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20◆異世界TCG・商品の前提◆



 エルソン男爵と話をしてから10日後、俺は再びエルソニアの領主館に赴き、自分の考えるTCGトレーディングカードゲームの規模、売り方、計画を説明した。要約すると以下になる。


・TCGは、知的遊具で対戦型のカードゲーム。多種多量なカードが存在し、カードを組み合わせることで戦略性が変化する。美麗なイラストが全てに印刷されており、それだけで収集欲を刺激する


・カードにはランク付けされた希少性があり、滅多に出ないカードも存在する


・商品には複数の種類がある。すぐにゲームが遊べるように、カードとそれ以外のゲームに必要なものがセットになっている『スターターセット』、戦略やテーマに沿ってカードがまとめられており、すぐにゲームで使える『デッキ』、そして数枚のカードが、中身がわからないように入っている『ブースターパック』。特に大事なのが『ブースターパック』で、封を開ける時のワクワク感のために絶対に中身を見せない売り方が大事なこと


・どれだけ希少性が高くついたカードでもばら売りは絶対しないこと。ばら売りの値付けにも関与しないこと。どれだけ高位の貴族から言われても、それを守ること。エルソン男爵、つまり販売元がそれをやってしまうと、価値を全て自分達で決めていることになり絶対に争いをまねく。また、こっそりとお目当てのカードを入れたブースターを作ったり、贈呈したりもしないこと


・ゲームに使うシート、キャラクターのHPとして使用するチップ、デッキを入れる箱などで素材などにこだわった公式の高級周辺商品も作って売っていくこと


・エルソン男爵以外の総責任者、できるだけ経験豊富な人で、他の貴族相手に対応できる人を立ててほしいこと


・ゲームの内容に詳しく、遊びを広めていく貴族の子どもも必要であること


・商品ができてから、芽が出始めるまで最低でも半年、より広がっていくまで1年以上はかかると思われる。それを越えれば輝かしい未来が広がっていること


・カードを生産するための職人だけでなく、作家、画家なども含めた、ある程度の人数による混成チームが必要なこと。カードに描かれたキャラクターにはストーリーがあり、世界があり、他のキャラクターの相関性がある。それがあることで、より深くゲームとその世界を楽しめる。カードでは語られない各キャラクターの専用のお話を将来的には販売する可能性もあること


 これらのことを、2日間かけてエルソン男爵にじっくりと、こんこんと、ネチネチと説明した。


 前世では、メーカーはTCGは開発・発売はできても、ヒットさせるのは難しいと言われていた。TCGはヒットさせるために、他の商品よりも地道な努力期間が必要なためだ。リリース前から、雑誌を始めとする各種メディア展開をスタートさせ、発売してからもメディアは継続し、全国のカードショップ、おもちゃ屋での体験会や説明会、イベントでの大会…などを繰り返すことで認知度が上がって初めてヒット…するスタートラインに立てる。TCGがヒットするには、多くの人が知っており、すでに遊んでいる、そして一緒に遊んでくれるルールを知っている友達が必要なのだ。


 特に初年度は、開発費だけでなく、広告宣伝費、体験会の人件費など合算すれば、確実に赤字となる。新しくTCGをヒットさせるために必要なのは、まず企業体力とも言われていた。


 この世界では、前世のような大手メディアもないので、認知度の上げ方や、上がり方も変わってくるはずだ。ヒットする条件も変わってくるだろうが、TCGをヒットさせるには、とにかく人手も時間もかかる。領地に資金、人員共に余裕がないであろうエルソン男爵には、しっかりと理解してもらい、覚悟を決めてもらう必要があった。





「啓示…か」



 俺の説明を受け、疲れ切ったエルソン男爵が呟いた。


 『啓示を受けた』という人間は、自称、他称問わず、たまに出てくるらしい。その人間が何かを成し遂げていれば、あるいは周囲を黙らせるほどの何かを持っていれば認められる。


 俺は前世を持つことを人に説明できないため、両親には「夢の中で光る人が出てきて、俺にいろいろなことを教えてくれる」と説明した。両親は、幼い頃からの俺の言動や複合魔法を見て信じてくれた。エルソン男爵は半信半疑だったのだろう。だが、俺の怒涛の説明が、想像を遥かに超えるものだったことで、啓示の話を信じるにいたったのだと思う。


「リュード、考える時間が必要だ。また連絡する。」


 数日後、エルソン男爵からの返答は「エルソン領を上げて今回の商品を開発する。ついては冒険者として出立する日は1年延ばしてこれにあたるように」というものだった。作るからには中途半端は嫌だったので、俺は父親とも話をして家を出る期間を延ばすことにした。


 それから30日、俺は開発チーム発足のため、ほぼ毎日いろいろな人間に会ったというか面接をした。そして季節は変わり、寒さも厳しくなった冬の15日、エルソニアの領主館でチーム発足式が行われたのだった。









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