表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
140/162

137◆異世界コレクションミニフィギュア◆



「リュードさん、この神経棒の太さとつなぐ位置を変えれば調整できそうだと思うのですが、どうですか?」


「あぁ、折り返して4倍の太さの束にしてるんだね。うん、たぶんいけると思う。モービィは、やっぱり目の付け所がいいね!」


「あ、ありがとうございます!」


 ドラゴン退治をした際に引き抜いてきた人材、モービィが来てから30日以上が経っていた。俺は、今までの自分の開発してきたものや、その仕組み、原料などを毎日のように教えている。何か1つ伝えるたびに「そんなことが!」「なぜそれを思いつくんですか!」などとキラキラした目で見られるものだから、調子に乗ってどんどん教えるが、それも全て吸収していく。おまけに渡した素材で自分が納得がいくように追加検証までする。



「見たものがそのまま映ってる……こんなことができるんですね……」


「合体魔石を皆で思いついた後に、たまたま昼と夜の2つの魔石を持つ目玉の魔物がいてね。それを解剖してヒントを得たんだ」


「あぁ、僕も!その魔物を解剖してみたいです!」


「まぁ、いずれ機会があったらね」


 一通り教え終えたところで、俺は昼と夜の合成魔石、俺達が仮称で『写映石』と呼んでいる画像を映し出すアイテムの研究を命じた。俺が頭に思い描く商品像を伝え、そのためにどうすればいいのかを研究、試作してもらう。5日に1度の進捗報告と、働きすぎず休みの日をしっかりと休むことを忘れずに伝えておく。


 モービィはしばらく放っておくことにして、俺は別の商品企画に取り掛かった。




「どうだろう?全種類揃うとかなり素敵だし、豪華だと思うんだけど!」


 西の辺境領都エリスリの劇場では、上演している『精霊合体アニスライザー!』のコレクションミニフィギュアを販売している。ものすごい人気で上演する毎に、毎日の予定販売数をすべて売り切っている。『スタープレイヤーズ』マークの入った専用の布袋に入れて、お客さんには商品は触らせずに選ばせる販売方式にしている。そのため、何が出てくるかはわからない。ヒーローやヒロイン、マスコットキャラの精霊は人気だが、悪の魔物とかは大不評で、売場で悲鳴や怒号が聞こえていたが、そういうものだからしょうがない。


 このコレクションミニフィギュアは、エリスリ以外の俺達の商会の支店でも販売していく予定だ。西の工房では一生懸命生産をしているところだ。さらに、このミニフィギュアシリーズ、西以外のそれぞれの街でも、オリジナルのシリーズを展開していくことが決まっている。それをまた別の街の支店で売る。つまり、どこかの俺達の支店に行けば、違う土地のフィギュアを買うことができる。


 1つの街につき10種類。それを西以外の4ヶ所で、合計40種類。西の精霊合体シリーズを加えて全50種類。それが俺の目の前に並んでいる。西以外のフィギュアは量産品ではなく試作だが50個も並んでいるのは、なかなか壮観だ。



「この南のお魚シリーズはいいですね!可愛いのから恐いのまで!」


 南のカプラードは、港町で魚介類が豊富なのが特徴だ。なので、南は海の生き物シリーズにした。前世でもよくそういうミニフィギュアがガチャガチャで売られていた。サメシリーズとか、深海魚シリーズとか、並べ始めると立体図鑑ができていくようで、ついつい買ってしまう。



「この北の辺境シリーズもなかなか素晴らしいですね。雪だるまや、雪の結晶に、白熊、北の名物ミニ迷路が遊べるものまで!」


 北の辺境領バルクアクスで売るシリーズは、北の風物詩をメインにした。ちなみに白熊はバルクライ辺境伯ではなく、実際にいる白い熊型の魔物で、北では強者として有名らしい。そして注目は、ミニ迷路だ。駄菓子屋とか、縁日で手のひらサイズで、粒みたいな鉄球を転がす迷路を買ったことはないだろうか?あれが入っている。



