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黒霧行記  作者: 悠希
3/5

二話 大樹イルアナ

夢を、見ていた。長い長い、とても長い夢だった。

今まで感じたことのない感覚を覚えた夢だった。

無力で忙しなく、多くの不快を感じる、されど心地の良い夢だった。



彼の知らないことだが、その夢はとある世界の、人間と呼ばれる生き物の一生であった。時間の流れの差で、とんでもない時間眠っていたのだが。



夢の中で傲慢は薄れ、怠惰も弱まった彼は、生まれて初めて…動いた。

彼の体は靄のようで、自分でもよく分からなかったので、夢の中の“人間”と同じ形をとった。あまり具体的なイメージをしなかったため、中性的な綺麗な見た目になった。





動かしやすい形になった彼は、まず最初に周囲の確認から行った。

彼の周りには林があった。魔力は基本的に栄養となるが、彼が自然と放っている大量の魔力に耐えられる存在はそう多くない。彼の周りの木々は長い進化を経て、魔力を効率的に発散できるように適応していた。



彼は今まで扱ったことのない知識を使い、植物の種を植えた。

怠惰で無欲な彼は、その種が木になるのを眺めようと思ったのだ。


その種は、彼の意思により変質した魔力を浴び、急激に成長を遂げた。大樹となり、彼を持ち上げ、根で大地を…その彼のいる孤島を砕いた




+*+*+*+*+*+*+*+



大樹イルアナ


太平洋に浮かんでいた孤島で、一夜の間にできたとされる大樹。

この世界で一番大きな大陸、ケラノア大陸東の海岸からも見ることが出来る。

生えた当時、ケラノア大陸東から中央にかけて広がり当時の覇権国家であった軍事国家、グラニア帝国の国王が不老不死の霊薬があると信じ、竜殺しの英雄アリエラを送り出したとされる。


その生まれの異常性、巨大さから様々な逸話があり、様々な思想・文化に影響を与えている


世界三大災厄の一つであ黒霧(コクム、カクム、クロム)が関わった魔物とされるが、魔力波形こそ酷似しているものの魔力濃度は他の物と比べ薄く、その真偽は未だ解明されていない。


また、英雄アリエラが描いた絵として有名な“悪夢”の奥に描かれている木がイルアナだという説は有名である。


アールマリ博士が発掘した竜の全身骨格、アールマドラゴンをはじめとした竜の遺骸や、卵などが多量に出土し、大規模な竜の巣となっていたことが判明している。

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