ボクって、なに?
ある日、目が覚めると、奇妙な感覚があった。上半身が重い。胸が張っている。それに前髪が伸びて目にかかっている。喉もなにか変だ。
だが、とりあえず起きよう。今日は和人の家に遊びに行くんだ。と、立ち上がると、目を疑う光景がそこにはあった。
谷間。男で痩せている方であるボクにあるはずのないものがある。
つい昨日まで平かった土地にある、豊かな双丘に触ってみる。というか鷲掴みにする。
おお、やわらかい。これがおっぱいか…
そのやわらかさを十分に堪能したあと、夢の世界から帰るために洗面所に行く。
夢の中でトイレしちゃったら現実でも漏らしてるよね!ボクも小学3年生まで漏らしてました。
そして洗面所の鏡を覗き込むと、可愛らしい女の子がいた。具体的には身長が160センチメートルぐらいで、髪が腰ぐらいまであって、胸は豊かに実っていた。
階段を降りて両親と弟の海斗がいるであろうリビングに行く。
身長が縮んだり胸があるだけでこんなにも歩きづらいのか。
やっとの思いでリビングに着き、
「おはよう」
と、朝の挨拶をした。
目が覚めた時からある喉の違和感や、洗面所で女の子の姿になっていることを確認したときから予想はしていたが、やはり声が高い。
家でまず聞くことのないこちらを向いた愛すべき家族は、唖然としていた。
無理もない。自分の息子に似ている謎の女の子が突然現れたのだ。
固まり続ける空気。このまま待っても溶けることはないだろう。仕方がないのでボクが声を出す。
「えっと…遥だけど」
魂を抜かれたように動かなかった両親が、ボクの声に反応して、ようやく再起動する。
「うちに娘はいないはずだが…」
父が言う。
「あなた…本当に遥なの…?」
母が続く。
ああ、これは時間がかかりそうだな…
そう思っていると、ようやく魂を返してもらったらしい弟がこう言った。
「おっぱいさわっていい?」
母がすかさずゲンコツを飛ばす。
このエロガキめ…ボクは毒を吐く。もちろん心の中で。
ボクは苦笑いをしていた。
両親の質問を、ボクは「わからない」の一点張りで通した。
だってほんとにわかんないんだもん。
ただ、ボクたち家族しかわからない話をいくつかするとやっと信じてもらえた。
ほんとに大丈夫かこの人たち…
こんな簡単人を信じて…お人好しめ…
話が終わってから、まず和人に連絡した。
「これって夢だよね?」
学生だから投稿頻度がバラバラです。ご了承を。