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異世界おまわりさんの事件簿!  作者: 早川 ゆういち
始まるこれから
14/46

変わった日常

生きねば。

 ローラに続いて外に出る。

 

 久しぶりの日光が眩しい。


 ちなみに金塊はローラの家に置いてきた。


 重いことが1番の原因だが、単純に処分に困った。


 現金化するときに絶対なんか怪しまれる。


 それどころか、あんな価値のあるモノだ。


 無償で受け取った時点で既になんらかの犯罪に手を染めている可能性がある。


 慎重に取り扱わねば…


 外に出ると、辺りは見渡す限りの大草原となっていた。


 「一体、どうなってんだ…」


 「ねっ、ねっ!

  ワタシすごいでしょ!

  世界のレイアウト考えるの苦労したんだから!

  人の子に、ワタシを称える権利をあげましょう!」


 正直不安が大きすぎて何も言う気になれない。


 ここはどこなんだ。


 ライブ会場の設営された工業団体は、海に面した埋立地であった。


 どう転んでもこんな草原が発生する土地ではない。


 署に報告もしなければならないが、まずはKinoを安全なところへ送らなければならない。


 携帯も無線も圏外で繋がらない。


 どうやら周辺に人の気配はなく、乗ってきた車もない。


 未曾有の異常事態であると、納得できる部分もある。


 しかし、警備対象であるKinoが行方不明なのにも関わらず、警察官が誰も捜索していないのは理解できないところであった。


 「どこに宿泊されていましたか?

  送りますよ。」


 「中央区のキングホテルだよ。」


 花木町から徒歩で行くとなると1時間以上かかる。


 景色が変わった今どのくらいかかるかわからない。


 「ひとまず花海署に向かってよろしいですか?

  その方が安全にお送りできると思います。」


 「いいけど、ハジメ君、その他人みたいな喋り方やめてく

 れないかな?」


 おぉう、また都会の風を感じてしまった。


 距離の詰め方におじさんキュンとなっちゃう。


 「いえ、でも…」


 「私達初対面じゃないの!

  昔に会ってるの!」


 都会でもそんな口説き文句使うんだなぁなんて感動する。


 あれ、そういえばローラに名前を言い当てられる前から名前を呼ばれていた様な気がする。


 「そういえば、なんで俺の名前知ってたんですか?」


 「フフ、それはね、私達は「ふざっっけんじゃないわ

 よ!!」


 「何を神の前においてラブコメフィールド発生させてんの

 よ!!

  そっちがその気ならワタシは『神の宣告』を発動させる

 わ!!

 コレでフィールド効果は無効となるのよ!!」


 コイツは何を言ってるんだ?


 「邪魔しないで!!

  それに神の宣告はフィールド効果には無効でしょ!

  LPも半分支払いなさい!!」


 Kinoがローラに掴みかかる。


 「うるさい!

  神の前にはルールなど存在しないも同然よ!!」


 「カードテキストくらい読みなさいよ!!」


 『神の宣告』の効果は抜群だった様で、雰囲気はぶち壊された。


 一体なんの話をしていたっけ?


 仲裁するが、中々キャットファイトは収まらない。


 ここが住宅地であれば騒音苦情を通報されているはずだ。


 さて、文化の違いというものは、どうしてもあるものだ。


 例えば、隣人の生活音がうるさい時。


 日本なら、俺たち警察が呼ばれたりする。


 それがニンゲンでなければどうなるか?


 直接文句を言いにくるだろう。


 こんな風に。


 そこらを影が覆った。


 2人を突き飛ばして自らも真横に受け身を取る。


 相手の姿を確認すると、その姿はまさしく猛獣。


 4本足に鋭い犬歯。

 前向きについた両目は肉食動物であることを物語る。

 茶色よりも金色に近い毛並みは美しく、首の周りには急所を守る様に立髪が覆っている。


 見た感じ近いのは、昔、動物園で見たよりか2回りほど大きいものの、オスのライオンだ。


 「すいません、すいません、うるさくしたことは謝ります

 から許してください!!」


 まさか神の命乞いを見ることになるとは思わなかった。


 少しは神らしくして欲しい。


 ライオンは、命乞いなど関係ないとばかりにローラに飛びかかろうと後ろ足を畳む。


 どうやらこのライオンはドラゴンと違って言葉は通じないらしい。


 俺は即座に拳銃を抜いて構える。


 この平和な日本の現場で、まさか自分が拳銃を撃つことになるとは、思わなかった。

 

