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異世界おまわりさんの事件簿!  作者: 早川 ゆういち
ポリスのお仕事 ~行方不明~
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それは白馬より速く

ソダシカッコ良くないですか?

 タネは割れたとは言え、思惑通りに事が進むとは限らない。


 しかし、敗北必至の現状、これに賭けるしか無い。


 「どうして、僕の前に現れたの?

  死にたくなった?」


 「隠れても場所、わかるんだろうが。」


 多吉郎はフッと笑い、


 「そうだよ。

  確かに隠れるってのは意味がない。」


 表情がオドオドしていた先ほどのものとは打って変わる。


 「だからって、僕は、

  死にたがる必要も無いと思うけど!!」


 俺の周辺が破壊で満たされる。


 恐らく、生き物を壊すにはちょっとした時間か、手間がかかるのだろう。


 確か、通常生き物は壊せないという前提を、多吉郎は対象との圧倒的な魔力差で補うことによって相手を破壊しているという説明を受けた。


 世界神の加護とやらの信憑性は、その神自身の言動によって日に日に失われていく一方であるが、破壊の魔力にしっかり抵抗を見せているのだろう。


 そして、こちらからの攻撃方法。


 それは、多吉郎が俺の攻撃を予知していた理由が鍵だ。


 カラクリは分からないが、多吉郎には、魔力の発生源が見えるのではないだろうか。


 発生源が見えると仮定するならば、どの部分の物質が拡大するのか、胞子の塊を移動させているの魔力の移動を視認する事で回避の判断が容易となる。


 現に、他に場所を経由せず、A地点からB地点に瞬間的に移動するポータルを使用した移動を行なった際、多吉郎は間無しに俺の移動したB地点となる多吉郎の後方に迷いなく向き直った。


 つまり、多吉郎自身に魔法による予知能力や、超人的な反射神経が備わっている訳では無いと推測できる。


 多吉郎自身が超人でないなら、何とか渡り合う手段はある。


 破壊の気配を感じた時、俺は目の前に展開したポータルに飛び込む。


 出て行く場所はどこでも良い。


 とにかく別の場所へ。


 即座に向き直られる。


 再び目の前のポータルに飛び込む。


 向き直られる。


 ひたすら、繰り返す。


 しかし、ポータルは展開したまま。


 やがて、多吉郎の周辺は、俺が作り出したポータルが囲い、合わせ鏡が生み出される。


 「何をしているの?

  ポータルごと壊せば済む話だよ?」


 「黙って見てろよ!」


 強がるが、現にポータルは軋んでいるし、俺の体もとうとう悲鳴を上げ始めた。


 なんとか動けているのは高速移動のお陰。


 そろそろ限界か、立ち止まり、振り返り、直近のポータルに警棒を拡大して最高速度で打ち込んでやる。


 今回は伸ばすだけじゃない、純粋な大きさを何倍にもしてやる。


 高速の警棒はさながら貨物列車の重量感を持って多吉郎をすっかり囲み込んだポータルを縦横無尽に突き抜ける。


 すぐそばを高速で通り抜ける警棒に、多吉郎は反応しきれない。


 「こんなもの!!壊し切れば!!」


 多吉郎は身に迫る脅威を脱するため、持ちうる最大出力の破壊を無差別に繰り出した。


 「行けえぇぇええええ!!」


 警棒に更に速度を乗せる。


 列車から新幹線、新幹線から飛行機、飛行機からロケットに、イメージを加速させる。


 ただぶつけることだけを目的に。


 こっちは魔法なんか使い始めて3日と経ってないんだ!


 こんな単純なことしかできゃしないんだよ!

 

 後少し、あと少しのポータルを経由すれば、多吉郎に到達する。


 そんな時、ポータルに限界が訪れ、ポータルのガラス板がひび割れ始めた。


 「くそ、届かない…!?」


 「僕の、勝ち…!」


 多吉郎の顔が慣れていない笑顔の形にぐにゃりと歪む。


 続く先のポータルは遂に砕け散る。


 行き先を失ったロケットはあらぬ方向に前進して行く。


 その先、


 新たな行き先に赤色のポータルを作り出す小さな影。


 「ゼンジロウ!?」


 「お願い!

  道を、行き先を作って!!」


 少女の願いを聞き届けた精霊は、願い通りに道を紡ぐ。


 まるで、言われずとも、


 「ボクなら、君のために今までもそうしてきていたじゃないか。」


 そう言っているように。


 精霊に護られたロケットは、最早人の力では壊れようもない。


 「ぐっ…おっ…」


 やがて、ロケットは終点に向かう。


 真正面からの殺人的な衝突に声も出せず、多吉郎は抉れた地面に墜落する。


 「やったか…?」


 多吉郎は動かない。


 って…やったかじゃねぇよ!!


 殺ってちゃ困るんだよ!!


 「おい、多吉郎さん、大丈夫か!?」


 駆け寄ると、多吉郎は気を失っていた。


 何度も呼びかけると目を覚ました多吉郎は、


 「ごめんなさい…!

  僕が、僕が悪かったです…!

  謝りますから!」


 と謝罪を泣きながら口にした。


 その表情はなんだか、おっさんというよりも、悪戯がバレた男の子の様だ。


 …俺のことはいいさ、けど直せるもんは直して返しなよ。


 子供らしく聞き分けよくしてくれれば、良いのだが。

いや、牝馬だからカワイイか…?

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