間違いとは、失敗とは、
きっと彼らはこう思ってる。
こんなことが…
途中までは良かった。
私は何も間違えてなかった。
車中で思考する。
警備は絵に描いたような大失敗に終わった。
ライブの様子の撮影に来たはずのマスコミは、地震の後警備状況のアラ探しに躍起になった。
第一責任者のはずの特別警備管理官はまさかの行方不明。
私が取材され、一時的にでもカメラを向けられる羽目になった。
桜井が、人々を見捨てて走り去る様子がカメラに撮影されていた。
逆に前田がステージに駆け寄る姿、警備対象を救助のため抱えた瞬間、ステージの亀裂に飲み込まれていく姿が撮影されていた。
そしてステージ等の安全確認を怠っていたのではないか、と質問を向けられた。
桜井については個人のこと。
個人のことは個人に責任を取らせれば良いな。
サヨウナラ、桜井君。
君はここまでは多いに役立った。
前田は…
死人に口なし。
穴は既に調べさせた。
結論、深さは測定不能。
200m先を照らせるライトを照射しても底は見えなかったらしい。
部下を引き上げさせ、現場に1人戻った私は、念のためそこらへんの落ちかけた瓦礫をかたっぱしから穴の中へ落としていく。
私は、この時のために体を鍛えていたのかもしれないと考えて、ほくそ笑んでしまう。
穴はひたすらに深いが、幅はそうでもない。
これだけ落とせば、いくつかは当たっているんじゃないかな。
うん、やはり、安全確認を怠ったのも彼の責任となってもらおうかな。
しかし、警備素人の彼からは大事なことを教わったな、現場を見ることか。
若造め、生意気に安全確認など指図しやがって。
なぜ私が貴様ごときから伝え聞いたことで動かなければならない?
オマエと私の階級に幾つの差があると思っているのだ。
間違いとは、私に害となること。
その内で簡単に取り返せたモノ。
失敗とは、これもまた私に害したモノ。
その内で取り返すために他人を盾に必要だったモノ。
「急げ!周りを見ないか!
我々の車両の直ぐ後ろから草原が押し寄せてきている!」
「しかし、よろしいのですか?
警備対象の捜索打ち切りの判断がいささか早かったかと…」
「オマエが死にたいなら止めはしない。
私を死なせるな!」
直近の花海署へ走らせる。
署長は食えない奴だが仕方がない。
本分とは。




