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聖なる森にて

○聖なる森にて


体力には自信があるほうだが、森にたどり着くころにはゼイゼイと息が切れていた。

フェリシアは呼吸を整えながら、最後の門を慎重に乗り越える。

現在立ち入りを禁じているおかげか、幸い周囲に人影などは見当たらない。

(バレたらどんなお咎めを受けるかしら)

想像すると身震いしたが、ここまできたらもう引き返せない。

フェリシアは意を決して森のなかへと進んでいった。


入り口付近には月明かりが差し込んでいたが、奥に入るにつれ、暗闇に視界が遮られていく。

(これ以上は、厳しいかな)

フェリシアは意を決して、指先に気を集中させる。

すると指先から小さな光りがいくつか蛍のように暗闇のなかに浮かび上がった。


子どものころ、この不思議な力の存在を知った。

母は私を産んですぐに亡くなったそうで、父が私を森で遊ばせていたとき、力の存在に気づいたのだそうだ。

父はこの力のことを決して他人漏らしたり人前で使ったりしないようにと、何度も私に言い聞かせた。


(良かった、上手くいったみたい)

少し安堵し、その小さな光を頼りにさらに森の奥へと進んでいく。


しばらく進むと、月明かりが再び差し込みはじめ、少し開けた場所が見えてきた。

そこにある小さな泉にフェリシアは既視感を覚える。

(……あの日の出来事は夢じゃなかった)

寒さなのか恐怖なのか、体が震える。

背筋がゾッとし、もう帰ろうと思ったそのとき、何かがフェリシアの腕を掴んだ。

驚きと恐怖に、そのまま意識が遠く。


「もう逃がさない」

誰かがそう呟くのを最後に、フェリシアの意識はそこでぷっつりと途切れた。


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