表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/162

57◆冒険者パーティ『プレイヤーズ』結成◆



 テイカーから、詳細を詰める打ち合せを、すぐにでも行ないたいと言われ、翌日にはエルソン男爵邸で部屋を借りて打合せをした。


「それでリュードさん」


「あ、ちょっと待って、テイカーって幾つなの?」


「俺は今年の秋で19になります」


 俺より1つ年上だった。ちなみにクロナはそのもう4つ上、23歳だったと記憶している。もちろん、クロナにここで聞き返すようなことはしない。この世界での女性の結婚適齢期は18~22歳で、話題にしてはいけないネタだとわかっているからだ。


「リュードでいいよ。年上だけど、俺もテイカーって呼ぶし」


 前世の分は加算すれば、俺の方がだいぶ年上になるが、そこは考えない。


「わかりました。ではリュード、パーティの共有財産について話をしておきたいと思います」


「えっと、その前に、最初に説明したいことがある」


 俺は、俺の旅の目的について話をした。俺が思う、俺の楽しいこと、それはおもちゃや、遊びを作ること、広めること。作ったものの事例を交えながら話をする。


「リュードの跡を追いながら、ずっと思っていました。この人何をやっているんだろうと。ようやく納得がいきました」


 ナチュラルな笑顔で言われたが、確かに知らない人から見たらそうだろう。明確な旅の目標を持たず、金にもならない魔物をわざわざ退治してまわって、町にこもっては研究や試作を繰り返している。そういう旅や動き方をしている人間もほとんどいないはずだ。


 もう1つ大事なことも話した。俺の金に対する考え方だ。俺は前世のときから、金に対しての認識が甘い。別に実家が金持ちだったり、給料をたくさん稼いでいるわけでもなかった。俺にとって金とは自分が生活でき、興味のあることに手を出せる分の余裕があればよかったからだ。俺にとっての優先順位の1番は、俺が楽しんでいられること、おもしろいものを作ることだけだった。旅行や、出費のかさむ趣味、ブランド品や車、別荘やクルーザー…そういったものには興味もなかったし、派手な生活もしていなかった。


 俺は、この世界に生まれて、何もかもが前世の日本とは違うと思い知らされた。怪我は教会で直してもらえるが、病気は難しい。保険制度もなく、薬、しかもちゃんと効果のあるものは高い。旅に出れば、安全を確保するためにも護衛を雇ったり、きちんとした宿に泊まるなど金は必要だ。おもちゃを研究するのだって、素材や器材の購入、職人への依頼料、研究している間の生活費が必要だ。


 冒険者になってから、より怪我や安全に関してシビアにならざるを得なかった俺は、『マギクロニクル』の開発にあたり、駄目元でエルソン男爵と交渉をしていた。


 本来であれば、貴族は商人でもない平民の俺と交渉などしないものだが、自分の騎士の息子であり、啓示を受けたものであり、そして『マギクロニクル』が引くに引けない状態になっていたため、エルソン男爵は快く応じてくれた。その結果『マギクロニクル』の売上の1%が成果報酬として俺に支払われることになった。現時点で20万リムを越えているし、今後も増えていってくれる。北の辺境伯は大迷路の報酬として20万リムくれたので、現状、俺の資金は40万リムは優にある。前世日本での金額に換算するなら2億円くらいになるだろうか。おかげで、俺は金を気にせず、おもちゃ道を進んでいける。


 とは言え、その金は、俺の、俺のおもちゃ道のための金であってパーティのものではない。パーティを組むことで、旅する上での俺の安全が担保されるのはあるが、だからと言って全部俺が出すのだと、雇用関係でしかなく仲間、パーティではない。そういったことをテイカーに説明した。


 テイカーは、「リュードの言うことは全くもって、その通りです」頷きながらパーティの共有財産や分配、考え方を話してくれた。テイカーの基本的な考え方に異存はなかったし、俺自身も納得できたので、俺は最初にプールするための金を出した。テイカーも続いて金を出す。


「クロナはどうする?」


 俺は、クロナにも改めてどうするか聞いた。王宮調査室として行動を共にしているが、俺はクロナも仲間だと思っている。今後も一緒にいるなら、パーティの発足にあわせて共有財産に参加してはどうかと思ったのだ。ある意味、正式に仲間になる区切りとも言えた。ちなみにクロナの事情はテイカーにも説明してある。


「私ももちろん、出すわ」


「もし、足りないとかだったら、国からもらった準備金の残りをあててもいいけど?」


「大丈夫よ。そして、これは国ではなくて私の選択よ。だから私のお金を出したいの。これは私自身の未来への投資でもあるのよ」


「そか、じゃあ、クロナも改めてよろしく」


「ええ、これからもよろしくね、リュード君」


「クロナもリュードでいいよ」


「了解よ」


 こうして俺達はパーティを組んだ。テイカーは半年のお試しとしてあるが、俺は既にテイカーを気に入っていた。根が真面目だし、自分の目的も持っている。俺に対しての理解もある。大丈夫だと思えた。


「ねぇ、リュード、パーティ名はどうするの?」


「そうか、パーティ名か。クロナ、テイカー何かいいのある?」


「ないですね」


「ないわよ、何かいいのを、リュードが考えて」



 困った。





 数日後の早朝、王都の門で俺とクロナはテイカーを待っていた。新たな素材や発見を求めて出発するためだ。少し待っていると、パロに乗ったテイカーが現れた。俺の荷馬車があるので、てっきり徒歩で来るものと思っていた。


「テイカー、どうしたの、そのパロ。」


「最初からリュードにおんぶにだっこでは、どうかと思いまして。自分の乗るパロくらいはと思って購入しました。何かあったときの予備にもなりますし」


「了解、まぁでもパーティだし、いつでもこっちの荷馬車に乗っていいから。中は俺がいろいろ改造しているから、かなり快適になってるんだ」


「おぉ、それは楽しみです。道中その工夫を聞かせてください」


「リュード、それで、今回は?西に向かうとは教えてもらったけど、目的は何?」


「いつもの通り、現地調査と素材集めだけど…今回の目的は迷宮!迷宮に行ってみたいんだ」


「はぁ~、やっぱりそうだと思ったわ。私としてはあまり危険なところに行かせたくないのだけど」


「いやー、昼と夜の魔物がいるなら、その素材や魔石はぜひとも欲しいし、どんな特徴があるのかとか見ておかないと!」


「それで、パーティ名はどうするの?」


「そうそう、いろいろ考えたんだけど。『プレイヤーズ』はどうだろう?」


「プレイヤーズ?」


「うん、遊ぶ人、参加している人、競技する人、賭けている人…、それぞれで、自分にあてはまる意味は拾ってもらうけど、一番は“楽しむ人”かな。楽しんでいる人達が集まったから、『プレイヤーズ』。どうかな?」


「いいじゃない、私は素敵だと思うわよ。『プレイヤーズ』」


「うん、俺もすごくいいと思います」


 2人とも笑顔で認めてくれた。


 こうして俺達『プレイヤーズ』は王都を後にした。






お読みいただきありがとうございます。

「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

☆評価、ブックマーク、感想いただけましたら嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします。



今日の/明日の、あなたに、ちょっといいことがありますように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