が!」


「やれやれですわ。『あっ』じゃないんですの『あっ』じゃ。綺麗な倒置法言ってる暇があったら早く手を洗ってくださいませ」


「ぶぅ……」


アルタエルは肩を落とすと台所へと姿を消した。すれ違うように出てきたアドニスが面白がって二人を見比べる。


「やっぱり良い関係だよね二人共。やり取りを聞いているだけで面白いよ」


「ありがたいのかそうでないのか微妙ですね……」


「あ、そういえばお母様とネフマフさんは?」


「ん?ネフマフ様は薪の片付け、マーザ様は買い物に行かれましたわ。まもなく帰宅するかと。それよりもすみません、もし良ければ包帯等を頂けますでしょうか……?」


「げっ、手の皮が剥けちゃったんだ!?ま、待ってて!」


アドニスは血相を変えて二階へと走っていくと、手を洗い終えたアルタエルが戻ってきた。


「今手の皮がどうって聞こえたけど……大丈夫?」


「えぇお構いなく。あ、そこにかかっているタオルで机を拭いておいて貰えますか?イグニス様の手間がひとつ減ります故」


「がってんだー!」


***


「ただいま」


雑談混じりに食事をしていると、袋を持ったマーザが帰宅した。


「あ、お母様おかえりー」


初めに気が付いたアドニスが彼女へと手を振る。


「お帰りなさいませ」


アヤメは持っていたコップを置いて会釈をする。


「お帰りなさいませマーザ様」


アルタエルのおかわりを運んでいたイグニスが彼女へと会釈をし――


「ちょ、ちょっと待っ――ゴクン、お、おかえりなさい!」


アルタエルは大慌てで口に入れていたものを呑み込むと、彼女へと手を挙げた。


「皆ただいま。アヤメさん、頼まれた物はこの袋に入っているけれど……私のセンスで選んだから良い物か分からないわよ」


「全然構いません。ありがとうございます」


お礼を言いながらマーザから袋を受け取るアヤメ。二人を不思議そうに見るアルタエルの視線に気が付いたアヤメがアルタエルに問いかける。


「……何か?」


「や、なんでアヤメが買いに行かずにマーザ様に買って貰ったのかなって……何を買ってもらったの?」


「残念ながら私では購入できないどころか店内にすら入れない商品でしたのでお願いしたのです」


「それってー……お酒とかタバコの事?」


「違いますよ。そもそも興味無いでしょう?」


「ないねぇ……それじゃあ中身は?」


「こちらはアルが大好きな勉強に必要な物ですわ。ゆっくり食事に付き合っていたのはこれを待っていた為です。お楽しみに」


「……」


「ふ、風船みたいに膨らんでる……」


無言で抗議するアルタエルの様子をアドニスが苦笑しながら眺める。


「そんな膨らんでいる暇があったら早くご飯を食べてくださいませ。冷めてしまいますわ」


「……」


「あ、そうだアヤメさん、その勉強なんだけど私も参加していい?」


「別に構いませんが……既知の内容になると思いますよ?」


「全然いいよ。アルタエルさ、ん……あ、萎んでる。ほ、ほら一緒に頑張るからさ、二人で学んだら楽しくなるかもしれないよ!」


「……一人でも二人でも変わらないですます……」


不貞腐れたように呟いたアルタエルは余った食事を口に入れた。

更新遅れて大変申し訳ございません!


本日よりまたしばらく更新が遅れるかもしれないのですが……前エピソードの文章修正したいな……でも直し方わかんないなぁを繰り返しておりまして……もうしばらくお待ちくださいm(_ _)m

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