 ライオンの眉間目掛けて発砲する。


 日本の警察官に貸与される拳銃に猛獣を殺す程の威力は無い。


 例え人間を撃ったって、急所に当たらない限りは怪我で済む様なものが使われている。


 要するに、用途の違いってやつだ。


 外国の軍隊のライフルとは違う。


 となると今は急所を狙うしか無い。


 この相手に威嚇射撃は通じない。


 俺が拳銃を撃とうとする時はいつも、少し、時が止まったような感覚を受ける。


 照星と照門は直ぐに合う。


 狙い澄まして放った弾丸は、思い描いた通りに標的の目と目の間を通り抜けて行く。


 ライオンは少し空中に浮いた所で硬直し、受け身も取らずにそのまま地面に落ちていく。


 「すごい…!」


 Kinoが感嘆の声を上げる中、神は土下座したままだ。


 当たってくれたことに安堵する。


 動かない的相手に、狙いを外した経験は無いが、動く相手に撃ったのは初めてだった。


 「え、ナニッ?

  何があったの!?

  さっきのぱぁんて音はなぁに?」


 ローラは動かなくなったライオンを見つけると、ようやく事情を飲み込んだ様だった。


 「ハジメさんたら、なかなかやるじゃないの!」


 「オマエは少し神らしくしてくれよ。」


 「仕方ないのよ、ワタシ話が通じない動物が苦手で…」


 言葉が通じるドラゴンにも身を隠していたことだとか、コイツにしたい話は星の数ほどあるが、今はそれどころじゃない。

 

 「拳銃の弾は後4発しかない。」


 「えぇ!?

  ハジメさんアンタまさか予備の弾忘れちゃってんの!?

  ダッッ!!」


 「別にダサくねぇだろ!

  平和な日本の警察には、予備の弾なんて支給されねぇん

 だ!

  大体世が世ならこの発砲も全国ニュースなんだよ!」


 上への報告のために空薬莢を回収し、携帯のカメラでライオンの死体の写真を撮る。


 傷口が分かりやすいように立髪を手で掬い上げて眉間もしっかり撮影する。


 さて、早く安全なところに行かなければ、いよいよ助からないかもしれない。


 こんな化け物が出るようになるなんて聞いてない。


 「人の子らよ、安心なさい!!

  神の御加護をあげましょー!」

 

 すっとぼけた声をあげる神に再びちょっとした怒りを覚えた。


 「というか、加護は実はもう与えてるのよ!

  でないとこのモンスターの骨格を拳銃の弾如きが貫ける

 道理はないもの!」


 なるほど、それには合点がいく。


 拳銃の威力は、有名な例で言えば、暴れる大きめの犬でさえ一発では仕留められない。


 あのサイズのライオンであれば確かに仕留めるのには無理がある。


 つーか、コイツ今サラっとモンスターって言ったな…


 「拳銃の威力が上がってるということか?」


 「だけじゃないわ!

  火の神なら火の、水の神なら水の、では、世界神たるワ

 タシならば世界の力を与えられるのよ!」


 おぉ…何やら凄そうじゃん…


 「いいかしら、世界とは、創造の力なの。

  ある時はモノを、ある時は文化そのものを創造すること

 によって、世界は発展してきたの。

  つまり世界の力とは…」

 

 「世界の力とは…?」















 「手先が器用になります!」





 「すげぇくだんねぇのな!!!オマエの力!!!」





 「酷い!!なんでそんな事言うの!!?」


 ショックでワンワン泣きじゃくる神を尻目に、俺とKinoは生き残るために歩を進めながら相談を始める。


 「良かったね…手先が器用になって…」


 「慰めはよしてくれ…」


 どれだけ歩けば良いか分からないが、遠くに見えるバイパスを目掛けて移動することにした。


 方角まで変わってなければ、署はこっちのはずだ。

カードゲームは詳しくありません。

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