110.5◆温泉ガールズサイド◆
「くぅ~~やっぱり温泉はいいなぁ!しかも!この透明な!東のお湯が最高ー!!」
ミュカが両手を上げてお湯の中で伸びをすると、その控えめな胸が少しだけ揺れる。
東辺境伯含む男性陣が出た後、『スタープレイヤーズ』の女性陣が温泉に浸かっていた。レイレやクロナの白い肌はほんのりと赤く染まり、透明な温泉と汗がその上をするりと流れていく。
「ミュカは武闘大会がんばりましたからね」
「負けちゃったけどねー」
「しょうがないわよ、相手があれだもの」
「ですよね!1回戦でリュードさんって、無理すぎるじゃないですかー」
「ふふ、相手が悪かったですね」
「なんかさ、リュードさんて、闘う前は勝てそうだなって思ったりするんだけど、いざ始まってみると何されるかわからない怖さがみたいのがあるんだよねー」
「本当よね。あの変な頭の回りっぷりと、複合魔法は相当やっかいよ」
「あぁ。私も、リュードと久しぶりに闘ってみたかったです」
「アハハ、リュードさん、レイレにすがりつく勢いで止めてくれって懇願してたよね」
「ウフフ、あれは可笑しかったわ。でも…もし本気で戦うとしたら次はどうなるのかしらね?」
「私は、リュードがまた勝つと思います」
「あら、レイレ本人がそれ言うの?リュードの思考とか複合魔法とか、だいぶ解っているからレイレの方が強いと思うけど。」
「本気でやったら、やっぱり負けると思います。なんというかリュードは、必死なんです。
もちろん闘う上では、こちらもなんですが剣とか魔法とかそういうことでなくて、もうまるごとリュード全部がぶつかってくる感じです。それをされると勝てる気がしません」
「あー、それはわかる気がするー」
「そのまるごとリュード攻撃に、レイレは惚れちゃったのね」
「は…、はい。そんな人初めてでしたから…」
「そういえばさー、結婚式とかどうするの?」
「はい、叔父様から、何か政治的な絡みが発生したので、リュードとよく相談してほしいって言われています」
「はぁ~~。いつものように大事になっていくわね」
「ですね」
「なんか、『スタープレイヤーズ』になってから、息つく暇もないねー」
「私は最初は1人だったから、こうやって皆でその苦労を分かち合えるのは…本当に嬉しいわ」
皆が笑い、そして少しの間、沈黙が訪れる。その沈黙に3人は、それぞれの思いを馳せながら光る水面と湯気を見つめていた。
「ふぅ~、それにしても、東の温泉はいいわね」
豊かな胸を揺らしながら、クロナが立ち上がり岩に腰を掛ける。
「うーん…、相変わらず、ずるいですねー!その胸!」
「ミュカも少し大きくなってきたんじゃない?」
「え、そうですか!?」
嬉しそうに胸に手をやるミュカの手が、クロナの次のセリフで止まった。
「えぇ、テイカーに触ってもらっているのかしら?」
「!!!!!ま、まだっ!!そんなことはしていません!」
「“まだ”ね…フフ。でもテイカーも武闘大会でさらに目立っちゃったし、街の女のこの間では、今、最高に狙いどころとして噂だそうよ」
「知ってますよ…。あたし、一生懸命ガードしてるんですから…」
「リュードは、以前の埋め合わせはしてくれたのかしら?」
「拠点を作るにあたって、テイカーと一緒に作業してもらうことがあるから、もう少し
待っててって言われてますー」
「そう、なら、がんばらないとね」
「そうですねー。まだもうちょっとかかるかなー。はぁ」
「埋め合わせって何でしょうか?」
レイレが上気した頬にかかった白銀の髪の毛を耳にかけながら聞く。
「あぁ、そうね、レイレは知らなかったわね。リュードがあまりにもレイレにかまって、私達の扱いが雑だから、何か埋め合わせをしろって言ったのよ」
「そうなんです、それで、テイカーとそれとなく一緒の時間を作ってくれるって話になってて」
「そうだったんですね。テイカーにはもう告白はされたのですか?」
「まだ言ってもらってない…。あーそう考えるとまだ遠いかなー……」
「うーん、テイカーにもそれとなく言っておこうかしら。何でも器用にこなすけど、テイカーって少しドライなところがあるのよね」
「それとなくお願いしますー。とにかく今はリュードさん信じて、接する機会を増やして
もらわないとー」
「ふふ、がんばってね」
「そうです、ミュカ、私も応援していますから」
「ありがとう、レイレ。クロナさん」
「あ、そうです、私、クロナも応援しています!」
「なぜ、私も?」
「え、だって。クロナ、ハイマンのこと好きですよね?」
「な、なぜそうなるの?」
「え、なんとなくですけど。それにこの前、領都の教会の炊き出しを手伝っていたじゃないですか」
「炊き出しは暇だったからよって……、あぁ、レイレの勘をなめていたわ。わかったから、
そんな目を輝かせないで…。ま、まぁハイマンは悪くないわね。」
「じゃあ、クロナもリュードに、ハイマンとの時間を作ってもらえればどうですかー?」
「うーん、私はいいわ。私達のペースがあるから、私は少しずつでいいの。」
思いのほか真面目なクロナの答えに、レイレとミュカは頷いた。
「わかりました。でも、もし何かあったら言ってください」
「そうですよ、協力できることはなんでもしますからー」
「フフ、ありがとう。さぁ、そろそろ出ましょう。」
温泉を出てからも3人のガールズトークは寝るまで続いたという。
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