「あたしは、やっぱりこの東のシリーズがいいな!」


 東は、毎年武闘大会を行う(企画したのは俺だが)ほどバトル好きが多い。ので、全種類冒険者にした。男女それぞれ5人ずつで、服装や手に持つ獲物が異なる。昔、許可もなく父親をデザインしたトレーディングカードを販売して、死ぬほど怒られたことがあるので、さすがに同じ過ちは起こさないが、各冒険者は俺が武闘大会で闘った人に、なんとなく似ているものが入っている。槍を持っている初老の男や、細剣を持つお嬢様ぽい冒険者、メイスを持った放浪助祭などだ。


「王都のシリーズも、スタンダードでなじみが良くて、いいと思います」


 王都は何を出していいか悩みまくった。特徴がないためだ。でも下手なもの出したら、国王様とかが絶対文句を言ってくる。悩んだ結果、この国の人間であればなじみがある昔話をテーマにした。『火の国の旅人』『白の姫様フィマルド』『海王子』『大賢人アスエル』『狼の戦士タタマ』という5つの話で、俺の初商品であるトレーディングカードでも採用したキャラだ。加えてそれぞれの話に出てくるサブキャラも入れてある。


 西の『精霊合体アニスライザー!』では、精霊合体姿のヒーローとヒロインの覚醒姿の2つをレアアイテムに設定した。他の街でもレアは用意してある。北のレアは、バルクライ辺境伯爵に見えなくもない容姿の雪だるまと、なりきり武器の合体盾をミニチュア化したもの。


 南のレアは、カプラーゼでお祝いの席で食べられる大人程の大きさの魚の蒸し焼きをミニチュア化したものと、港の先の灯台だ。灯台は先端の所に、水晶の様な小さい石をはめ込んでいる。


 王都のレアは、『白の姫様フィマルド』の衣装替えバージョンで、少しというか大きく胸が開いたドレスと、腰まで深めのスリットが入ったドレスの2種類だ。これに対して男性陣は、口にはしないが良い出来だと目で伝えてくれ、女性陣は氷のような目で俺を見ていた。


 東のレアは、王都のセクシー路線をもう少し先に進めたものだ。名づけるなら湯煙り美人。裸の女性冒険者が、露天風呂の湯に浸かっているフィギュアだが、ポイントはお湯の部分だ。半透明のお湯は、『スライム粉』と土魔石の砂を原料とした半透明の『プラ液』に少し濃い目に塗料を入れて固めてある。うっすらとお湯の中の女性のシルエットが見えるくらいになっていて、それが想像力を刺激してドキドキする。ちなみにエロ目的じゃなくて、あくまで温泉姿のレアなんですよと主張するため、男性冒険者バージョンもセットで作ってある。


「ここまで…必要なのですか?」


 レイレの目が冷たい。俺は、冷や汗を掻きながらも説明する。


「いや、で、でも……東と言えば温泉だし、それがレアなのもある意味当たり前というか、ほら男性冒険者だってラインナップに入っているし!」


「こっちの女性の方作りたいから、むりやり入れたんですよね、リュードの考えていること、丸わかりですよ」


「あはは…確かに欲しがる人はたくさんいそうだけど…男って馬鹿だね」


「その馬鹿の極みがこれね…はぁ、もう本当に何と言えばいいのかしら」


 クロナが手にしたのは、貴族用の光るユニットを組み込んだフィギュアだ。うっすらとだけ見えていた湯煙り美人のお湯の中が、台座に指を触れることで、お湯の奥が光ってシルエットでセクシーに浮かび上がるようになっている。ドキドキ度が120%アップする仕様だ。俺は男性陣の無言の応援を受けながら、女性陣に必死にプレゼンをした。


 半年後、各支店でその街の各シリーズを先行販売し、さらに1年後に全支店で全シリーズの販売を行ったが、もの凄い人気で入荷すれば即売り切れた。今までは芸術家の作る一品ものでしか手に入らなかった精巧な作品だが、『プラ液』で出来た俺達のミニフィギュアは、多少値は張るが、誰でも手に入れられる。買った多くの人達は家宝としてくれたそうだ。


 そしてその中でも、特にお宝度の高かったものは、湯煙り美人フィギュアだ。中でも貴族バージョンは、目が飛び出るくらいの高額取引がされるようになった。うん、湯煙り美人は正義なのだ。






お読みいただきありがとうございます。

「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

☆評価、ブックマーク、感想いただけましたら嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします。



今日の/明日の、あなたに、ちょっといいことがありますように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