123◆西と王都の施設計画◆
そこから少し雑談が続いた。
「それでリュード、妾のところには何を作ってくれるのだ?」
「あーそうですね、まだ思い付きでしかないのですが…劇場とかどうでしょうか?」
「劇場?演劇か?それならば演劇場は既にあるが?」
「エリザリス西辺境伯のところ、職人達とカタリナ姫の光るドレス作りましたよね。なので、登場人物が例えば、光る衣装を着ている劇団とか、おもしろそうじゃないですか?」
「ほほう!それは面白そうだ!」
「舞台とかも派手にして仕掛けも施して、誰も見たことのない演劇をやりましょう!既に劇場があるなら、早くできそうですね。台本とかも書きますよ!」
「いいな、素晴らしい!」
「あー、そうだ!西辺境伯の前で披露した紙芝居みたいに、劇の後にカードやおもちゃを売るのもいいかもですね。売っていいですか?」
「確かにあれは好評だったな。よし、リュード、王都の後はすぐに西に来い!うちのもの達とも打ち合わせをせねばならん。よい!よいぞ!」
「待て待て待て!勝手に盛り上がるな!おい、リュード、王都はどうするんだ!?」
「あーそうですね…。うん、王都だったら、総合遊園地なんかどうでしょう?」
「総合…?遊園地?」
「えーと遊園地は、まぁとにかくいろんな、お楽しみ施設が集まった場所です。温泉と劇場と迷路はあるので除外して、それ以外…各種遊具、ビリヤード、ダーツ、ボーリング、あぁ、ミニカジノとか、各地の味が楽しめる総合食堂とか。あ、あと魔法を見れる魔法館とか…、何か1つに絞るのではなくて数日がかりで楽しみたおす、そんな感じです」
「知らない単語が幾つも出てきたが、要は多種多様な遊びの集まった場所ということだな?」
「はい、そういうことです!」
「ならば、どんな遊びができるか、概要をまとめてくれ。王都には土地があまりない。必要があれば区画整理をしてでも作るぞ」
「区画整理…まぁ、あまり住民が泣かないようにお願いします」
「貴公、北には何かないのか?今のを聞いていると北が弱くなってるようにしか思えんのだ。」
「あーそしたら、北には、アスレチック作りましょう。賞金付きの」
「なんだアスレチックとは?」
「あー要は、兵士の訓練施設みたいので、丸太の上を渡ったり、うまくジャンプしないと池におちたりする、運動する施設です。子どもでも遊べる簡単なものと、優秀な兵士でもクリアできないくらいの難しいのを作って懸賞金を出せば、挑戦者が次々に現れて話題になるでしょう」
「ほほう、ほほう!相変わらず見事だな、貴公は!おもしろい、やろう!」
頭の中に広がる妄想のままに、前世の言葉を幾つも出してしまい内心慌てたが、普段の俺の言動からか、皆は気にしなかったようだ。
「リュード、東もだ!もう一押し欲しい」
「いや、東辺境伯『イーストスパランド・ザナドゥ』ができたばっかりじゃないですか。武闘大会だって毎年やることになってるんですから、いいじゃないですか」
「ぐぬぅ…」
「リュード、まずは、妾と北の武器をよろしく頼むぞ!」
「うむ、しかり。できれば、この冬の間に見たいものだがどうだろうか?」
「えー……1度戻って、皆と相談します」
「うむ、よろしく頼んだぞ!」
◇
俺は、東辺境伯の王都屋敷に戻り『スタープレイヤーズ』の皆を集めて、国王様達との打合せの内容を説明した。
「ふぅ…まぁ、そんなことだとは思っていましたが」
「相変わらず、リュードさんは巻き込まれるねー」
「でも、自分でそれを大きくしてるのもリュードよ」
「それを言われると何も言えない……」
「それでリュード、今後の私達はどうしましょうか?」
「そうだね、急ぎは西辺境伯と北辺境伯の武器作成。これは、ミュカとレイレで西辺境伯、ハイマンとクロナで北辺境伯を担当してほしい。それぞれで案出しから完成まで、途中で辺境伯と会ってもらっての細かい調整もお願いしたいかな。合体と変形という今までにない要素が入っているから案出しには俺も入るから」
「「「「了解」」」」
「テイカー、実家の方は話ついた?」
「はい、『スタープレイヤーズ』の支店は作れます。預けている金をそのまま使う形で、北と西の領都と王都、南のカプラード、計4ヶ所ですね。ただ、問題なのは土地と店舗はまかせられますが、人員が確保できそうにないですね」
「そっか、じゃあ西と北は辺境伯に相談にのってもらおう。南は『スモールラック』のチェーリオに相談しよう」
「幸いなことに、俺達の披露宴で、縁のある人たちが王都に集まってくれているから、他にもできることは今やっていこう」
「魔石の仕入れルート、商品の販売計画なんかも見直さないとね。あ、人員計画もだね。モロクみたいに、信用できる仲間になれそうな人間がいたらいいんだけどね」
相変わらず俺達はバタバタとしている。
「この冬はもう少し落ち着けると思ったんだけどなぁ……」
俺の呟きに返ってきたのは、皆の大きなため息だった。
◇
「リュード、夜更かしは良くありませんよ。」
そう言いながらレイレが、俺の横に座る。その距離は、数日前に結婚式を終えたことで、さらに縮まった。
結婚式を終えたのは良かったが、翌日は国王に呼ばれ、その後は、俺達に縁のある平民の皆と、宿屋の食堂を借り切っての披露宴パート2をした。光る衣装も再び着た。その翌日は、再び王宮で国王+3辺境伯と打合せて、東辺境伯屋敷に帰ってきて、皆と食事をしながら打合せが終わって。ようやく、ここ数日の慌ただしさが少しだけ落ち着いた。
レイレは、蜘蛛型魔物のから採れる絹のような柔らかい光沢の入ったネグリジェを着ている。開いた胸元が俺の目をクラクラさせる。相変わらずモテイケメンになれない俺は、その胸に不自然に視線を落としながら、とりとめのない会話を続ける。
しばらくして、俺はひざ枕をしてもらうように体勢を変えて、レイレも自分の座る位置を調整してくれる。下から見あげる俺の視界の半分は胸で埋まり、もう半分は見下ろしてくるレイレの顔で埋まる。レイレの細い指が、俺の髪をすきながら撫でてくれる。この時間がとても愛おしい。どれだけ忙しくても、この時間があれば俺はがんばれる。
「なんかさ、結婚式終わって、少しはゆっくりと思ったけど、ごめんね」
「しょうがないですよ。リュードはそういう人ですから。もう慣れてます。フフッ」
「ありがと…。ふー、今日はもう休もうか」
「そうですね。」
俺は自作の魔道具ランプの光を消すと、レイレを手をつないでベッドへと移った。
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